【セッションレポート】マルチクラウドにおける IT コストの最適化 (AP-17) #AWSSummit

【セッションレポート】マルチクラウドにおける IT コストの最適化 (AP-17) #AWSSummit

Clock Icon2025.07.08

2025年6月25日、AWS Summit Japan 2025にて、Datadog Japan合同会社のパートナーセッション「マルチクラウドにおける IT コストの最適化」 AP-17を拝聴しました。
このセッションでは、ITコストの増大という課題に対し、Datadogが自社でAWSを使用している際に実践しているコスト最適化の手法と、それを顧客にも展開してパフォーマンス向上やビジネス目標達成につなげる事例が紹介されました。自動車や宇宙ロケットの比喩を用いながら、効果と効率を重視したコスト最適化のアプローチをご紹介いただいたセッションになります。
以下、内容をまとめます。

セッション概要

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  • 日時: 2025年6月25日(水)13:30~15:00
  • テーマ: Cloud Infrastructure
  • カテゴリ: クラウドオペレーション クラウドエコノミクス・コスト最適化 中堅・中小企業 エンタープライズ
  • 登壇者:山田 晃嗣 氏(Datadog Japan合同会社 テクニカル アカウント マネージャー)

IT コストの増大は、あらゆる組織にとっての課題です。SaaS 可観測性プラットフォームのトップ企業である Datadog は、膨大なクラウドリソースを使用しており、IT 支出を抑制するために真剣に取り組んできました。このセッションでは、コストを最適化するために当社が実践している方法と、その方法を応用して支出を削減し、パフォーマンスを向上させ、ビジネス目標を達成する方法をご紹介します。

※セッション紹介ページより引用

コスト最適化の基本原則

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不要なものを取り除く

ITシステムにおいて、何が必要で何が不要かを明確に定義することが重要です。自動車の燃費効率を例に挙げ、エアコンやサンルーフが目的に応じて必要か不要かが決まるように、ITリソースも目的に応じた取捨選択が求められると説明されました

効果 → 効率の順に考える

まずビジネス目標を達成するための効果を優先し、その後で効率化を図るべきです。ITシステムは「宇宙ロケット」のように、明確な目的達成と効率性を両立すべきだと強調しています

オーナーシップ文化の構築

チーム単位でコストの可視化を行い、責任感を持たせることが重要です。Datadogでは、チームタグを用いて各チームのコストを追跡し、Slackチャンネルでコスト削減の成果を共有しています。CEOやCTOが成功を称賛する文化も紹介されました。

Datadogの実践例

3つポイントをDatadog様の実際の事例を交えつつ、コスト最適化のための「3x3の9つのアプローチ」を紹介されました。

Datadog自身がAWSの大規模ユーザーであり、ITコスト削減に取り組んできました。失敗と成功を繰り返しながら、未使用リソースの排除やアラート設定の見直しを実施。特に「一見使われているように見えて実は役に立っていない」リソースや、過剰なアラート設定がコストの無駄につながると指摘されました。

成功の鍵1

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ツールの統合

以前はディスク使用状況やアプリケーションログの監視に複数のツールを使用していましたが、Datadogのプラットフォームに統合することで効率化を実現。1つのダッシュボードでアプリ、ログ、トレースを一元管理できる利点が強調されました。

未使用リソースの排除

未使用の設定やアラートも含め、徹底的に見直すことが重要です。顧客の事例では、不要なアラートの削減が大きな効果を上げました。

自動スケールダウン

Datadogを活用し、システムの自動スケーリングダウンを行い、不要なリソースを動的に削減する取り組みが紹介されました

成功の鍵2

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ビジネスメトリクスの活用

SLO(Service Level Objectives)を活用し、ビジネス目標に直結する指標を監視の紹介。詳細は「Datadog + SLO」で検索してくださいとのことでした。

トレースとプロファイリング

DatadogのAPM(アプリケーションパフォーマンスモニタリング)トレースやプロファイリングを活用し、処理ごとの時間やコストを可視化。ライブラリの入れ替えにより、年間数千万円のコスト削減を実現した事例が紹介されました。

成功の鍵3

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宇宙ロケットの比喩

セッションでは、宇宙ロケットが軽量化のために無塗装であるとのことでした。ロケットは「目的達成のために最適化」され、不要な装飾(塗装)を排除しています。一方、自動車は燃費効率を重視しつつも妥協点を持つことがあります。この対比から、ITシステムも目的に応じて最適化する必要性が語られました。特に、使い捨てのロケットのように「達成後に効率を求める」発想がITコスト削減に応用できると説明されました。

エンドツーエンドのサービスオーナーシップ

ロケットのエンジニアがロケットの発射に立ち会うように、ITチームもオーナーシップを持つとのことでした

プロダクト志向とチームのオーナーシップ

プロダクト志向

コスト削減を単なる節約ではなく、ビジネス価値の最大化につなげる視点での対応が重要と説明されました。

成功の称賛する文化の醸成

実験の受け入れ ライブラリの変更など、新しい試みを積極的に取り入れる文化が必要とのことでした。

コスト削減の成果をSlackで共有し、チームのモチベーションを高めて。CEOやCTOからの称賛が、さらなる改善を促進しているとのことです。

感想

このセッションは、ITコスト最適化の技術的な側面だけでなく、組織文化やビジネス目標との連携の重要性をご説明されています。自動車とロケットの比喩は、ITシステムの目的と効率のバランスを考える上で非常に分かりやすいものでした。

Datadogのプラットフォームを活用した可視化と一元管理による利点は、実際にマルチクラウドでITコストを削減をめざす企業にとって参考になる内容と思います。Datadogの機能を使用した未使用リソースの見直しやSLOの活用など、具体的なアクションもご紹介されていましたので、導入ハードルも低く感じました

個人的にはDatadog様自体がAWSのヘビィーユーザーでコスト削減に取り組まれている事は、確かに言われてみるとそうか!と思いました。
また、称賛文化は、弊社でも取り組みはありますが、実際に効果が出ている点など参考になりました。

是非、セッションやプロダクトにご興味がある方は、Datadogの公式サイトなどご参考いただければと思います。

参考

https://www.datadoghq.com/ja/

https://docs.datadoghq.com/ja/service_management/service_level_objectives/

https://www.datadoghq.com/ja/product/service-level-objectives/

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