自治体DX推進手順書からクラスメソッドの内製化支援を考えてみる
内製化支援コーチ 杉井です。
総務省から「自治体DX推進手順書」というドキュメントが公開されているのをご存知でしょうか。
本記事ではこの「自治体DX推進手順書」を読み解きつつ、クラスメソッドの内製化支援との相違点や共通点を考えてみます。
※引用されている文章および画像は上記URLの「自治体DX推進手順書の概要」「自治体DX全体手順書【第1.0版】」からの抜粋したものです。
「自治体DX推進手順書」の概要
「自治体DX推進手順書」は令和2年12月に策定された「自治体DX推進計画」を踏まえて、自治体情報システムの標準化・共通化や行政手続のオンライン化などの自治体DXの具体的な方策に着実に取り組めるよう手順を示したものとなっています。
手順の流れとして以下のステップがあります。
- ステップ0:DXの認識共有・機運醸成
- ステップ1:全体方針の決定
- ステップ2:推進体制の整備
- ステップ3:DXの取組みの実行
クラスメソッドでの内製化支援の流れ
クラスメソッドが支援する場合でも段階的な進め方をします。
初期ステップは、認識共有・チームビルディング・計画策定(実施テーマ・優先度の策定)をテーマとしています。ほぼ同じ考え方になるでしょう。
ステップ0:DXの認識共有・機運醸成
ここからは各ステップについて読み進めていきます。
DXを推進するに当たっては、首長や幹部職員によるリーダーシップや強いコミットメントが重要であり、首長や幹部職員自身がそのことを十分に理解することが必要となる。また、DXという言葉を聞いても具体的なイメージを抱きにくく、あるいは、単なる電子化との誤解がある場合も少なくない。組織をあげてDXを推進するに当たって、首長や幹部職員から一般職員まで、「DXとはどういうものか」「なぜ今DXに取り組む必要があるか」など基礎的な共通理解を初めに形成することが不可欠である。
DXの方針や計画の策定過程で、若手職員を中心としたプロジェクトチーム等を設置する事例、業務担当部門のヒアリングで課題抽出を行った事例、民間企業や地域住民等と意見交換を行った事例などがあり、こうした取組みも認識共有や機運醸成を図る上で有効と考えられる
自治体DX全体手順書では上記のように「首長・幹部職員によりリーダーシップや強いコミットメント」を求めつつ、「DXとはどういうものか」「なぜ今DXに取り組む必要があるか」の共通理解の形成が不可欠と説いています。
クラスメソッドでのステップ0
DX、内製化に関わらず変化を伴う活動を始めるにあたって主要メンバーの機運醸成やチームビルディングは重要です。
- 目的・ゴールの共有
- 自分達の現在地点の認識あわせ
- 課題の抽出
- 取り組みの優先度の共有
クラスメソッドの内製化支援コーチは各メンバーからのヒアリング、ワークショップなどの対話を通して上記を言語化するサポートを行います。 また自治体DX全体手順書での「首長・幹部職員」と同様に「マネージャー・経営層の理解」は重要です。あればあるほど推進力と成功率が上がると思いますのでステップ0の中に入ってもらうことが理想です。
ステップ1:全体方針の決定
相互に関連するDXの取組みを総合的かつ効果的に実施し、全庁的にDXを強力に推進していくためには、全体的な方針(以下「全体方針」という。)が決定されている必要がある。
全体方針は、DX推進のビジョン及び工程表から構成されるもの
上記にあるように全体方針を策定するのが本STEPです。DXに関する取り組みは複数の組織に関連することが必然であるため、全体方針を明示しいつでもアクセスできる状態であることが求められます。 自治体DXはすでにある「自治体DX推進計画」をベースとしているためビジョン→取り組みテーマがある程度明確です。
企業におけるDX・内製化の場合は?
DXという言葉は幅広く解釈されるため企業によって目的や手段は異なります。 そのため全体方針の策定が曖昧なものにならないように目的やビジョン、優先度を明確にしておく必要あります。
クラスメソッドの内製化支援ではステップ0で目的や優先度をディスカッションして認識の共有をし、その後内製化に向けたマイルストーンを作成します。 自治体DX全体手順書でのステップ1とほぼ同じ考えとなりますし、作成するマイルストーンは上記工程表と同じようなイメージです。
ステップ2:推進体制の整備
全体方針を踏まえて、DXの推進体制を整備するに当たっては、組織・人材の両面から検討する必要がある。
体制の整備では組織と人材の両面での整備が求められます。
組織
仕事の仕方、組織・人事の仕組み、組織文化・風土そのものの変革も必要となる中、首長自らがこれらの変革に強いコミットメントをもって取り組む。また、首長の理解とリーダーシップの下、庁内マネジメントの中核であり、庁内全般を把握するとともに部局間の調整に力を発揮するCIOを中心とする全庁的なDX推進体制を整備する。CIOのマネジメントを専門的知見から補佐するCIO 補佐官等の任用などの取組みを進める。
組織をつくるために必要な要素が記載されています。
- 首長自らが変革への強いコミットメントを持つ
- 推進役のCIOおよび専門的知見をもったCIO補佐官を配置する
組織を整備することは経営層・マネジメント層のタスクと言えそうです。 企業でも同様のことが言えます。組織の構造と役割、スキルを持った人のアサインが不十分だと効果は最大化できません。
人材
中長期的な観点も含めて、一般職員も含めて、所属や職位に応じて身につけるべきデジタル技術等の知識、能力、経験等を設定した体系的な人材育成方針を持つことが望ましい。
デジタル技術やデータの活用が当たり前となる業務に対応するために、デジタルリテラシーの向上(セキュリティ・リテラシーも含む。)、日々進展するデジタル技術等を学び続け、自らの業務をよりよいものに変革していくというマインドセットの習得を求めることが考えられる。
クラスメソッドの内製化支援でも同様の考えです。 学習 → アウトプット → 評価 → モチベーション → 学習 → ... というサイクルをクラスメソッドでは大事にしており、このような組織作りを支援させていただいております。
外部人材の活用
デジタル人材を確保しましょう、と言っても必ずしも既存職員に適切な人材がいるわけではないため、外部人材の活用の検討も必要です。 自治体DX全体手順書には求めるスキルセット例や任用形態、財政措置などが記載されています。参考になる部分と自治体ならではの情報となっている部分もありますので有用な箇所を確認することがよいでしょう。
その中に「外部人材の受入れチェックリスト」という受入れる側の体制や注意点のチェックリストがあります。 このチェックリストは一般企業でも適用できるものと思います。
特に「外部人材に丸投げしない」「外部人材に過剰な期待をしない」は注意すべきかと思います。
ステップ3:DXの取組みの実行
自治体DX全体手順書ではこのステップで具体的な記載は少なく、各種ガイドラインを踏まえて実行しましょうとあります。 一般企業の場合でもこのステップは組織によって取り組み内容の幅も深さも様々だと思いますので詳細は説明は割愛します。
まとめ
自治体DX推進手順書とクラスメソッドの内製化支援での共有点や違いのまとめです。
- ステップとして段階的進めていくのは同じ考え
- 最初のステップとして共通認識を作るのは同じ、内製化支援では対話によるチームビルディングを重視している
- 幹部職員のコミットメントが重要であることは同じ考え
内製化支援との細かい相違点はありますが、「自治体DX推進手順書」はデジタル化を推進させるためのプロセスとしては共感する考えが多く非常に参考になるものでした。 是非ご一読いただき参考にしていただければと思います。
また、クラスメソッドの内製化支援について詳しく知りたい方は是非お声掛けください。