NICE DCVがAmazon DCVに改名されました
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しばたです。
今月頭の話なのですが、NICE DCVの最新リリースとなるVer.2024.0から名称が「Amazon DCV」に変わることになりました。
AWSからのアナウンスはこちらになります。
NICE DCVについて
もともとNICE DCVはHPCベンダーであったNICE社のDesktop Cloud Visualization (DCV)という製品で、2016年にAWSに買収され今に至っています。
NICE DCVは製品としてはAWS上(EC2)での利用であれば無料で使用できます。
また、AWSサービスとしては主にAmazon AppStream 2.0の基盤として使われており、Amazon WorkSpacesにおけるWorkSpaces Streaming Protocol (WSP)がDCVの技術をベースに実装されていたりもします。
こんな感じでAWSにおけるリモートデスクトップ接続やVDIにおける中核を担っています。
改名による影響範囲
買収から8年以上経った今になってなぜ改名したのか理由は公表されていません。
新バージョンに合わせての改名だったのでリリースノートにヒントが無いか調べてみたものの、特に改名に至ると思えるほどの新機能はありませんでした...正直謎です。
この改名による影響範囲について、アナウンスによれば
The renaming does not affect customer workloads, and there is no change to folder paths and internal tooling names.
との事なので通常の利用における影響は無いと考えて良いでしょう。
WSPプロトコルの改名
NICE DCVの改名に合わせてWSPプロトコルの名前が「Amazon DCVプロトコル」に改名されます。
こちらも技術的な影響は無いらしい...のですが、Amazon WorkSpacesのAPIドキュメントを確認すると少し怪しい感じになっていました。

WorkSpacesの利用オプションを表現するWorkspacePropertiesのプロトコル指定において、Noteには「プロトコル指定がWSPからDCVに変わる」旨が記載されているものの、Valid ValuesはWSPのままという状況でした。
加えてAWS CLIにおいてはVer.2.17.64からこの変更が適用されたことになっています。
- api-change:
workspaces: WSP is being rebranded to become DCV.
APIでの指定をWSPとDCVのどちらにすべきか分からなくなったので実際にAWS CLIで試してみました。
プロトコルを指定してaws workspaces create-workspacesコマンドを実行してみましたが、指定内容をDCVにするとエラーとなり、対して従来どおりWSPのままだと成功する状況でした。
# 本日時点のAWS CloudShellのバージョンが Ver.2.17.65 だったのでこれを採用
$ aws --version
aws-cli/2.17.65 Python/3.12.6 Linux/6.1.109-118.189.amzn2023.x86_64 exec-env/CloudShell exe/x86_64.amzn.2023
# プロトコル指定を DCV にしたがエラーになる
# * BundleId : wsb-8srm2ty19 = Standard with Windows 10 (Server 2022 based)
$ aws workspaces create-workspaces \
> --workspaces "DirectoryId=d-xxxxxxxxxx,UserName=nobunaga,BundleId=wsb-8srm2ty19,WorkspaceProperties={UserVolumeSizeGib=10,Protocols=[DCV]}"
An error occurred (ValidationException) when calling the CreateWorkspaces operation: The request is invalid.
# プロトコル指定は従来通り WSP のままなら成功する
$ aws workspaces create-workspaces \
> --workspaces "DirectoryId=d-xxxxxxxxxx,UserName=nobunaga,BundleId=wsb-8srm2ty19,WorkspaceProperties={UserVolumeSizeGib=10,Protocols=[WSP]}"
{
"FailedRequests": [],
"PendingRequests": [
{
"WorkspaceId": "ws-xxxxxxxxx",
"DirectoryId": "d-xxxxxxxxxx",
"UserName": "nobunaga",
"State": "PENDING",
"BundleId": "wsb-8srm2ty19"
}
]
}
作成済みのWorkSpaceに対しaws workspaces describe-workspacesコマンドからプロトコル情報を取得してもWSPのままだったのでREST API上の指定は変更されていないと見て間違いないでしょう。
# 既存WorkSpace環境から取得できるプロトコル種別も WSP のまま
$ aws workspaces describe-workspaces --workspace-ids ws-xxxxxxxxx
{
"Workspaces": [
{
"WorkspaceId": "ws-xxxxxxxxx",
"DirectoryId": "d-xxxxxxxxxx",
"UserName": "nobunaga",
"IpAddress": "10.0.22.16",
"State": "AVAILABLE",
"BundleId": "wsb-8srm2ty19",
"SubnetId": "subnet-xxxxxxxxxxxxxxxxx",
"ComputerName": "WSAMZN-88AGGG3M",
"WorkspaceProperties": {
"RunningMode": "ALWAYS_ON",
"RootVolumeSizeGib": 80,
"UserVolumeSizeGib": 10,
"ComputeTypeName": "STANDARD",
"Protocols": [
"WSP"
],
"OperatingSystemName": "WINDOWS_SERVER_2022"
},
"ModificationStates": []
}
]
}
ちなみにマネジメントコンソール上の表記は「DCV (旧称WSP)」や「DCV (WSP)」といった形に改められています。


余談 : NICE EnginFrame の提供終了
今回の改名に関連してか、NICE社の製品の一つであり現在はソリューションとして提供されているNICE EnginFrameが来年で提供を終了します。
詳細は先月のブログに書いてますのでこちらでご確認ください。
最後に
以上となります。
WSPプロトコルの改名で少し怪しいところがありましたが、NICE DCVの改名が利用者に及ぼす影響は無いと考えて大丈夫でしょう。









