本を読んで「えーっと」や「あのー」と人前で言わないようになれるのか? #書評
社会人になりたての頃、社内で自己紹介を兼ねたプレゼンの機会がありました。 私は言いたいことを考えに考え、最終的にまとまったと言い難い状態だけどエイヤで登壇しました。途中頭が真っ白だったけどまあ時間いっぱいに話せたぞと思っていると、当時の上司が一言感想を述べました。
「内容はともかく、鵜飼さんはプレゼン中に『えーっと』とか『あのー』がすごく多いですね」
それから10年以上が経過し、籍はクラスメソッドに。当社には英語研修制度があり、希望者はレアジョブの英会話レッスンを経費で受けられます。チューターと25分のオンライン会話を堪能し、難しい質疑応答にもなんとか答えられたんじゃないかと思っていると、たいがいレッスンレポートには「hmmとかahとかフィラーが入るよね」という記載が書かれているのです…。
やんわりと、しかし確かな悩み。合間についフィラー(つなぎ言葉)を入れてしまうのどうにかならないのか。そう思っていたときに、書店で「スピーチや会話の『えーっと』がなくなる本」を見つけたのです。この本で長きにわたるフィラー問題を解決させるしかない!
「えーっと」が生まれる理由から対策まで
本書は、スピーチトレーナーの高津和彦氏がスピーチや面接など、ビジネスシーンで出てしまうフィラーについての一冊です。どういう流れでそれが生まれるのかという解説と、それを減らしていくためのトレーニング方法がまとまっています。この本を読むことでこのような変化が訪れるのだとか。
Before 「えー、本日はお日柄もよく、えー、清々しい好天に恵まれまして、 皆様におかれましては、あー、ますますご健勝のことと、えー」
After 「皆さん、今日はとてもいい天気ですね。お元気ですか? 元気に決まってますよね!」
フィラーの原因は3要素のアンバランスに
フィラーはどうして起こるのかについて、「スピーチや会話の『えーっと』がなくなる本」の筆者は「心(感情・性格)」「思考」「声」のそれぞれが不安定な状態にあるせいだと説明しています。それを説明する冒頭では、「フィラーが出ない典型的な状態」として下記のように書いています(以下、「スピーチや会話の『えーっと』がなくなる本」P.26より引用)。
心(感情・性格):平常心を保っている。自信がある。自己肯定感が強い。
思考:話す内容が決まっている。よそ行きやお仕着せの言葉ではなく、自分の言葉で話せる。
声:短く簡潔で歯切れが良い。大きな声が出せる。滑舌がいい。
確かに平常心を失ったり自分の発言内容に自信がないとき、フィラーが生まれている!さらに著者はこれら3つのうちひとつがダメでも残り2つがしっかりしていけばフィラーを防げるとアドバイスし、じゃあどうすればよいかの説明へとつなげています。
例えば、性格に由来する「心」は一朝一夕では難しいとして「思考」の改善を促す第3章では、
- 長い文章になる場合は句点(。)を使いセンテンスを短く
- 例文等をそのまま拝借せず本心からの言葉を
- 怖がらずに話の間を入れる
などのアドバイスが書かれています。
脱フィラーをのためのトレーニング
本の後半「第5章 どんな場面でも次々言葉が出てくる!*脳内原稿のつくり方」「第6章 目指せ!フィラーなしスピーチ*実践トレーニング」はいよいよ対策方法の紹介に入ってきます。
脳内原稿は文字通りで、頭の中に話すべきことがインプットされていればフィラーを防げるというもの。 脳内原稿は「言ったことの直近の話題や要素、関連度の高い内容を話す」「5W1Hを話す」「エア写真を撮る(絵をイメージする)」「テーマ、教訓、オチを明確に」という4アドバイスが紹介されています。そして第6章のトレーニングは鏡の前での1分間スピーチやぬいぐるみの前で1分間身振り手振りを繰り返す、というメニューでした。
実際(*)にやってみた結果
この本を読んで「なるほど!」と思った自分ですが、なんと読了の翌日にテレビ局の街頭インタビューに出ることになりました。インタビュー時間はトータル3分程、オンエアは5秒でした。短い。さっそく試すチャンス到来、その結果はこうでした。
「春に子どもが生まれるので、えーっと育休を取るつもりです」
この短い時間なのに、普通にダメでした。これもきっと「第6章 目指せ!フィラーなしスピーチ」をまったく実践していなかったからでしょう。そんなわけで現在もトレーニングをやっています。なのであのー、結果はですね、年末あたりにでも追記するということで…。