
非エンジニアが基本情報技術者試験に合格した話
はじめに
オペレーション部カスタマーサポート部所属の「のんべぇ」です。
今回は非エンジニアの私が3ヶ月で「基本情報技術者試験」に合格した際の勉強時間や勉強方法などについてお話します。
これから「基本情報技術者試験」を受けようかなと思っている非エンジニアの方のお役に立てましたら幸いです。
~私の簡単なプロフィール~
- 2024年4月入社
- 前職はサブカル系IT企業のカスタマーサポート部所属
- コードは書けないが生成AIでチーム内のツールを作成して業務効率化をしていたりする
- 2匹の愛猫のために働いている
基本情報技術者試験を受けることにした経緯
私が応募したときの求人内容には「歓迎する経験/スキル」として「ITパスポート取得レベルのIT知見」と書かれていました。
どうしても入社したかった私は慌ててITパスポートを取得してから応募しました。書類選考と一次面接を無事に通過し、二次面接では入社後の目標として2つの資格取得を宣言しようと考えました。
1つは「AWS Certified Cloud Practitioner」とすぐ決められたのですが、他に取得すべき資格としてどんな資格があるのだろうと調べたときに目に入ったのが「基本情報技術者試験」だったので、この2つの資格取得を入社後の目標として宣言しました。
入社前の目標を達成するのに1年1ヶ月経過してしまいましたが、予定になかった別の資格(後述)を2つ取得したことを考えれば及第点ではないかと思っています。
基本情報技術者試験を受けるまでに取得した資格
入社してみると「基本情報技術者試験」よりも優先して取得した方が仕事に活かせると思えたので、先に「情報セキュリティマネジメント試験」と「AWS Certified Solutions Architect - Associate」を取得し、「基本情報技術者試験」は最近取得したばかりです。
- 2024年1月 ITパスポート試験
- 2024年5月 情報セキュリティマネジメント試験
- 2024年6月 AWS Certified Cloud Practitioner
- 2025年2月 AWS Certified Solutions Architect - Associate
- 2025年5月 基本情報技術者試験
私の経験では「ITパスポート試験」と「情報セキュリティマネジメント試験」を先に受けておくことをおすすめします。
理由は今後の勉強方法がかなり変わってくるからです。
各資格に相互関係があると感じており、「ITパスポート試験」や「情報セキュリティマネジメント試験」での知識がAWS認定資格の取得で役に立ち、逆にAWS認定資格の知識が「基本情報技術者試験」で役に立ちましたが、AWS認定資格が不要な場合は「ITパスポート試験」と「情報セキュリティマネジメント試験」を取得できていれば挑戦していいと思います。
勉強時間
まずは結構気になるポイントだと思う勉強時間は以下のとおりです。
- 科目A:約127時間
- 科目B:約43時間
- 合計:約170時間
ちなみに1日の勉強時間は約1時間47分、日数の合計は95日間でした。
私の場合、土日に集中して勉強、というのがあまり性に合わなかったので、平日も土日も同じぐらいの分量で勉強するようにしていました。
この辺りは自分の性格などと相談してスケジュールを立てる必要があるかと思います。
勉強方法
各科目で使用させていただいた参考書や動画などは以下のとおりです。
科目A
令和07年 イメージ&クレバー方式でよくわかる かやのき先生の基本情報技術者教室
【基本情報技術者試験YouTuber】すーさんの動画
科目B
情報処理教科書 出るとこだけ!基本情報技術者[科目B]第4版
科目A・B共通
基本情報技術者ドットコム 過去問道場
科目Aの勉強方法
まずは「かやのき先生の基本情報技術者教室」を読み始めました。が、序盤から躓きまくりで、基礎理論に突入すると本当に無理かもとギブアップしそうになりました。
しかしながら、すぐにyoutubeの動画に切り替えました。これがかなり功を奏して、動画で全体的に理解したあと参考書に戻る作業を繰り返すと、徐々にではありますが理解できなかった部分も理解できるようになっていきました。
とはいえ根っからの文系のため、テクノロジ系の分野は本当に辛かったです。
参考書と動画学習を何度か繰り返したあと、過去問道場でひたすら過去問を繰り返し演習しました。
科目Bの勉強方法
科目Aの参考書、動画学習を一通り終えてから、科目Bの勉強に入りました。
「かやのき先生の基本情報技術者教室」にも科目Bはありましたが、問題演習→解説という感じで私には難易度が高すぎてここでもまたギブアップしそうになったのですが、すぐに「情報処理教科書 出るとこだけ!基本情報技術者[科目B]第4版」での学習に切り替えました。
科目Bはこの本のおかげでかなり理解が深まりました。トレースが楽しいと思えるようになったのはこの本のおかげと言っても過言ではありません。
参考書の問題を繰り返し演習し、公式のサンプル問題や章末問題などを何度も繰り返し演習しました。
これをやったのが良かった
「基本情報技術者試験」を受けるにあたって、私はこれまでの勉強方法では駄目だろうと思いました。
というのも、基本的に私は勉強が嫌いです。飽きっぽいし、すぐに諦めてしまう癖があります。
ですが、試験に落ちてまた勉強をするのも嫌だったので、絶対に1回で合格してやる!という気持ちで、今までで一番真剣に勉強しようと心に決めました。
そのためにやって良かったことは以下のとおりです。
1.試験日を決めてから勉強を開始した
「2.スケジュールを立てる」にも繋がりますが、試験日を最初に決めることで、その後のスケジュールも立てやすくなり効率的に勉強を進めることができました。
自分の性格的に同じ勉強を続けるのは3ヶ月ぐらいが限度だろうと思ったので、3ヶ月後に試験を受ける日を決めました。試験日を曖昧にしてダラダラと引き伸ばすよりも、決め打ちしてそこに向かって突き進むのが合格への近道になったと思っています。
2.スケジュールを立てる
今まで行き当たりばったりの勉強方法(試験を予約して、それに向けてなんとなく勉強を始める)だったので、スケジュールを立てました。
試験日まで何日あるかを計算して、1ヶ月目に科目A、2ヶ月目に科目B、3ヶ月目に両方を進める、というざっくりとしたスケジュールを立てます。
更にスケジュールをNotionのタイムラインという機能を使って、ガントチャート方式で記述することにしました。
実際のNotionはこんな感じです。
まずは参考書を1日1章ずつ進めるとして何日で終わるかな?と考えてスケジュールを設定し、実際にやってみて調整する、という流れにしました。
最初からガチガチに決めてしまうと、それが達成できなかった時に自分の首を絞めてしまうので、なんとなくこんな感じ、みたいなスケジュール設定で私の場合は問題なかったです。
3. 毎日勉強することを目標にする
10分でもいいので毎日必ず勉強をすることを目標にしました。勉強したくないなぁと思っていても、私の場合は10分ぐらい勉強していると、不思議と勉強を続けることができました。慣れてきたら、毎日1時間勉強すると時間を変更してみるのも良いかと思います。
試験前日は頭を休めるために勉強しないと決めていたのですが、最終的に勉強を開始した日から試験前々日まで、1日も欠かさずに毎日勉強を続けることができました。
4.勉強の開始と終了を記録する
どんな形でも良いので、勉強の開始と終了を記録しておくのは、個人的にモチベーションの維持に繋がりました。
私の場合は、会社でslackを使用していて、かつ個人チャンネルを作って良いことになっていたので、そこに「基本情報技術者試験」の勉強スレを立てて、勉強開始と終了(ついでに休憩開始や終了なども)を記録して、そこからガントチャートに勉強した時間を記録する作業をしていました。
ある程度勉強が進んだあと、自分がどれくらい勉強しているかAIを使ってまとめてもらって、AIに褒めてもらってモチベーションを上げる、みたいなことをしてみたりもしました。
5.試験を受けた人の声を聞く
「ITパスポート」や「情報セキュリティマネジメント」でもお世話になったのですが、基本情報技術者試験ドットコムの掲示板で、試験を受けた人の声を聞く(正確には読む)のもかなりモチベーションの維持や試験に向けての心構えの参考になりました。身近に基本情報技術者試験を受けた人がいない場合は、インターネット上の体験談をチェックするのも参考になるかと思います。
6.AIを活用する
クラスメソッドではAIの活用が推奨されています。「AWS Certified Cloud Practitioner」や「AWS Certified Solutions Architect - Associate」を受けた時にも活用したのですが、AI-Starterに問題と回答を読み込ませて非エンジニアにもわかるように解説してもらうことで、わからない問題も私レベルで解説してもらい理解を深めることができました。
AI-Starterとは、クラスメソッド株式会社が提供する生成AI環境構築サービスです。
7.眠いときは寝る、集中力が切れたら休憩する
いざ勉強しようと思っても仕事に疲れて睡魔に襲われる、なんてことはほぼ毎日でした。
私は眠い時は仮眠して良いことにして、ひとまず寝て、朝まで寝ずに起きれたタイミングで勉強する、という方法を取っていました。これが健康に良いかといえば良くはないのですが、個人的にはとても合っていました。
また、勉強中に集中力が切れた時は、時間を決めずに休憩を入れるようにしていました。集中力が切れたまま勉強をするのは効率が悪いので、そういった時は自分を甘やかして、休憩が終わったらまた頑張りましょう。
これをやっておけばよかった(逆にやらなければよかった)
「基本情報技術者試験」を受けたあとで、これをやっておけば(逆にこれはやらなくて)よかったことは以下のとおりです。
あくまでも個人的な意見になるため、ご注意ください。
1.過去問は3~5回分ぐらい
科目Aの過去問を10回分ぐらいチェックしたのですが、実際には参考書や過去問で見たことがないものも多く出題されるため、過去問は3~5回分ぐらい演習して、正解以外の選択肢も理解できるようになれば十分かなという所感でした。
2.新シラバスをチェックする
IPAの公式ページでシラバスが公開されていますが、最新のシラバスをチェックしておくことをおすすめします。
私はこれが不十分で、試験前に新シラバスの動画を通しでざっと見ることしかできませんでした。もう少し早く気づいていれば、試験前に慌てずに良かったのになと後悔しました。
3.科目Bのトレースを省略できるようにする
文系出身でかつ計算問題が大の苦手でもある私にとって、テクノロジ系は本当に鬼門でした。
特に科目Bのトレースは参考書で理解できたのですが、トレースを省略するとわからない、とにかく時間がかかるというのが難点でした。
トレースを省略できるようにならないまま試験に臨むことになったのですが、やはり圧倒的に時間が足りなかったので、結局試験当日にトレースを省略して問題を解くことになりました。
試験当日
試験は地元のテストセンターで受けました。
地方だったため、地元のテストセンターは「基本情報技術者試験」以外の試験を受ける人も同じ部屋で受験をするスタイルでかつ、スタートも自分が好きなタイミングで始めることができます。
集中力が削がれるタイプの人は、同じ試験を一斉にスタートする試験会場を選んだ方が良いかもしれません。
ちなみに私の場合は「ITパスポート試験」のみ県外で受験していて、その際は一斉にスタートする方式でした。
科目Aは計算問題など時間がかかる問題はすべて飛ばして解ける問題から解いていきました。
解き終わったら最初に戻って、計算問題などを進めます。計算問題も、少し解いて時間がかかるなと判断したら飛ばしてわかる問題を解きました。
そして、どうしてもわからない問題はとにかくどれでも良いので穴埋めしておきます。科目Aもなんだかんだ時間が足りずに、計算が必要な問題を数問解くことができませんでした。
科目Bは最後に数問ある情報セキュリティ問題から解くようにしました。アルゴリズムとプログラミングは自信がなかったので、ここを確実に得点につなげる必要があります。
情報セキュリティ問題が終わったら、まずは戻り値を出す問題から着手しました。そして、時間がかかったり読んでもすぐに理解できない問題は飛ばして次に進みます。
最後に穴埋め問題に着手しようと思ったのですが、穴埋め問題は本当にわかりませんでした。
わかる問題を解き終わった時点で、回答できていたのは20問中9問です。問題により配点が異なるようですが、単純計算で8問しか間違えられないのに9問しか答えられなかったことに絶望しました。
しかし諦めずにわからなかった問題を時間をかけて解いていき、時間は全然足りませんでしたがなんとか答えをすべて埋めて試験終了となりました。
「基本情報技術者試験」は試験終了時に画面に結果が出るようになっています。
絶対に落ちた……と思いながらシステムの集計時間をドキドキしながら待っていましたが、結果として合格基準点を超えていたので、内心テンションがぶち上がりました。
結局何点で合格できたの?
個人的には今までにないぐらい勉強していたので、もう少し余裕を持って合格できると思っていたのですが実際にはかなりギリギリの合格となりました。
恥ずかしながら私の実際の結果を公開します。
科目A:645点
科目B:665点
ちなみに600点以上で合格となります。鬼門だった科目Bの方が点数が高いことに驚きました。
ギリギリとはいえ合格は合格です。一度の受験で突破できたので気持ちを切り替えて素直に喜ぶことにしました!
非エンジニアでも基本情報技術者試験に合格できる!
約170時間の勉強を経て、基本情報技術者試験に合格することができました。振り返ってみると、この試験への挑戦は単なる資格取得以上の価値があったと思っています。
試験勉強を通じて苦手だった「計画を立てて学習する」という習慣が身につきました。
無理はしないと心に決めつつ、毎日必ず勉強する、という決まり事をしたおかげで、「基本情報技術者試験」を終えた次の日から早速別の新しい資格試験の勉強を開始しています。
実際勉強をしなかったのは試験前日と試験当日のみだったのですが、勉強をしない方が落ち着かない、という体質になっていたことには自分でもかなり驚きました。
非エンジニアにとって「基本情報技術者試験」は決して簡単ではありませんが、「ITパスポート試験」や「情報セキュリティマネジメント試験」からステップアップし、計画的に取り組めば十分に合格可能であると、私自身が証明することができました。この試験で得た知識や経験は、今後の自分の成長に大きくつながっていくと考えています。
これから「基本情報技術者試験」に挑戦する非エンジニアの方へ。
最初は難しく感じる内容も、適切な教材と学習方法を選んで、コツコツと積み重ねていけば必ず理解できるようになります。
実際の試験でわからない問題にぶち当たっても、最後まで諦めなければなんとかなるはずです!
ぜひ自分が一番続けられる自分のペース、自分の勉強方法を見つけて挑戦してみてください。私の経験が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。