【注意】 Cloud SQL の EOL を迎えた古いバージョンで延長サポートが開始されています(5月から追加料金発生)

【注意】 Cloud SQL の EOL を迎えた古いバージョンで延長サポートが開始されています(5月から追加料金発生)

2025年2月から Cloud SQL の延長サポートが始まっています。幸いなことに追加料金は 2025年5月1日から発生するので、それまでにアップグレードしましょう。延長サポートはかなり高額なので。

ウィスキー、シガー、パイプをこよなく愛する大栗です。

昨年5月に発表がありましたが 2025 年 2 月 1 日から Cloud SQL で EOL を迎えたバージョンについて延長サポートが提供されています。延長サポートは有料のサービスであるため、思わぬ料金になる可能性があるのでご注意ください。最新情報を改めて記載しています。

【アップデート】EOL の MySQL/PostgreSQL の Cloud SQL に延長サポートが提供されます

Cloud SQL の延長サポートとは

MySQL / PostgreSQL の Cloud SQL について開発者コミュニティでサポートが終了したメジャーバージョンに対して Google Cloud がサポートを延長します。延長サポートでは以下のものが含まれます。

  • セキュリティ修正 : 重大なセキュリティバグに対するパッチ
  • バグ修正 : Cloud SQL で管理されているコードのバグの解決
  • サービスレベルアグリーメント(SLA)の対象 : SLA に記載されている基準を満たすインスタンスに対するエディション固有の範囲
  • 新しいインスタンスの作成をサポート : 延長サポートのメジャーバージョンを使用する Cloud SQL インスタンスを作成する機能

延長サポートの期間と対象

MySQL と PostgreSQL を使用した Cloud SQL で EOL に達したバージョンが対象となります。ほとんどの開発者コミュニティによってメジャーバージョンが EOL に達してから 3 か月以内に拡張サポートが開始されます。その時点で対象となった Cloud SQL インスタンスはすべて、拡張サポートに自動的に登録されます。

Cloud SQL for MySQL

メジャーバージョン マイナーバージョン 通常サポート開始日 延長サポート開始日 廃止日 MySQL 自体の延長サポート終了[1] 対象エディション
MySQL 8.4 MySQL 8.4.3 2024年10月1日 2032年4月 Enterprise / Enterprise Plus
MySQL 8.0
(デフォルト)
8.0.40
8.0.39
8.0.37 (デフォルト)
8.0.36
8.0.35
8.0.34
8.0.33
8.0.32
8.0.31
8.0.30
8.0.29 (非推奨)
8.0.28
8.0.27
8.0.26
8.0.18
2020年8月30日 2026年7月1日 2029年7月1日 2026年4月 Enterprise / Enterprise Plus
MySQL 5.7 5.7.44 2016年8月1日 2025年2月1日 2028年2月1日 2023年10月 Enterprise
MySQL 5.6 5.6.51 2016年8月1日 2025年2月1日 2028年2月1日 2021年2月 Enterprise

Cloud SQL for PostgreSQL

メジャーバージョン マイナーバージョン 通常サポート開始日 延長サポート開始日 廃止日 PostgreSQL 自体のサポート終了[2] 対象エディション
PostgreSQL 17 17.2 2024年10月22日 2030年2月1日 2033年2月1日 2029年11月8日 Enterprise / Enterprise Plus
PostgreSQL 16
(デフォルト)
16.6 2024年6月7日 2029年2月1日 2032年2月1日 2028年11月9日 Enterprise / Enterprise Plus
PostgreSQL 15 15.5 2023年5月24日 2028年2月1日 2031年2月1日 2027年11月11日 Enterprise / Enterprise Plus
PostgreSQL 14 14.10 2021年11月11日 2027年2月1日 2030年2月1日 2026年11月12日 Enterprise / Enterprise Plus
PostgreSQL 13 13.13 2020年11月5日 2026年2月1日 2029年2月1日 2025年11月13日 Enterprise / Enterprise Plus
PostgreSQL 12 12.17 2020年5月21日 2025年2月1日 2028年2月1日 2024年11月14日 Enterprise / Enterprise Plus
PostgreSQL 11 11.22 2019年9月27日 2025年2月1日 2028年2月1日 2023年11月9日 Enterprise
PostgreSQL 10 10.23 2020年3月27日 2025年2月1日 2028年2月1日 2022年11月10日 Enterprise
PostgreSQL 9.6 9.6.24 2018年4月1日 2025年2月1日 2028年2月1日 2021年11月11日 Enterprise

延長サポートの料金

延長サポートは有料サービスです。対象バージョンは 2025 年 5 月 1 日から自動的に料金が発生 するためご注意ください。

以下の東京リージョンの場合です。以下の様に EOL から 3年 経過すると料金が高くなります。専用コア インスタンスでは vCPU の数で料金が決まります、共有コア インスタンスは下表の内容となります。インスタンスが実行されている秒数で課金されます。

延長サポート料金 1年目2年目の月額料金 (1時間の料金) 3年目の月額料金 (1時間の料金)
vCPUs $66.43 ($0.091) $132.86 ($0.182)
HA vCPUs $132.86 ($0.182) $265.72 ($0.364)
db-f1-micro $16.79 ($0.023) $33.58 ($0.046)
HA db-f1-micro $33.58 ($0.046) $66.43 ($0.091)
db-g1-small $33.58 ($0.046) $66.43 ($0.091)
HA db-g1-small $66.43 ($0.091) $132.86 ($0.182)

Enterprise Plus デフォルト構成の試算(東京リージョン)

Enterprise Plus のバージョンでは PostgreSQL 12 が今回の延長サポート対象となります。Enterprise Plus のデフォルトの本番プリセット構成は以下のスペックとなっています。

項目 内容
vCPU 8 vCPU
RAM 64 GB
データ キャッシュ 有効(375 GB)
ストレージ 250 GB
ゾーンの可用性 複数のゾーン(高可用性)

Cloud SQL 自体の料金は以下となります。

項目 1 時間あたりの費用 オンデマンド
(月額)
1 年コミット
(月額)
3 年コミット
(月額)
8 HA vCPU($0.1396/HA vCPU/時間) $1.12 $815.26 $611.45 $391.33
64 GiB HA RAM($0.0237/HA GiB/時間) $1.52 $1,107.26 $830.45 $531.49
250 GiB HA SSD($0.442/HA GiB/月) $0.15 $110.50 $110.50 $110.50
375 GiB HA データ キャッシュ($0.0006/HA GiB/時間) $0.23 $156.00 $156.00 $156.00
合計 $3.01 $2,189.03 $1,708.40 $1,189.31

延長サポート料金は vCPU でカウントするため以下となります。

項目 1 時間あたりの費用 月額
延長サポート 1年目/2年目 8 HA vCPU($0.182/HA vCPU/時間) $1.456 $1,062.88
延長サポート 3年目 8 HA vCPU($0.364/HA vCPU/時間) $2.912 $2,125.76

Cloud SQL 自体の料金に延長サポートの料金を加算すると以下となります。

項目 オンデマンド
月額料金
オンデマンド
上昇率
1年コミット
月額料金
1年コミット
上昇率
3年コミット
月額料金
3年コミット
上昇率
サポート期限内 2,189.03 1,708.40 1,189.31
延長サポート
1年目/2年目
3,251.91 148.55% 2,771.28 162.21% 2,252.19 189.37%
延長サポート
3年目
4,314.79 197.11% 3,834.16 224.43% 3,315.07 278.74%

Enterprise Plus ではオンデマンドの場合で約 1.5 倍 〜 2 倍となり、3年コミットの場合では最大 3 倍近い料金となってしまいます。

Enterprise デフォルト構成の試算(東京リージョン)

Enterprise Plus のバージョンでは MySQL 5.6/5.7 と PostgreSQL 9.6/10/11/12 が今回の延長サポート対象となります。Enterprise のデフォルトの本番プリセット構成は以下のスペックとなっています。Enterprise Plus と比べて、メモリが 64 GB → 32 GB と少なくなっており、データ キャッシュが無効になっています。

項目 内容
vCPU 8 vCPU
RAM 32 GB
データ キャッシュ 無効
ストレージ 250 GB
ゾーンの可用性 複数のゾーン(高可用性)

Cloud SQL 自体の料金は以下となります。

項目 1 時間あたりの費用 オンデマンド
(月額)
1 年コミット
(月額)
3 年コミット
(月額)
8 HA vCPU($0.1074/HA vCPU/時間) $0.86 $627.22 $470.41 $301.06
32 GiB HA RAM($0.0182/HA GiB/時間) $0.58 $425.15 $318.86 $204.07
250 GiB HA SSD($0.442/HA GiB/月) $0.15 $110.50 $110.50 $110.50
合計 $1.59 $1,162.87 $899.78 $615.64

延長サポート料金は vCPU でカウントするため以下となります。vCPU あたりの単価は Enterprise Plus と同じです。

項目 1 時間あたりの費用 月額
延長サポート 1年目/2年目 8 HA vCPU($0.182/HA vCPU/時間) $1.456 $1,062.88
延長サポート 3年目 8 HA vCPU($0.364/HA vCPU/時間) $2.912 $2,125.76

Cloud SQL 自体の料金に延長サポートの料金を加算すると以下となります。

項目 オンデマンド
月額料金
オンデマンド
上昇率
1年コミット
月額料金
1年コミット
上昇率
3年コミット
月額料金
3年コミット
上昇率
サポート期限内 $1,162.87 $899.78 $615.64
延長サポート 1年目/2年目 $2,225.75 191.40% $1,962.66 218.13% $1,678.52 272.65%
延長サポート 3年目 $3,288.63 282.80% $3,025.54 336.25% $2,741.40 445.29%

Enterprise ではオンデマンドの場合で約 1.9 倍 〜 2.8 倍となり、3年コミットの場合では約 2.7 倍 〜 4.5 倍の料金となってしまいます。

延長サポートを回避するには

多額の料金が発生する延長サポートを回避する手段は一つしかありません。バージョンのアップグレードです。バージョンのアップグレードの手法としてはいくつかのパターンがあります。

  • インプレースアップグレード[1:1]
  • データを移行するアップグレード
    • Database Migration Service(DMS)を使用してデータを新しいバージョンのインスタンスへ移行する[2:1]
    • 現在のインスタンスからデータをエクスポートして、新しいバージョンのインスタンスへインポートする[3]

さいごに

EOL を迎えた古いバージョンについてセキュリティやバグの修正してくれることはとてもありがたいのですが、試算結果を見る限り延長サポートはかなり高額なサービスです。延長サポートの料金が発生する 2025 年 5 月 1 日までにバージョンアップを片付けてしまいましょう。どうしても間に合わない場合にセキュリティ問題やバグが発見された場合には有料ですが修正されるはずです。落ち着いてアップグレード計画を立てて、粛々と進めていきましょう。

脚注
  1. MySQL データベースのメジャー バージョンをインプレースでアップグレードするPostgreSQL データベースのメジャー バージョンをインプレースでアップグレードする ↩︎ ↩︎

  2. MySQL ソースを構成するPostgreSQL ソースを構成する ↩︎ ↩︎

  3. MySQL データを移行してデータベースのメジャー バージョンをアップグレードするPostgreSQL データを移行してデータベースのメジャー バージョンをアップグレードする ↩︎

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