組織改善の優先順位をどう選ぶ?

2022.03.25

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こんにちわ。従業員体験( EX ) の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
どの組織においても組織改善の対象は常に複数あるでしょう。このとき、どの問題を優先して解決すべきか?
そこで、優先度決定の既存手法から学びつつ、組織の問題の優先度判断に必要な観点を並べてみることにします。
なお、私達は従業員体験の向上をミッションにする部門なので、成果のインパクトとして売上等ではなく、従業員体験の改善度合いを主眼に置きます。

優先度決定の手法

The Eisenhower Matrix

The Eisenhower Matrix はいわゆる「緊急・重要マトリクス」です。
整理したいタスクを緊急・重要の四象限に分けます。
そして
  • 重要・緊急 - 対応する
  • 重要・非緊急 - 対応予定を入れる
  • 非重要・緊急 - 委譲する
  • 非重要・非緊急 - 対応しない
の分類で対応方針を決めます。
詳細はこちらを参照ください。

ICE Scoring Model

ICE Scoring Model は、 Impact(インパクト) / Confidence(確信度) / Ease(容易性) の3つの尺度でスコアリングをして優先順を判断する手法です。それぞれの頭文字をとって ICE になっています。
スコアはそれぞれ10段階にして、最後にかけ合わせます。つまり
  • I x C x E = ICE Score
です。詳細はこちらを参照ください。

組織の問題の優先度判断に必要な観点

2つの手法を確認してみましたが、組織改善の対象になるものは重要・緊急に分類されるものが多そうだし、 The Eisenhower Matrix だけでは、順序を決めることができなそうです。
ICE Scoring は10段階評価の指標3つの乗算結果なのでもっと詳細に順序づけできそうです。
ただ、 ICE Scoring の容易性は実施難度の尺度です。つまり、問題が明確化されたあとの解決策の検討まで大枠済んでいる必要があります。組織改善の対象を選ぶ段階では解決策の検討はしていない前提になります。となると、 IC 部分のみをスコアリングすることになりそうです。
確信度については ICE の考え方をそのまま活用できそうです。
インパクトについて、従業員体験の軸でどのような変数があるか整理してみましょう。
  • 問題が解決した際のインパクトの大きさ - Size
    • 問題の解決が1人の社員の体験に与えるインパクト
      • 1 - 小さな影響がある
        • インパクトがあるが単発
      • 2 - 影響がある
        • インパクトがあり、継続。効果は小さい
      • 3 - 大きな影響がある
        • インパクトがあり、継続。効果は普通
      • 4 - 絶大な影響がある
        • インパクトがあり、継続。効果は大きい
        • 退職を思いとどまるほど or 仕事にいくのが楽しいと言える状態になる
  • 問題が解決した際のインパクトの範囲 - Range
    • 問題の解決がどのくらいの数の社員に影響を与えるか?
        •  1 - 全社の25未満の社員
        •  2 - 全社の25以上50%未満の社員
        •  3 - 全社の50%以上75%未満の社員
        •  4 - 全社の75%以上の社員
      • なお、部門内の問題の優先順を決める文脈で考える場合は全社が基準ではなく部門全体が基準になるものとします
  • 問題間の依存関係があるか? - Dependency
    • その問題の解決が他の問題の解決のためのブロッカーになっているか?
    • ブロックされている側のタスクは少なくとも最優先で対応する対象ではないことが確認できる
Size の部分の単発と継続について補足します。組織改善の施策は効果が継続的なものと単発のものがあります。
例えば社員に対する承認の場として、単発の表彰を行ったとします。この効果は単発でしょう。逆に、マネージャーのためにコーチング研修を行いコーチングスキルの向上したとします。この効果は今後マネージャーが在籍し続ける間中継続するという意味で継続です。
このあたりを総合して、10段階のインパクトのスコアを導くとよさそうです。
最終的にインパクトのスコアと確信度のスコアをかけ合わせたスコアを元に優先順を決めることができそうです。

まとめ

まだ整理段階で実際にここでまとめた内容に基づいてそのまま進めると決まったわけではありませんが、この内容をたたき台にチームで議論してみようと思います。試行錯誤して進め方が固まってきたらしばらくして改めて発信できればと思います。

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