Oracle Database 19cをWindowsへインストールする際に「[INS-30014] 指定された場所がCFSにあるかチェックできません」と言われたら
はじめに
皆様こんにちは、あかいけです。
最近Oracle Database 19cをEC2上のWindows環境にインストールする機会があったのですが、インストール時に見慣れないエラーに遭遇しました…。
エラーメッセージだけ見ても原因がさっぱり分からず、ディスクを疑ったり、アクセス権限を疑ったり、かなり遠回りをしてしまいました。
最終的な原因は意外なところにあったので、同じところでハマる方が少しでも減るように記事にまとめます。
前提条件
- OS: Windows Server 2025(AWS公式AMI:
Windows_Server-2025-Japanese-Full-Base-XXXX.XX.XX) - ミドルウェア: Oracle Database 19c(Windows版)
発生したエラー
インストーラーのデータベースの記憶領域にて、ファイルシステムを指定する際にエラーが出ました。
Dドライブを指定した場合でもCドライブを指定した場合も、指定したフォルダに関係なく同じエラーが発生しました。
[INS-30014] 指定された場所がCFSにあるかチェックできません

「CFS(Cluster File System)にあるかチェックできない」と言われても、クラスタ構成でもなんでもないただのローカルディスクなので、最初は何を指摘されているのか全く見当がつきませんでした。
原因にたどり着くまでの試行錯誤
ここからは、原因にたどり着くまでに試したこと(=結果的に効かなかったこと)を残しておきます。
「CFSにあるかチェックできない」というメッセージから、ディスクやファイルシステム、アクセス権限まわりを順番に疑っていきました。
ディスク・ファイルシステムの状態を確認する
まずは指定先ドライブの状態とファイルシステムを確認しました。
しかしながらファイルシステムはNTFS、状態もHealthyで、ディスク自体には特に問題なさそうでした。
PS C:\Windows\system32> Get-Volume D
DriveLetter FriendlyName FileSystemType DriveType HealthStatus OperationalStatus SizeRemaining Size
----------- ------------ -------------- --------- ------------ ----------------- ------------- ----
D ボリューム NTFS Fixed Healthy OK 199.89 GB 199.98 GB
PS C:\Windows\system32> fsutil 8dot3name query D:
ボリュームの状態は 1 です (8dot3 名の作成は無効です)
レジストリの状態は 2 です (ボリューム単位で設定します - 既定値)
以上の設定に基づいて、8dot3 名の作成は "D:" で無効です
PS C:\Windows\system32> icacls D:\oracle\oradata
D:\oracle\oradata BUILTIN\Administrators:(F)
BUILTIN\Administrators:(I)(OI)(CI)(F)
NT AUTHORITY\SYSTEM:(I)(OI)(CI)(F)
CREATOR OWNER:(I)(OI)(CI)(IO)(F)
BUILTIN\Users:(I)(OI)(CI)(RX)
BUILTIN\Users:(I)(CI)(AD)
BUILTIN\Users:(I)(CI)(WD)
1 個のファイルが正常に処理されました。0 個のファイルを処理できませんでした
PS C:\Windows\system32> fsutil fsinfo ntfsinfo D:
NTFS ボリューム シリアル番号 : XXXXXXXXXXXXXXXXXX
NTFS バージョン : 3.1
LFS バージョン : 2.0
総セクター数s : 419,393,535 (200.0 GB)
総クラスター数 : 52,424,191 (200.0 GB)
空きクラスター数s : 52,399,789 (199.9 GB)
予約済み総クラスター数 : 1,024 ( 4.0 MB)
記憶域予約用に予約済み : 0 ( 0.0 KB)
セクターあたりのバイト数 : 512
物理セクターあたりのバイト数 : 4096
クラスターあたりのバイト数 : 4096 (4 KB)
FileRecord セグメントあたりのバイト数 : 1024
FileRecord セグメントあたりのクラスター数 : 0
MFT の有効なデータ長 : 256.00 KB
MFT 開始 LCN : 0x00000000000c0000
MFT2 開始 LCN : 0x0000000000000002
MFT ゾーン開始 : 0x00000000000c0000
MFT ゾーン終了 : 0x00000000000cc820
MFT ゾーン サイズ : 200.13 MB
デバイスの最大トリム エクステント数 : 0
デバイスの最大トリム バイト数 : 0
ボリュームの最大トリム エクステント数 : 62
ボリュームの最大トリム バイト数 : 0x40000000
リソース マネージャー識別子: XXXXXXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXXXXXXXXXX
8dot3name(短い名前)の生成を有効化する
fsutil 8dot3name queryの結果で「8dot3名の作成は無効」となっていたのが気になったので、短いファイル名(8.3形式)の生成を有効化してみました。
しかしながら、これも関係なさそうでした。
PS C:\Windows\system32> fsutil 8dot3name set D: 0
8dot3name の生成が "D:" で有効になりました
PS C:\Windows\system32> fsutil 8dot3name query D:
ボリュームの状態は 0 です (8dot3 名の作成は有効です)
レジストリの状態は 2 です (ボリューム単位で設定します - 既定値)
以上の設定に基づいて、8dot3 名の作成は "D:" で有効です
フォルダのアクセス権限を見直す
エラーメッセージの公式な説明では「指定された場所に必要な権限がない可能性がある」とされていたので、データファイル格納先フォルダにアクセス権限を付与してみました。
しかしながら、これも関係なさそうでした。
PS C:\Windows\system32> icacls "D:\oracle" /grant "Authenticated Users:(OI)(CI)F" /T
処理ファイル: D:\oracle
処理ファイル: D:\oracle\oradata
2 個のファイルが正常に処理されました。0 個のファイルを処理できませんでした
PS C:\Windows\system32> icacls D:\oracle\oradata
D:\oracle\oradata BUILTIN\Administrators:(F)
NT AUTHORITY\Authenticated Users:(OI)(CI)(F)
NT AUTHORITY\Authenticated Users:(I)(OI)(CI)(F)
BUILTIN\Administrators:(I)(OI)(CI)(F)
NT AUTHORITY\SYSTEM:(I)(OI)(CI)(F)
CREATOR OWNER:(I)(OI)(CI)(IO)(F)
BUILTIN\Users:(I)(OI)(CI)(RX)
BUILTIN\Users:(I)(CI)(AD)
BUILTIN\Users:(I)(CI)(WD)
1 個のファイルが正常に処理されました。0 個のファイルを処理できませんでした
PS C:\Windows\system32>
念のためフォルダを一度削除して作り直したりもしましたが、状況は変わりませんでした。
Remove-Item -Path "D:\oracle" -Recurse -Force
New-Item -Path "D:\oracle\oradata" -ItemType Directory
前提条件チェックを無視・強制してみる
それでもエラーが解消しなかったので、インストーラーの前提条件チェックを無視・強制するオプションも試しました。
- 前提条件チェックを無視する場合
.\setup.exe -ignorePrereq
- 強制する場合
.\setup.exe -force
ただ、これらはでもエラーは解決しませんでした。
本当の原因:コンピューター名(ホスト名)の15文字制限
色々と試した結果、
最終的にたどり着いた原因は Windowsのコンピューター名(ホスト名)が15文字を超えていたこと でした。
実際にサーバー名を15文字以内にして再度インストーラーを実行したところ、冒頭のエラーが解消しました。
Rename-Computer -NewName "<15文字以内のサーバー名>" -Force -Restart
なぜ15文字なのか
「なぜディスクのチェックエラーなのにコンピューター名が関係するの?」と思いますよね。
私も最初はピンときませんでした。
これは NetBIOS名の文字数制限 が関係しています。
具体的には以下のような制限があります。
- NetBIOS名は 16バイト(ASCII文字) で構成される
- ただし 16文字目はNetBIOSサフィックス(用途を識別するための予約文字) として使われる
- そのため、ユーザーが使えるコンピューター名は実質 15文字まで に制限される
なお公式ドキュメントでは原因が「権限不足」としか説明されておらず、ホスト名との関係は明記されていません。
そのため理由は定かではありませんが、事実としてはホスト名を15文字以内にすると本エラーは解消しました。
(もしかしたら、インストーラーのCFSチェックがホスト名(NetBIOS名)の解決に依存していて、15文字を超えたことでそこがうまく処理できずエラーになったのかも…?という想像はしています)
なお、[INS-30014]は15文字制限以外(管理者権限不足、フォルダのアクセス権限不足、hostsファイルの設定など)でも発生するエラーらしいので、まずは「コンピューター名が15文字を超えていないか」を確認し、問題なければ他の原因を疑う、という切り分けが良さそうです。
補足:Oracle Database限定の話ではない
ちなみに、この15文字制限はOracleの都合ではなく Windows OS(NetBIOS)側の仕様 です。
そのため、実はOracle以外の製品でも、コンピューター名(ホスト名)が15文字を超えていることが原因のエラーが報告されています。
- SQL Server(Always On可用性グループのリスナー)
リスナーのDNS名はNetBIOSの制約から 15文字まで に制限されています。Microsoft公式ドキュメントにも「NetBIOS recognizes only the first 15 chars in the dns_name」と明記されています。
Configure availability group listener - SQL Server Always On(Microsoft Learn) - Windowsフェイルオーバークラスタ(クラスタ作成)
ホスト名が15文字を超えていると、クラスタ作成ウィザードが「Invalid computer name(コンピューター名の形式が無効)」という、原因が分かりづらいエラーで失敗する事例が報告されています。
New-Cluster Wizard fails with generic "Invalid computer name" error when hostname > 15 chars(Microsoft Q&A) - Active Directoryのコンピューター名
そもそもActive Directoryのコンピューター名の命名規則として、NetBIOS名は15文字までと定められています。
Naming conventions for computers, domains, sites, and OUs(Microsoft Learn)
そのため「Windowsでコンピューター名が長いとNetBIOSの制約に引っかかることがある」というのは頭の片隅に置いておくと、いつか役に立つかもしれません。
さいごに
以上、Oracle 19cインストール時に[INS-30014]でハマった話でした。
ディスクやアクセス権限を散々疑ったあげく、原因がコンピューター名の文字数だったときは正直拍子抜けしてしまいました…。
ですが、NetBIOS名の15文字制限という汎用的な落とし穴を知れたのは良い学びでした。
同じ事象で困っている方の助けになれば幸いです。





