組織課題の解決シリーズ – 例説〜具体例による認識合わせ

2022.07.14

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こんにちわ。従業員体験( EX ) の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
組織に関わる定番の問題、その解決策をまとめる組織課題の解決シリーズです。
  • 前提知識 - このお題を説明する上で必要な前提知識
  • 組織の臭い - 解決が必要な対象の症状、問題点
    • プログラムにおける「コードの臭い」を想定しているものです
  • 組織課題の解決テクニック / 臭いの解決方法
の構成でまとめます。
今回のお題は「例説〜具体例による認識合わせ」です。

前提知識

特になし。

組織の臭い - ふわっとした議論で認識がズレる

曖昧な表現、抽象度の高い議論。物事を手早く伝える上で大まかな表現は便利な側面はありますが、大まかなために認識がずれやすい側面があります。特により広い管掌範囲を持っている人ほど、話題の対象の抽象度が高くなりやすいため、人知れず認識のズレが発生しやすいのでは、と予想します。

例 - 採用候補の選考基準

採用候補の選考基準に関して関係者で議論していたとします。
  • A「この求人の要件としては、地頭の良さが欠かせない」
  • B「それは確かに」
  • C「そうだそうだ!」
  • D「zzz...」
という会話があったとします。
地頭を評価基準に加え、選考を実施し、 A さんが面接官をした X さんが入社しました。また、 B さんが面接官をした Y さんが入社しました。
しばらくして、実際に X さん・ Y さんの働きぶりに関してチームメイトからこんな意見がありました。
  • A「Y さんの地頭がよくないのだけど、 B さんはどこをみてたの?」
  • B「そんなことはない。むしろ X さんの地頭が全然よくないのだけど、 A さんはどこをみてたの?」
  • C「まぁまぁ、セパタクローでもして落ち着こうよ」
  • D「zzz...」
このケースでは、地頭という非常に広い範囲を表し、個々人にとって解釈の違う用語で話し合ったため一見評価基準に対して同じ認識で合意できたように見えましたが、実はお互いが考えているものが違う、という結果になっています。

組織課題の解決テクニック

曖昧な表現や抽象度の高い表現で議論が進んでいたら、具体的に何を表しているかを確認するために具体例による認識合わせ = 例説を行うのが一つの手です。
先の「採用基準の例」であれば、
  • D 「地頭の良さは、人によって表す意味が違うように思います。」
  • D 「例えば、物事を吸収する能力の高さ」
  • D 「例えば、当意即妙な受け答えができるコミュニケーションのうまさ」
  • D 「そういうものがあるかと思いますが、AさんとBさんが伝えたかった地頭はどちらですか?それともまた別ですか?」
  • A, B 「え?(あまりふかく考えてなかった)」
  • D 「・・・」
  • D 「今回の求人対象の職務要件や課題感を踏まえると、みなさんが言いたかった地頭の良さは、言われたことをできるだけではなくて、自ら業務の問題点を発見して、解決していけるような人がほしい、という意味であってますか?」
  • A, B 「そうそうそれが言いたかったんだよ」
  • C 「話がまとまってめでたい!白石温麺食べる?」
というような形で認識を合わせていきます。
私が尊敬する結城浩先生の言葉に「例示は理解の試金石」というものがあり、若干今回の例とは文脈は異なりますが、理解にとって例示が重要という点では通ずるところがあります。
ちなみに、この組織パターンカタログに必ず「例」を添えているのも具体例による理解の強化が目的です。

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