アウトカムに着目して複雑な業務プロセスをシンプルにする

アウトカムに着目して複雑な業務プロセスをシンプルにする

業務プロセスが複雑になると、効率が落ち、柔軟な対応が難しくなります。本記事では、アウトカムに着目した業務設計の考え方を取り上げ、不要なステップを削減し、シンプルで効果的なプロセスを構築する方法について考えます。
Clock Icon2025.02.17

こんばんは。僕です。

はじめに

業務プロセスの設計では、「誰が」「何を」「どのように」行うかが重視されることが多いです。しかし実際には、「どんな結果を得るか(アウトカム)」こそが重要です。業務が仕組みとして複雑化すると、従業員の負担が増し、柔軟性が失われ、結果として本来の目的から遠ざかってしまうことがあります。

そこで本記事では、アウトカムに着目して業務設計をシンプルにする方法について考えます。不要な作業やステップを削減しながら、より効果的な業務プロセスを構築するためのポイントを整理してみます。

業務が複雑化する理由

業務プロセスの複雑化には、いくつかの要因があります。

  • ルールの追加 組織が成長するにつれ、新しい規則や承認プロセス等が次々と導入され、業務フローが煩雑になる。
  • ツールの乱立 異なる部門やチームが独自のツールを使用し、それぞれのプロセスが統合されていないために余計な手間が発生する。
  • 属人化した運用 特定の担当者に依存した業務が多く、他の人には分かりにくい方法で処理されている。
  • リスク回避の優先 ミスを防ぐために過剰な確認作業が増え、結果としてスピードが損なわれる。

こうした要因が積み重なると、業務の本来の目的とは関係のない手順が増えてしまい、非効率な状態に陥ります。

アウトカムに着目した業務設計の考え方

業務を整理する上で役立つのが、「アウトカムドリブン」のアプローチです。「本当に達成したい成果(アウトカム)は何か?」を最優先に考え、その成果を出すために必要最小限のステップだけを残すという考え方です。

必要な3つのステップ

  1. 目的を明確にする

    • 業務プロセスの本来の目的が何かを言語化し、「この業務は何のために行うのか?」を整理する。
    • 例えば、オンボーディングプロセスの改善を考える場合、「新入社員がスムーズに業務に慣れ、早期に戦力化すること」が目的となる。この目的に直接関係のない、情報が重複したマニュアルの提供や、確認が形骸化したチェックリストの管理は見直す余地がある。
  2. 成果の指標を設定する

    • アウトカムを適切に評価できるよう、定量・定性の両面で指標を設定する。
    • 例えば、「入社3か月後の業務適応率(上司・本人の評価を基に〇%以上に向上)」「オンボーディング完了後の従業員定着率を〇%向上」「新入社員の業務独り立ちまでの平均期間を〇%短縮」など、新入社員の適応度や成長スピードを測定できる指標を設定することで、単なるプログラム完了数ではなく、その実効性を重視する。
  3. プロセスを簡素化し、自動化できる部分はシステムを活用する

    • 不要な手続きや、情報提供の重複を削減し、システムを活用して効率化する。
    • 例えば、新入社員向けのオリエンテーション資料や基本情報の提供は、ナレッジベースやイントラネットを活用して一元化し、質問対応のためのチャットボットを導入することで、担当者の負担を軽減しつつ、必要な情報にアクセスしやすい仕組みを整える。
    • ただし、人との関わりが重要なメンター制度や1on1ミーティングについては、単なるフォーマット化ではなく、より質の高い対話ができる環境の整備に注力する。

アウトカムベースの業務設計がもたらすメリット

こういったアプローチによる業務のシンプル化には、以下のようなメリットがあります。

  • 目的の明確化 組織全体で「何を達成すべきか」が明確になり、業務の意義が伝わりやすくなる。
  • 業務のスピード向上 ステップが減ることで、意思決定や処理のスピードが速くなる。
  • 作業の効率化 単純作業を可能な範囲で自動化することで、重要な業務に集中できる。
  • 従業員の負担軽減 本質的な業務に集中できるため、ストレスが減り、生産性が向上する。

実践のポイント

アウトカムベースの業務設計を実践する際は、次のような点に注意すると効果的です。

  • アウトカムに対する解像度を上げる 目的意識が曖昧だったり偏ったりしていると、「あちら立てればこちらが立たぬ」という結果になりかねません。幅広い視野でじっくりとアウトカムを見つめ直すことが重要です。
  • 関係者を巻き込む 業務を変更する際には、現場の担当者や関係者の意見を取り入れながら進めるようにします。
  • システム化と人の関与のバランスをとる 自動化できる部分はシステムに任せ、重要な判断や対話のプロセスは適切に残すようにします。
  • データを活用する 変更後の効果を評価するために、可能な範囲で、業務効率の変化を数値で測定します。
  • 継続的な見直しを行う 一度シンプルにしたプロセスも、定期的に見直し、不要なものが増えないように心がけます。

おわりに

業務の本来の目的を見直し、アウトカムに着目して設計することで、必要な作業だけに集中できるシンプルなプロセスを作ることができます。冗長な手順をなるべく小さなものにし、適切にシステムを活用することで、業務の精度やスピードを向上させられます。

現在の業務を振り返り、「このプロセスは本当に必要か?」「この作業は自動化できるか?」という観点で見直すことで、より効果的な業務のあり方が見えてくるかもしれません。

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