[レポート] 変化とともに歩むプロダクトマネジメント – プロダクトマネージャーカンファレンス2020 #pmconf2020
2020年10月27日に開催された プロダクトマネージャーカンファレンス2020 ~見えない未来をリードするプロダクトマネジメント~ の『変化とともに歩むプロダクトマネジメント』セッションのレポートです。
概要
急速に変化し続けるEコマース。その中で顧客にとって意味のあるプロダクトを作り続けるためにはどんなアプローチを取りうるのかを考えます。
登壇者
神川 亜矢 / Shopify Japan株式会社 / シニアプロダクトマネージャー
セッション
今日のテーマ
- 誰の視点で問題を定義するか
- 変化に対するリーダーシップ
誰の視点で問題を定義するか
- リリースまでの道のりは一般的なアジャイル
- 問題を定義するまでのプロセスは企業によって違う
リリース済みの機能を改善したいとき、どこから問題を見つめればよいか
- PM視点でスタートすると?
- 利用率の低について、技術的、UX的な問題の説明に終始しがち
- お客様にとってどうなのか?が不明確になる
- どうでもいい機能で心配している場合がある
- ビジネス視点でスタートすると?
- 要件を定義する前の段階で、売上とか成長率からだけで判断するのは危険
- マーチャントを「主語」にしてスタートする
- jobs to be done for merchants
- マーチャントは、「店舗位運営に必須のこの作業をしたい、、、が苦労している」というストーリーがある
- その背景にはどういう商習慣があるのか、、、
- 機能の使い方、期待値は、、、
- 世界的にはどうなのだろう、、、
- そのためにはより多くの市場調査、リサーチが必要
- 時間はかかるが、より深く問題の本質を取りこぼしなく拾い上げることができる
マーチャントの視点を考慮した上で問題を定義する
- 自分のチームのUXデザイナーやエンジニアだけでなく、shopify内部のかなり多くのチームのフィードバックを受ける
- shopifyでは、単にステークホルダーの要件定義を見てもらうだけではない
- 全然関係のないプロジェクトを担当しているPMやエンジニアに見てもらうことが多い
- 逆に、レビューを依頼されることもある
- これにより、斜め上の想定しないシナリオでの質問が飛んでくる
- 踏まなくていい地雷を取り除くことができる
- より深く問題を見ることができる
- 時間はかかるが、丁寧にフィードバックを受ける
変化に対するマインドセット
shopifyでは初期から常に、続ける意味があるのかを繰り返し問われる
- いろいろなデータを見ながら考え、証明し続けなければいけない
- 世の中の情勢は常に変わっている
- プロジェクトを続ける意味は絶えず問われなければならない
PMができること
- スコープを見直すこと
- 一時停止
- 状況を観察した結果、問題なければ再開
- ピボット
- 必要に応じてピボット
- どの道を選ぶにしても、プロダクトマネージャーはその根拠のある理由を、チーム内、ステークホルダーなど、みんなに説明をしなければならない
変化に対する判断力
- 技能はなくてもプロダクトマネージャーにはなれるが、変化に対する決断力、判断力、リーダーシップは必須
変化やピボットを繰り返すということに対する、よくある質問
- ピボットしたり一時停止した場合、「代わりのプロジェクト」は見つかるのか
- yes
- どんな部署でもパートナーと話す機会はたくさんある
- 考えるべき問題はたくさんある
- 様々なデータ調査結果を使って多くの問題を発見し、定義までしておく必要がある
- yes
- コロコロ対応を変えるのは迷走しない?非効率では?
- 軸がブレなければ大丈夫
- マーチャントが何に困っているかにフォーカス
- マーチャントが必要じゃないことはやるべきじゃないですよね
- 緊急性の高い問題が出てきた場合はそちらを優先
- covid-19はまさにその例
- 前提としていた世界が一気に変わってしまった
- いまマーチャントが困っていることに対応することがより大切
- 一時停止・ピボットする必要が出てきた
- その結果として優先順位が上がった機能の例もある
- 飲食店がオンラインサービスを提供するなど
- 軸がブレなければ大丈夫
感想
日本でも急成長しているshopifyのプロダクトマネージャーがどのようにプロダクトに向き合っているのか、とても興味を持ちながら講演を聞いていました。
常にマーチャント視点と向き合い、変化に対するリーダーシップを取り続ける。さらにその変化に対する根拠を常にshopify内部で多方面から精査しつづけるというストイックなプロダクトマネージャー像がとても印象的でした。
こういった本質的な議論の繰り返しが、covid-19のような不確実な状況下での適切な舵取りに繋がったということなのでしょうか。
とても背筋が伸びる思いでした。