[レポート]世界で3,000万ユーザが利用するAPIプラットフォームPostmanが遂に日本上陸!記念イベントセッションレポート

2023.12.07

こんにちは、アライアンス事業部の兼本です。

このエントリは2023年12月5日にグランドハイアット東京で開催された「Postman 日本上陸記念イベント」のセッションレポートです。

Postmanとは?

無料のAPIテストツールとしてご存じの方も多いのではないかと思います。
私もAPIの動作検証をする際にPostmanを利用することがあり、イベントに参加するまではAPIテストツールくらいの認識でしたが、実際には、Postman は APIライフサイクルの各ステップを簡素化し、コラボレーションを合理化することで、より優れた API をより迅速に作成できる、APIの開発・テスト・運用を効果的に行えるAPIプラットフォームサービスです。
さらに開発したAPIをPostmanが提供するパブリックAPIネットワークを通じて共有することで、API連携を強力に支援する仕組みを提供しています。

オープニング:日本上陸のご挨拶

スピーカー:Postman 株式会社 代表取締役社長 平林 良昭氏

  • Postmanは2014年にインド設立され、その後、2017年にUSオフィスを開設、そして2023年4月に日本オフィスを開設した
  • すでに日本国内には40万人を超えるユーザがおり、開発者だけではなくて非開発者の方もPostmanを使っている
  • 日経平均225社のうち82%にあたる185社が利用している
  • Freee社がPostmanのパブリックAPIネットワーク上でFreee APIを公開した

  • 日本法人立ち上げ後は積極的にミートアップや無料ワークショップ、外部イベントを通じて国内のPostmanユーザとのコミュニケーションをとってきた

  • 2023年12月1日には日本語対応ベータ版を公開!日本語版開発にあたっては200名くらいの方にアーリーアクセスプログラムに参加いただき感謝している

ここでトップコントリビュータの方、3名が表彰されました。

Postman を利用した API ファースト開発の促進

スピーカー:Postman, Inc. 最高経営責任者 兼 共同創業者 アビナフ・アシュタナ氏

  • Postmanは世界中で50万社以上、3,000万人以上のユーザが利用している
  • PostmanはAWS、Azure、GoogleCloudなどのパブリッククラウドベンダ、Slack、Zoom、Atrassian、Salesforce、Twillio、Stripe、国内ではFreeeなど多くのSaaS企業とパートナーシップを締結している
  • API利用は2014年から2023年の間に急激に延びており、多くの企業においてAPIが利益を生み出し、さらなる投資を考えている
  • 一方で爆発的に普及しているAPIの管理は大変複雑化しており、インフラやコード・運用監視と同様に、APIにも専用のプラットフォームが必要となってきた
  • Postmanは、APIのテストだけでなく、作成・管理・利用までをトータルに支援可能なAPIプラットフォーム
  • APIファーストで顧客を大切にすることで、テクノロジーが素早くビジネスニーズに対応できるようになる
  • 更に生成AIを活用したPostbotやノーコード、ローコードでのAPI利用を助けるPostman Flowsなども提供している

ゲスト基調講演「日本の競争力とソフトウェア開発の在り方」

スピーカー:PwC コンサルティング合同会社 代表執行役 CEO, パートナー アジアパシフィックコンサルティングリーダー 大竹 伸明氏

  • 日本の競争力は1991年1位から2023年時点では世界35位になり、日本のGDPは間もなく4位に転落するかもしれない状況
  • いくつかの要因が考えられる
    • 失敗は少ないが、モノづくりと意思決定に時間がかかってしまう「高品質を是とする文化」
    • アジリティをもって変化に対応できず、世界で競争力を維持できなかった「ソフト・サービスの時代で苦戦」
  • 従来の日本企業の特徴として、高品質で安全安心な製品、商品を提供するモノ売りを得意としていた
  • 一方で現在時価総額上位の企業の特徴は、データドリブンで迅速なサービス追加・変更・廃止を行うソフトウェア、サービスなどコト売りが主流
  • 圧倒的なスピードとアジリティをもって、非常に短いサイクルで改善しながら品質を高めるキーテクノロジーのひとつとして、APIが挙げられる
  • 起こりうる近未来の変化に備えることが重要
  • 競争力獲得に向けた課題
    • コラボレーション・アライアンスにより、自社だけでは実現できない競争力を獲得
    • 日本の強みである安全と品質の担保
    • 取り組みを支える持続可能な仕組み・環境の整備
  • そのために必要なソフトウェア開発の在り方
    • 設計思想の転換
    • 効率的に攻めるための仕掛け
    • 変化に追従可能なアーキテクチャ
  • 良いものを「使う」「つなげる」ことが重要になる

炉辺談話 - Postman これまでの道のり

インタビュイー:Postman, Inc. 最高経営責任者 兼 共同創業者 アビナフ・アシュタナ氏
インタビュアー:Postman 株式会社 代表取締役社長 平林 良昭氏

(アビダフ氏は機械翻訳のみだったので、聞き取れた範囲でQ&Aをまとめています。ご了承ください。)

Q) Postmanを設立したきっかけは?

A)Yahoo Indiaでインターンをしていたとき、アプリケーションのAPI開発をした。当時はAPIの仕様を毎回マネージャに確認しなければならず、苦労をした思いからAPIを効率的に開発・運用できる仕組みの必要性を感じた。初期はChromeの拡張機能としてリリースしたが利用者が50万ユーザを超え、手ごたえを感じたので2014年にPostmanを設立した。

Q) 活動拠点をインドからUSに移した狙いは?

A)もともとはインドで10人で始めたが、テクノロジーが最も早い場所で活動したかったため、サンフランシスコにマーケティングの拠点を作った。現在、20か国に700人の社員がいる。

Q) Postmanの成長はいつまで続くと考えているのか?

A)ソフトウェアに対する需要が日々高まっており、それに対して開発者が不足している。API開発もまだまだ伸びるので、数年にわたって成長すると考えている。

Q) 開発者以外がPostmanを利用する未来は来るのか?

A)開発者がAPIを使うのは非常に簡単になった。Postmanでは生成AIを活用したPostbotやビルディングブロックを接続してノーコード・ローコードでAPI開発を支援するFlowsを提供することで、非開発者のAPI利用を支援することができる。

Q) 生成AIが注目されていますが、Postmanへの影響は?

A)生成AIは今とても勢いがある。すべてのコンピュータを補完できる(クラウド、モバイルなど)ため、自社でもPostbotをリリースした。自身のブログでも書いたが、LLM(生成AI)は脳、APIはその手足といえるため、生成AIとPostmanの相性はとても良いと考えている。

(ここからは会場からの質問)

Q) Postmanのロゴの由来は?

A)開発者ツールを石器時代から宇宙時代に進化させたいという思い。なので、アイコンの人は単なる郵便配達員ではなく「惑星間郵便配達員」。オレンジを選んだのは、当時、青いロゴが多かったから目立たせるためです(笑)

Q) 日本は自前主義で人が作ったものを信頼しない傾向がある。APIの利便性は理解するが、うまくいかなかったときにだれが責任を取るのか、Postmanは何を助けてくれるのか

A)日本が高品質を期待してることは理解しており、同時に非常に協力的な側面があることも認識している。Postmanでは信頼性をより担保するためにAWS S3 APIを利用している。

Q) Postman FlowsやPotbotの登場により、Postmanは開発者向けのツールから非開発者向けに転換するのか?

A) 製品としての方向性は変えておらず、期待されている機能を追加しただけ。最近ではGraphQLのサポートやパフォーマンス向上も行っており、Postmanにとっては開発者が一番の利用者であることに変わりはない。

Q) Postmanがメジャーになったポイントのひとつは無償版の存在が大きいと考えているが、今後、無償版の機能を制限することはあるのか?

A) これまでと変わらず、すべての機能を無償版でも提供する。もし企業がPostmanを標準として使いたいときには是非有償版を使ってほしい。

Q) トラクション(起業初期の認知向上や顧客獲得のための活動)として、どのような活動をしたのでしょうか?

A) オンライン上で活動をしました。Stack OverflowのようなエンジニアコミュニティでAPIの使い方を支援したり、Postmanの無償版を紹介することで開発者問の信頼関係を築き、ビジネスを拡大した。

Q) 今後、企業規模によって無償版が使えなくなるような制限は発生しますか?

A) 私たちは開発者を支援することを第一にしたいと考えている。経営陣が組織としてAPIの標準化を図りたいと考えたときにPostmanを採用してもらえるようにする。

Q) Postman Flowのプロモーション動画を見ると非エンジニアを強く意識している感じたが、今後、Postmanは非エンジニアの利用者を増やしたいのか?

A) Postmanは常に開発者を中心に考えている。Postman FlowやPostbotは非エンジニアでも使いこなせるが、あくまでもエンジニア向けに提供している。Postman Flowは柔軟性、カスタマイズが高く開発ツールとしても使ってもらえると考えている。Postmanが重視するのはエンジニアであり、今後も複雑なAPIを簡単に使えるようイノベーションを続けたい。

Q)Postmanにライバルはいるのか?

A) 私たちは常に顧客を見ている。顧客にフォーカスしているので競争相手もいないと考えている。

APIでデベロッパーの力を解き放とう!

スピーカー:ウルシステムズ株式会社 代表取締役会長 漆原 茂氏

  • PostmanはAPIのテストツールとして知ったが、使い勝手がいいので手放せなくなったエモいツール
  • 自己紹介はJSON形式で(笑)

  • 予算がないのにモノリシックで要求が多い、混乱して疲弊しているのに課題がわからない、こんなつらいプロジェクトからデべロッパーを解放したい!

  • エンジニアはもっとビジネス領域に踏み込もう
    • デべロッパーこそ経営するべき!
    • たのしい、エモい開発でいこう
    • DAY1からビジネスをできる時代
    • Postmanを使えば、APIを組み合わせてすぐにアプリケーションを動かすことができる
    • 世の中のイケてるAPIを組み合わせる
    • 業務のビルディングブロックとして活用
    • この部分、Postmanに期待している!
  • APIの開放
    • つくったものをほかの人に使ってもらう
    • APIを利用して素早く作る→自らのサービスAPIを広く開放して使ってもらう
    • 適切なサービス化こそ(エンジニアの)腕の見せ所!
    • いわれた機能を作るだけではなく、この機能がどんなメリット、利益を生み出すのかを考える
    • デベロッパーとして業務がわかっているなら、疎結合でいい感じに作っていこう
    • 最初は社内業務
    • それから特定のお得意様
    • そして一般向けに公開
    • API化された資産の管理がDXそのもの→これこそが企業の価値になるのでは?
    • デベロッパーに求められる新たなスキル
    • こういうことができるエンジニアなら生成AIには負けない
  • コミュニティとの連携
    • 引きこもってコード書いてる時代は終わり
    • APIはブラックボックス?→このまま使って大丈夫?
    • 中身を見通せてこそ、デベロッパーの真価
    • エンジニアならなんとなくわかるやろ
    • APIの中の人と話そう!
    • デベロッパー同士のコミュニティがあるからPostmanは素晴らしい
    • APIを作っている&利用しているエンジニア同士でベストプラクティスやデザインパターンを共有しあおう!

クロージング&ネットワーキングパーティ

ここからは写真多めでイベントの様子をご紹介します。

クロージングでは、Postman 株式会社 取締役会長の徳末 哲一氏からご挨拶をいただきました。

ネットワーキングパーティは立食形式でおいしい食事と飲み物が提供され、製品のデモンストレーションや有志によるLT大会が開催されておりました。

当日いただいたノベルティセットの中に「APIファーストの世界」というPostman CEOのアピタフ氏を主人公にした絵本が入っていました。なかなか癖が強い興味深い内容なので、手に取る機会があればぜひご一読ください。

なぜかPostmanがテーマのアプリ(アクションゲーム)も紹介されていました。結構やりごたえのあるゲームでしたので、ゲーム好きな方はチャレンジしてみてください。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。