[レポート] AWS Snow Family: Bringing AWS to rugged, mobile & disconnected edge #HYB205 #reinvent
しばたです。
re:Inventのオンデマンド動画からAWS Snow Familyに関する面白いセッションを見つけたのでレポートします。
動画
概要
The AWS Snow Family enables organizations to deploy compute workloads in the rugged denied, disrupted, intermittent, and limited (DDIL) edge. AWS Snowball Edge and AWS Snowcone support a select set of AWS services (compute, containers, storage, analytics, and AI/ML), allowing you to develop your application in the AWS Cloud and easily run applications at the edge to capture, process, and move data to AWS. In this session, explore how the AWS Snow Family works and how it can be used to address workloads at the DDIL edge.
セッション内容
このセッションではAWS Snow FamilyのうちSnowball EdgeとSnowconeを中心に制限された環境におけるエッジデバイスとしてのユースケースについて触れています。
制限された環境におけるSnow Familyデバイス
最初はSnow Familyのデバイス紹介から。
一般的なSnow Familyのエッジデバイスとしての用途は「クラウド環境の延伸」や「低レイテンシー」ですが、今日ではより複雑な環境に対しても使われているそうです。
オンプレ環境で使えるデバイスとしてはAWS Outpostsもありますが、Snow Familyは特にrugged edge(このセッションではデータセンター外の整備されていない環境を指す)で使えるだろうと述べています。
ここでは整備されていない環境の例として
- 工場
- 自動運転の車
- 災害復旧時に使うトラック
- クルーズ船や軍艦
- 飛行機や戦闘機
- 衛星
が挙げられ、野ざらしだったり振動に晒されたりする状況になります。
またセッション中ではこの様な環境に対しDDIL(Denied, Disrupted, Intermittent and Limited) environmentsという表現を何度も使っています。
DDILという言葉自体はアメリカ国防総省で使われ始めた言葉で、ネットワーク接続が全く無いか断続的に切れる制限された環境の総称となります。
つづけて主要なデバイスとしてSnowball EdgeとSnowconeの機能紹介がされました。
このへんは割とドキュメント通りの話です。
重要なのはSnow Familyデバイスが極めて高い物理耐久性を持っている点とデータ暗号化の面でもセキュアな点となります。
他にはSnowball Edgeであれば長期利用の前払いプランがある点も紹介されていました。
Snowball Edgeの新しい用途として
- エッジロケーションにSnowball Edgeを配置して機械学習の計算をさせる
- 災害復旧用のトラックにSnowball Edgeを積んでIoTデバイスと連携させ被災地の情報をリアルタイムに分析する
といった例が挙げられました。
続けてSnowconeの紹介はこんな感じです。
Snowconeは小型なためドローン、カメラ、自動車、ロボットに搭載されて使われるそうです。
今年の夏にアナウンスされている内容ですがNASAと協力してSnowconeを宇宙に飛ばしたりもしています。
Snow Familyデバイスで動作するAWSサービス
ネットワークが繋がらない環境においてもSnow Family(主にSnowball Edge)であれば幾つかのAWSサービスを独立して動作させることが可能です。
セッションでは主にEC2をSnow Familyデバイス上で動作させる方法とEKS Anywhere on Snowなどについて解説されました。
パートナー紹介
続けてパートナーのHypergiant社のCTOによるSnowball Edgeの利用例が紹介されました。
Hypergiant社は主に宇宙産業や防衛産業といった過酷なインフラ環境におけるAIソフトウェアを開発する会社です。
今回は同社のCommandCenterという陸軍向けのリアルタイム決定支援AIソフトウェアにおいてSnowball Edgeを使う例(どうやらコンセプトモデルかPoCの模様)が解説されました。
CommandCenterはリアルタイムに各種情報を収集し、機械学習を通したインサイトを提供するシステムです。
具体例として、戦地において偵察戦闘車(RCV)や戦車等の車両データをSnowball Edgeで集約しリアルタイムで分析する、通信可能な場合はSnowball Edgeから車両へデータをダウンロードする、緊急データは衛星回線を使い米国本土(CONUS)へ送られるといったモデルが提示されました。
CommandCenterの画面はこんな感じ。
4台のRCVの内2台が要注視およびクリティカルな状態になっており、その詳細を確認するとどこに問題があるか参照できるイメージです。
もちろん?これらのイメージは実際のものでは無くモックを使ったプロトタイプとの事ですが、Hypergiant社では2台のSnowball EdgeをCommandCenterの開発に使用しており、さらにもう3台を陸軍の別部門向けに使用しているそうです。
Scalable Snow Cluster
最後に42UラックにSnowball Edgeを6台積んでクラスター構成にする例が紹介されました。
見た目のインパクトが強く面白い構成ですが、個人的にはこれなら「Outpostsを使う方が良いのでは?」と思ってしました。
もう少しSnowball Edgeでなければならない理由が聞きたかったです。
(追記 : 記事公開後に改めて考えてみると、OutpostsはAWS環境の延伸を前提としており安定したネットワーク接続が必要ですね。今回の様なDDILな環境でスケーラブルにしたい場合はSnowball Edgeでクラスタを組むしかないと思った次第です。)
最後に
以上となります。
Snow Familyといえばデータ移行に使われることが多いですが、このセッションではエッジデバイスとしての利用方法が多く紹介され参考になりました。
一般的な環境だけでなくかなり過酷な環境でも使える点でSnow Familyのメリットが十二分に生かされていると感じます。