アウトプットを3段階に分類してステップアップしよう

2023.10.26

IT技術知識を効率よく習得するためには、学習するインプットだけでなく実践アウトプットが欠かせません *1。アウトプットといっても、手軽にできるものから事前準備が必要なものまで様々なやり方があります。本ブログではアウトプットを3段階に分類しステップアップを意識することで、アウトプットを身につけて習慣化をうながす様子をご紹介します。

アウトプットの3つの段階とは

ここでは、アウトプットの発信先としてじぶんなかまだれかに分けてみました。

じぶん

「じぶん」は、自分向けになんから記録を残す用途のアウトプットです。PCやスマートフォンのメモアプリをはじめ、紙のメモやノートに書き残したり、デベキャンコミュニティ(β)の学習記録ボットなどが挙げられます。誰かに見られるものではないため、内容を気にせず思うがままに、手軽にすぐ始められるアウトプットと言えますね。書き残すことで以下のメリットがあります。

  • 学習した事柄を自分なりに整理できる
  • まとめることから新しい気づきを得て、次のインプットにつながる
  • あとから効率よく振り返るためのまとめとして利用する

また、後述の「なかま」や「だれか」への発信をしていくためのネタ帳として「じぶん」のアウトプットをストックしておくのも有効でしょう。

なかま

「なかま」は、組織内やコミュニティなど自分とつながりのあるメンバーに向けて発信するアウトプットです。会社のチームのチャットや社内勉強会、コミュニティのDiscordチャンネルなどがあげられます。不特定多数の「だれか」への発信と比べると前提知識を揃えられ、いわゆるマサカリのような想定外の反応を避けられます。

「じぶん」と比べて「なかま」へのアウトプットのメリットは、フィードバック(反応)がもらえることです。褒めてもらうなど肯定的な反応を受けることで自己肯定感を高めてモチベーションに繋げられます。「じぶん」向けに書きためたものを見返して奮起することもできますが自己暗示になりがちなので、モチベーションアップにより自然につなげる手段として有効です。自分と異なる視点のフィードバックは、インプットした内容のブラッシュアップに非常に有効です。内容の洗練はもちろん、市場一般とのギャップが埋まることで知識の価値を向上させ、次のアウトプットの網羅性にも寄与します。

発言者は案外、「👍」などチャットの発言に付くリアクションであっても元気づけられるものです。最近はチャットに限らず、Web会議や動画配信ツールにも絵文字のアイコンを飛ばすリアクション機能のあるものが増えてきたので、勉強会の発表者や発言者にリアクションを送るのをおすすめします。たとえ定型的なものでも、発信者への良いフィードバックになります。

だれか

「だれか」は、不特定多数に向けて発信するアウトプットです。インターネットに公開するブログ記事や、一般公開される勉強会への登壇などがあげられます。「なかま」よりも多くの方の目に届くことから、幅広いフィードバックやいわゆる"バズる"ことで自己肯定感を強力に高められます。また、仕事の引き合いや別の勉強会への登壇、Web記事や書籍の執筆など自分の視界の外からのフィードバックが、アウトプットをきっかけとした思わぬ活動に広がることも「だれか」への発信の特性のひとつです。エンジニア個人のブランディング、組織に依存しないキャリア形成にもつながるでしょう。

一方で、読み手やイベント参加者の前提知識がさまざまなので、一方的な偏った見解や屈辱的な表現が含まれるフィードバックが返ってくることもあります。冒頭に前提条件を書く、読み方や捉え方によって解釈が変わってしまうような表現は控えるなど事前に訓練することでリスクを抑えることができます。

ステップアップ

3段階それぞれの難易度は低、中、高と書いた順に上がっていくので、これからアウトプットに取り組むのであれば「じぶん」→「なかま」→「だれか」の順にステップアップしていくのがおすすめです。「アウトプットできてないな、やってみたいな。」という方は、ぜひ「じぶん」の段階から試してみるのが良いと思います。

「なかま」へのステップアップは他人からのフィードバックを受ける視点や覚悟などマインドの醸成、「だれか」へのステップアップは前述した技術面とときにはスルーする心理面の準備が必要と考えます。一方で、"いついかなるときもステップアップを続けて「だれか」への発信を追求するべき"、というものではありません。アウトプットの内容や目的に応じて3段階を使い分けて、無理のない範囲でアウトプットを習慣化するのがあるべき姿です。

クラスメソッドでは、「じぶん」への発信やそこからのステップアップを助けるイベントや仕組みを提供するAWS学習のコミュニティ「デベキャンコミュニティ(β)」を運営しています。参加してアウトプット活動を一緒に進めていきましょう。

アウトプットを推進したい教育担当、エンジニアリングマネージャーの方へ

ここまではアウトプットできるようになりたいというエンジニアの目線で語ってきましたが、アウトプットを推進したい企業のエンジニア教育担当者やエンジニアリングマネージャーの方からすると、どうやってエンジニアにアウトプットしてもらうか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。そんな方におすすめなのは、あなた自身がアウトプットすることです。アウトプットの推進で悩んでいることから今試そうとしていること、試してみて得られた知見までアウトプットするネタはたくさんあります。「みんなやっている当たり前のことなのでは」、「Webや本に書いてあることをなぞっているだけ」と思うかもしれませんが、取り組みの事例や知見は様々な立場の方から発信することで広がり、共有されていきます。ぜひエンジニアのアウトプット推進自体の情報発信にも取り組んでいただければと思います。私もそのつもりでこのブログ記事を書いていますし、DevelopersIOでは非エンジニアメンバーによる記事も多数公開していますので、ぜひ眺めてみてください。

まとめ

アウトプットを「じぶん」「なかま」「だれか」の3段階に分類し、ステップアップしていく様子をご紹介しました。まずはすぐにできるアウトプットから始めてみましょう。

参考URL

脚注

  1. クラスメソッドではそれら3つのプロセスを高速に反復することを学習エンジンと呼び、採用や業務遂行の有効な要素としています