[レポート] DIG205-L : Amazonのデジタルユーザーエンゲージメントの概要 #reinvent
AWS re:Invent 2018: Overview of Amazon Digital User Engagement Solutions (DIG205-L) のセッションレポートです。
以下、公式の概要です。
This session, we describe how AWS provides the Amazon customer-centric culture of innovation, key technology building blocks, and a user engagement platform to help companies better engage their users. You also learn how Disney Streaming Services is utilizing the Amazon approach to engage its users. The intended audience is developers and business professionals who are responsible for digitally transforming their company.
以下、スピーカーの方々です。
Simon Poile - GM, AWS Digital User Engagement
Billy Liu - Senior Director, Disney Streaming Services
Jimmy Tam - Software engineer, Bamtech
動画
スライド
レポート
このセッションでは、事業者が顧客をより良く理解するために、Amazon Pinpointをどのように活用しているのか、また新しい機能について紹介しています。
顧客の期待は進化し続けている
そのために、
- 顧客の興味や利用を予測する
- 顧客の価値を高める
- 顧客の期待を超える
事業者の活動も進化してきている
- マスメッセージはパーソナライズに
- サイロ化された体験は他と接続された体験に
- フォーム入力は自然な入力に
- ビジネス文脈はユーザー文脈に
Amazon Pinpoint
AWSを使うことによって、パスワード変更や解約など即座に必要な瞬間にパーソナライズされたメッセージを送ったり、メールやプッシュ通知など複数のチャネルにまたがったタイムリーな関係づくりをしたり、世界中の多くのユーザーやデバイスにメッセージを届けたり、顧客にとって何が重要か学び効率的にリーチするなど、進化する顧客のニーズや期待に答えることができます。
Amazon Pinpointが提供する主な機能は、
- ユーザー管理
- オーディエンス管理
- ターゲッティング
- チャネル
- キャンペーン分析
どのように顧客を理解するか
- 様々なデータソースを集約する(社内データ、サードパーティ、リアルタイムデータ等)
- 更に分析をするためにストリームデータを受け付ける
- プロアクティブなユーザー分析のために、機械学習によってユーザーの好みや振る舞いを予測する
どのように正しい顧客にリーチするか
- キャンペーンターゲットの特定(静的リストのインポートやロジックによる動的リストな生成)
- セグメント作成(andやorで様々な条件を入れたサブセット)
- 管理コンソールによる結果の確認(キャンペーン、セグメント、ターゲッティング、ユースケース等)
どのように正しいタイミングで正しいメッセージを送るか
間違ったタイミングで間違ったメッセージを送ってしまうと、通知をOFFにしたり、アプリをアンインストールしてしまいます。
- 良い結果が出ている過去データを使ってメッセージ送信のスケジュールを作成
- 特定の顧客に直接的にトランザクショナルなメッセージを送る(SMS、プッシュ通知、メール等を用いたパスワードリセットの確認など)
- トリガーに瞬時に反応するリアルタイムなメッセージ
ということで、Amazon Pinpointの新機能が出ました。
Amazon Pinpoint Event Triggers
イベント、ユーザー行動、メトリクスを基準とした、リアルタイムなエンゲージメント機能です。
- 一連の体験のための複数キャンペーンワークフロー
- 自動パーソナライゼーション
- ユーザーLTV(Lifetime Value)の最大化
例えば小売業を例に考えると、購入履歴を確認して、たくさん購入してくれた顧客にクーポン送るなどを自動化し、その効果を管理コンソールで確認できます。
どのように顧客が好むチャネルでリーチするか
- 確実に顧客にメッセージが届く方法を確立する
- 特定ユーザーのチャネルのパフォーマンスから洞察を得る
- Eメール、SMS、プッシュ通知、音声メッセージなどを作成する
Amazon PinpointにあるLambda Extensionを利用すれば様々なサービスと連携ができます。 音声メッセージ対応は新機能です。
Amazon Pinpoint Voice
この機能は、電話を通じて音声メッセージを届けることができます。伝えたい内容は簡単にテキストから音声を作成することができます。Pollyを使っているようですので様々な言語に対応しています。おそらく日本語も使えます。音声メッセージの返信としてSMSでテキストを返すなどもできます。今日の時点では日本のSMSには対応していないですが、複数のチャネルを横断してやり取りができるのは素晴らしいですね。
どのようにエンゲージメントの成功を計測するか
管理コンソールで確認することができます。
- クロスチャンネルのエンゲージメントとイベントメトリクスから、どのキャンペーンがユーザーの行動に影響を与えたか計測する
- 外部システムのトランザクションデータなどPinpointのデータを結合して最終的なパフォーマンスを計測する
- メッセージの配信可能性に影響を与える問題を迅速に検出して解決し、送信者の成功率を高める
こんな管理コンソールが出る予定です。
Amazon Pinpoint Deliverability Dashboard
Eメールのメッセージが確実に届いたか確認できるダッシュボードです。
- 世界のトップISPからEメールが届いているかの分析と理解
- Eメールの配信可能性に影響を与える問題をプロアクティブに検出して解決する
- スパムに分類されずにメールボックスに入るように助けるツール類の提供
これらをマーケティング担当者向けの管理コンソールと、デベロッパー向けのAPI群を提供しています。
まだ東京リージョンには来ていませんが、AWSの様々なサービスと組み合わせて顧客とのエンゲージメントを図れるサービスであることがよくわかりました。
ディズニー・ストリーミングサービスの事例
映画、アニメ、スポーツ、ゲームなどの映像ストリーミング配信のサービスを行っている。スポーツのライブ配信であれば試合の状況は刻々と更新されるため、進行に合わせたリアルタイムなプッシュ通知の機能が必要だった。この機能の実現によって、ユーザーにとって重要な最新の情報を通知することができる。
- 複数のパートナーと連携し
- 月間で最大10億メッセージのプッシュ通知
- 数百万のデバイスを対象にしている
プッシュ通知について
スポーツであれば、1日数千のイベント情報が発生している。これをサーバレスのLambdaによってデータを取得している。Lambdaの後ろにはPinpointがあり、セグメント化、キャンペーンのメトリクス確認、どのチームのファンかを知り、オーディエンスの数を把握します。
正しい顧客をターゲッティングする
例えば、ファンのリストがあったとして、32チームのどれかのファンであり、それぞれ8つのタイプがあり、通知するべき組み合わせは数千になる。これらの背景から、以下のようなキャンペーンを行っている。
- 各通知に対して毎回新しいキャンペーンとセグメントの作成をしている
- 1日に1000のセグメントを作成している
- 古いキャンペーンとセグメントは削除している
これらを良い感じに自動化するために、DynamoDBのTTLとトリガー機能を活用して、Lambdaを呼び出し、Pinpointの古いキャンペーンとセグメントを自動で削除している。
キャンペーンのモニタリング
キャンペーンが作成されると、Step Functionを用いてPinpointの状態を監視しはじめます。もしキャンペーンが遅れたり、設定したオーディエンスサイズに到達しないときや、失敗をしたときには、CloudWatchのアラームが反応してフェイルオーバーなどのアクションをトリガーします。
ファンを知る
ファンがどのような行動を起こしたかニアリアルタイムに確認するために、Pinpointからイベントストリームを取得することができます。Kinesis Firehoseなどを経由してS3に蓄積されたデータは、あらかじめDynamoDB等に格納しておいたキャンペーンの詳細やセグメントに関する情報を引数にしてAthenaを用いて検索します。
または、Pinpointから全てのデータをエクスポートして、Glueなどをを用いてSpark処理などを行って結果をS3に格納します。
オーディエンスサイズ
実際に通知が届いている数を把握し最大化するためには色々やることがあります。
- 配信に失敗したイベントを拾ってS3に保管しておきます
- 定期的にLambdaからGlueやAthenaを使ってS3のデータを集計して削除するべきエンドポイントのリストを作成します
- Pinpointから削除すべきエンドポイントのリストを削除します。
まとめ
Pinpointを活用することで、正しい情報を正しい相手に正しいタイミングで適切に配信することができ、顧客とより良い関係を構築できることが分かりました。また、様々なAWSのマネージドサービスと簡単に結合できるため、デジタルユーザーエクスペリエンスをシングルスタックで構築できることも分かりました。顧客との関係づくりに注力するために、できるだけマネージドサービスを用いてイベント駆動による自動対応などを仕込んでおきたいですね。