[レポート]ビジネスの価値を加速させるSAPとAWSのリファレンスアーキテクチャ #reinvent #PRT105

2023.03.20

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データアナリティクス事業本部の鈴木です。

AWS re:Invent 2022の、セッション番号PRT105の『Accelerate value for your business SAP & AWS reference architecture』を聴講したのでレポートです。

このセッションはSAPとAWSが開発した、AWS and SAP BTP Joint Reference Architectureというリファレンスアーキテクチャに関するLightning Talkです。このアーキテクチャを使うことで、SAP Business Technology Platformを採用しつつ、AWS上のデータや既存サービスを効果的に活用することができます。

このブログでは、PRT105のセッションの内容をご紹介しつつ、最後に関連するAmazon Web Servicesブログについてリンクをご紹介します。

セッションについて

登壇者

Sivakumar Nagapandi, Vice President, SAP

Session type

Lightning Talk

動画

セッション概要

ビジネス変革の旅路に出発するためには、現在から将来に渡るビジネス的な要求を満たす技術選定ができる、強固なプラットフォームを持つことが重要です。SAPとAWSは、お客様のビジネスの目標を達成するためのシンプルで標準的で再利用可能なリファレンスアーキテクチャであるJoint Reference Architectureを開発しました。Joint Reference Architectureは、お客様のリスクを軽減するだけでなく、ソリューションの市場投入までの時間を短縮できます。 このライトニングトークでは、SAPとAWSがどのように価値の解放と加速を支援できるかを学びます。

発表概要

最初にAWSとSAPの歩みと関係性に触れつつ、AWS and SAP BTP Joint Reference Architectureの紹介がありました。

SAPとAWSは数カ月間に渡り、Joint Reference Architectureの開発に取り組みました。このアーキテクチャでは、SAP Business Technology PlatformをAWSのお客様に提供すること、そしてBTPサービスとAWSサービスをどのように組み合わせるかのベストプラクティスに焦点を当てています。

AWS and SAP BTP Joint Reference Architecture

このアーキテクチャは、大きく3つの部分に分かれています。

  • Platform foundation:LaunchpadやCloud Integrationなど、SAPのBTPサービスを活用して高可用性を実現するもの
  • Integration and app development:BTPアプリケーションをAmazon SNSなどのAWSサービスで拡充し、メール・テキスト・アプリ通知などを可能にするもの
  • Data to Value:SAP Data Warehouse CLoudとSAP Analytics Cloudについて、SAPとSAP以外のデータセットを組み合わせ、既存の資産から価値を引き出せるようにするもの

これらの情報は、既に全て公開されています。SAP and AWS Reference ArchitectureとGoogleで検索すれば、詳細な情報を入手することができます。

まず、SAP Launchpadサービスに関するものです。SAP LaunchpadはSAPソリューションの一元化されたアクセスポイントとして利用されますが、デフォルトでは高可用性はありません。そのため、Amazon Route 53を導入することで、高可用性化しました。また、可用性を高めるだけではなく、地理的近接性ルーティングを実現することもできます。

SAP Launchpadサービスの高可用性化

次にデータ活用に関するアーキテクチャです。

データから価値を創造するためのアーキテクチャ

このアーキテクチャではSAP Data Warehouse Cloudが中心となります。この1枚のスライドには、さまざまなパターンがあるので、ビジネスシーンで遭遇する可能性が高いものをいくつか紹介します。

SAPデータをS/4 HANAやSAP システムに、それ以外のデータをRedshiftやAthenaに持っているような場合に、データフェデレーションを利用して、これらのデータを全てon the flyで持ち込むことができます。複雑なデータパイプラインを敷設する必要はなく、パフォーマンス・費用対効果を高くデータを活用することができます。

データフェデレーションアーキテクチャの特徴

データがAWSサイトに多くある場合は、AthenaのFederated Query機能を使ってSAP Data Warehouse CloudとAthenaとを接続し、データセットにアクセスできるようにします。これは本当に簡単で、数分もかからずに設定できます。

また、機械学習におけるユースケースです。

機械学習におけるユースケース

FedMLライブラリはSageMakerでネイティブに動作し、SAP Data Warehouse Cloud経由でSAPデータセットにアクセスできます。このライブラリは、モデルのトレーニング・デプロイ・予測・結果のSAPシステムへの書き戻しに役立ちます。

Integration and app developmentに関するものでは、Amazon SNSを使ったイベントベースの通知に関するアーキテクチャの紹介がありました。

イベントベースの通知に関するアーキテクチャ

追加のリソースへのリンクも紹介されたので、興味がある方はご確認ください。

追加のリソースへのリンク

Joint Reference Architectureに関するブログ

Amazon Web Servicesブログにて公開されている以下のブログもAWS and SAP BTP Joint Reference Architectureに関して詳しく記載されているので合わせてご覧ください。

最後に

今回は、AWS re:Invent 2022の、セッション番号PRT105の『Accelerate value for your business SAP & AWS reference architecture』のでレポートでした。

このセッションは、以下のブログで取り上げたセッション内でAWS and SAP BTP Joint Reference Architectureの紹介セッションとして言及されており、興味があったので聴講してみました。

どのアーキテクチャも興味深いですが、特にData to Valueの観点で、AthenaのFederated Query機能の使い方について知見が深まりました。個人的にはAWSに閉じたアーキテクチャやBigQueryとの連携でFederated Query機能は注目していましたが、今回のセッションを聴講してSAPへのデータ集約でも利用できることが分かり、とても勉強になりました。

Lightning Talkなので時間も短く、見やすいセッションだと思うので、関心がある方は是非ご視聴ください。

参考にした資料