[レポート] re:Invent 2023:ブロックチェーンセッションまとめ #AWSreInvent

2023.12.13

いわさです。

re:Invent 2023 のセッションが動画で公開されてきましたね。
テクノロジとして個人的に興味のあるブロックチェーン関係のセッションをひととおり見てみました。

この記事では関係セッションの見どころやサマリを紹介したいと思います。
オンデマンド動画も埋め込んでおくので興味ある方は動画のほうも見てください。

re:Invent 2023 のブロックチェーン関係のセッションなど

今年は「BLC」というプレフィックスのセッション番号のものがブロックチェーン関係のセッションになっていまして、カタログを調べてみると以下のようなラインナップでした。

セッションコード セッションタイプ タイトル 動画公開
BLC101 Breakout Session Building an NFT drops platform and marketplace on AWS
BLC102 Breakout Session How regulated financial institutions drive adoption of digital assets
BLC103 Lightning Talk Unlocking scalable digital asset custody applications on AWS
BLC201 Chalk Talk Optimizing your public blockchain node operations on AWS -
BLC202 Chalk Talk Working with public blockchain data at scale -
BLC203 Lightning Talk Building NFT experiences on AWS
BLC301 Workshop Mint gen AI NFTs on Ethereum with account abstraction wallets and IPFS -

上記のうち Breakout Session と Lightning Talk については本日時点で YouTube にてオンデマンド動画が公開されておりました、4 つのセッションを視聴したのでポイントなどをまとめておきます。

Building an NFT drops platform and marketplace on AWS (BLC101)

このセッションでは、AWS の Web3 GTM のグローバルヘッドである Yaniv Donenfeld と Mattel のミックスプレイおよびエマージングテクノロジー担当シニアディレクターである Jason Tadros が、Web3 がどのようにして新規顧客を引き付け、ブランドにユニークなデジタル体験を提供するのに役立つかについて説明します。Web3 の現在の市場と普及傾向の概要を聞き、平均的な消費者のオンボーディングにおける課題を探ります。AWS Nitro System と AWS CloudHSM を使用した Web3 プラットフォームとウォレットソリューションで、Mattel が 10 個の NFT ドロップを生み出し、収集品マーケットプレイスを立ち上げた経緯をご覧ください。Web3 テクノロジーを使用することで、小売顧客向けのシンプルなエクスペリエンスとブランド価値がどのように実現されるかをご覧ください。

スピーカー

  • Jason Tadros - Mattel
  • Yaniv Donenfeld - AWS

ポイント

前半部分は NFT の価値について一般論が最初に説明され、その後に AWS でそれらを実現する際にどういったコンポーネントが利用出来るかが説明されています。

そりゃそうだという感じではありますが、Amazon Managed Blockchain だけではなくて様々な基本サービスの利用が前提となっています。

また、概要レベルではあるのですが Amazon Managed Blockchain の主要機能について解説されています。
あまり深い説明や使い方までは触れられておらず、あくまでも概要レベルです。セッションレベルが 100 なので、初めて Amazon Managed Blockchain について知る。という方にちょうど良い内容だと思います。

Amazon Managed Blockchain にはここ半年くらいで、AMB Access と AMB Query という概念が登場しています。
それについても概要レベルで触れられています。

後半は、Mattel Creations の NFT カタログの事例が紹介されています。
このセッション内ではあまりアーキテクチャーには触れられていおらず、NFT とビジネス価値的なところについて説明されていました。

なお、セッション内で登場した NFT カタログはおそらく以下ですね。

このセッションでは改めて NFT の価値と、それを実現するために AWS で用意されているもの、そして事例を簡単に確認出来るような内容といったところでしょうか。

How regulated financial institutions drive adoption of digital assets (BLC102)

このセッションでは、規制対象の金融機関が分散化、コンプライアンス、スケーラビリティのバランスを取りながら、どのように暗号通貨の幅広い採用を可能にしているかを探ります。ブラジルの大手金融機関が、支援的な規制と消費者の関心がどのように暗号サービスへの参入の動機となったかについて論じています。米国の大手金融機関は、資産のトークン化と相互運用性についての見解を共有しています。また、Amazon Managed Blockchain (AMB) Access と AMB Query が、これらの機関がスケーラブルなブロックチェーンアプリケーションを迅速に構築するのにどのように役立つかについても説明します。さらに、現在パブリックプレビュー中の AMB Access for Polygonについても聞いてください。

スピーカー

  • John Liu - AWS
  • Cadu Mazzei - Itaú Unibanco
  • Umakanthan Chandran - Fidelity Investments

ポイント

レイヤー 2

このセッションではブロックチェーンの課題に対してどういうアプローチを取れるかについてはじめに説明されています。
スケーラビリティやガスの問題を解決するためのレイヤー 2 について解説されています。

そして、つい先日レイヤー 2 に関連して Amazon Managed Blockchain に Polygon サーバーレスへのアクセス機能がパブリックプレビューで提供されており、そちらについて言及されました。

なお、私が行きのバンクーバー国際空港で検証した AMB + Polygon の記事がこちら。

ブラジル大手金融機関の事例

Itaú Unibanco のウォレットサービスの事例です。
機能別の考慮点やアーキテクチャーが公開されており見応えがあります。
ところどころ AMB のサーバーレスエンドポイント使ってますね。なるほどな。

AMB と Nitro Enclaves を活用しており、様々なメリットを得ているとのこと。
たしかに、ブロックチェーンの文脈でも Nitro Enclaves の話聞くことあるのですよね。

米国大手金融機関の事例

こちらは資産のデジタルトークン化についての事例です。

こちらも実際のアーキテクチャーが紹介されておりおもしろいです。
同じように一部で Amazon Managed Blockchain を使っています。

このセッションはレベル 100 とされていますが、実際のアーキテクチャー事例がいくつが出てくるので、Amazon Managed Blockchain の設計に関わる際には目を通しておくと参考になりそうですよ。

Unlocking scalable digital asset custody applications on AWS (BLC103)

このライトニングトークに参加して、Amazon Managed Blockchain (AMB) Access と Amazon Managed Blockchain (AMB) Query がシームレスに連携してデジタル資産保管ソリューションを加速させる方法を紹介するライブデモイベントにご参加ください。AMB Access が顧客の出金をブロックチェーンに送る様子を見て、AMB Query がどのようにして重要なオンチェーンデータをアプリケーションに迅速に配信するかをご覧ください。マネージド・ブロックチェーン・チームがお客様の質問に答え、迅速に構築を開始できるようお手伝いします。

スピーカー

  • Gustavo Peternelli Abrell - Itaú Unibanco
  • Forrest Colyer - AWS

ポイント

こちらのセッションはライトニングトークになってまして、なんと 15 分のセッションです。
気軽に見れて良いですね!
私は今回ライトニングトークには参加しなかったのですが、どうやらライトニングトーク会場ではリアルタイムで英語字幕が表示されるようです。

セッション時間も短いですし Breakout Session には無い字幕付きとなると、英語に自信の無い私のような人間でも参加しやすいかもしれませんね。

本題の中身についてなのですが、先程の BLC102 で登場したブラジル大手金融機関のサービスのライブデモでした。
スライド内容も結構重複しています。

BLC102 に参加していない場合は、こちらで 15 分だけ見ておくというのはアリですね。

Building NFT experiences on AWS (BLC203)

このライトニングトークでは、Web3の専門家が、1つまたは複数のパブリックブロックチェーン上のノンファンジブルトークンを操作できるアプリケーションのライブデモを紹介します。

ポイント

こちらもライトニングトークです。
そして、中身については BLC101 で登場した Mattel Creations の NFT カタログのライブデモでした!

BLC101 を先に見ている方はスライド内容なども重複しているのでどちらかだけで良さそうです。

その他

セッションが公開されていないものに関してはセッション概要だけは確認出来たので紹介します。
この内容を見て興味あるなって方は、来年以降現地参加される際にはチョークトークやワークショップを狙ってみてください。
チョークトークは去年も YouTube で公開されていた記憶があるので、後から公開される可能性もあるかな?と思ってます。

BLC201: Optimizing your public blockchain node operations on AWS

こちらはチョークトークです。
セルフマネージドノードか、AWS マネージドノードかでの比較でしょうか。

AWS マネージドノードのメリットからの Amazon Managed Blockchain 推奨になりそうな気配はしますが、比較データなど興味ありますね。

パブリックブロックチェーンと相互作用するアプリケーションを構築する場合、コア要件は、ブロックチェーンネットワークに接続できるノードにアクセスできることです。このチョークトークでは、AWS ブロックチェーンの専門家が、AWS でセルフマネージドノードを運用し、さまざまな構成でパフォーマンスをテストした経験と、コストとパフォーマンスを最適化する推奨構成を共有します。さらに、Amazon Managed Blockchain Access により、ブロックチェーン開発者が基盤となるブロックチェーンノード自体を管理することなく、パブリックブロックチェーンを基盤として構築する方法についても説明します。

BLC202: Working with public blockchain data at scale

こちらもチョークトークです。
BLC201 は AMB のマネージドノードに関してで、BLC202 はおそらく AMB のサーバーレスエンドポイントの話ですね。
この 2 つのセッションを見ておくと AMB のメリットを人に説明出来るくらいにはなりそうです。

1つ以上のパブリックブロックチェーンと相互作用するアプリケーションには、さまざまなパブリックブロックチェーンデータへのアクセスが必要です。このチョークトークでは、イーサリアムやビットコインなどのネットワークのパブリックブロックチェーンデータのインデックス作成、変換、クエリ、分析に使用できるツールとサービスについて学びます。AWS ブロックチェーンの専門家が、ブロックチェーンデータを大規模に扱う際の一般的な課題について概説し、Amazon Managed Blockchain などの AWS サービスがブロックチェーンアプリケーションのクラウドアプリケーションモダナイゼーションのメリットをどのように引き出すかを説明するインタラクティブな講演を行います。

BLC301: Mint gen AI NFTs on Ethereum with account abstraction wallets and IPFS

こちらはブロックチェーンカテゴリで唯一のレベル 300 かつワークショップです。
どうやらワークショップの中で実際にスマートコントラクトをデプロイし、NFT カタログ的なサンプルアプリを開発するようですね。

このワークショップでは、NFTのマイニングと探索を行うアプリケーションを構築します。Amazon Managed Blockchain と AWS Key Management Service (AWS KMS) を使用して安全なキー管理と署名を実現するアカウント抽象化ウォレットを作成する方法を学び、AWS をデプロイしてください。 Foundry で構築された NFT スマートコントラクト用の CodePipeline CID パイプライン、豊富なクエリでスマートコントラクトデータをクエリするインデクサーを使用する、Amazon SageMaker JumpStart で安定拡散基盤モデルを使用してアートワークを生成する、アートワークを NFT として作成する、AWS Amplify で React フロントエンドをデプロイする。参加するにはノートパソコンを持参する必要があります。

さいごに

本日は AWS re:Invent 2023 のブロックチェーン関係のセッションをまとめて紹介してみました。

今年の re:Invent、ブロックチェーンとしてのアップデートはマネージドノードだけじゃなくてサーバレスエンドポイントあるよ。からのレイヤー 2 向けに Polygon もプレビューになったよ。という今年のアップデートが総括されたセッションという印象でした。

ブロックチェーンセッションはレベル 100 や 200 が多かったので、ブロックチェーンよくわからんが...という方でも参加しやすい印象でした。 あと、私は re:Invent のライトニングトークの存在を知らなかったのですが、手軽さが良いですね。