[レポート] 子どもの写真・動画を家族と共有できるアプリ「みてね」のこれまでとプロダクト作り #pmconf2021

2021.10.27

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2021年10月26日(火)、プロダクトマネジメントに携わる人たちが共に学び、切磋琢磨するイベント『プロダクトマネージャーカンファレンス2021』がオンライン形式で開催されました。

当エントリでは、ブレイクアウトセッション『「みてね」のこれまでとプロダクト作り』の参加(視聴)レポートをお届けします。

目次

 

セッション概要

セッション概要は以下の通りです。

[タイトル]
「みてね」のこれまでとプロダクト作り

[登壇者]
・笠原 健治氏(株式会社ミクシィ / 取締役ファウンダー)

[セッション概要]
子どもの写真・動画を家族と共有できるアプリ「みてね/FamilyAlbum」
現在、7言語・150ヶ国以上で展開、ユーザー数は1000万人を突破し、より多くの国でより多くの人々に愛用されるサービスを目指しています。

サービス立ち上げからこれまでを振り返りつつ、プロダクト作り共通で使えそうなことについても話したいと思います。
(※以上、公式サイトより引用)

 

セッションレポート

 

はじめに

笠原氏が手掛けた(今回のセッションで紹介する)サービスは子どもの写真・動画を家族と共有できるアプリ「みてね/FamilyAlbum」

 

「みてね」をはじめたきっかけ

  • 始めたきっかけ:子供が生まれた事。
    • 最初の一週間で「こんなに写真って撮るんだ...」
    • 子供の一挙手一投足を収めておきたい、いずれ子供にも見せたい
    • 妻が撮るものをみたい、親家族にも共有したいが整理保存出来るようにしたいが、しっくり来るサービスが無かった
    • であれば、自分たちで特化したサービスを作るものありなのでは?
    • 一方で独りよがりになっていないか、気になった
    • 社内メンバーにも話しながら、共感してくれる人たちを集め、ユーザーアンケートインタビュー等を実施しながら一定の手応えを得て、プロジェクトを進めるに至った
    • 出来上がったコンセプト:
      • 熱量の高い今を共有し、気付くと熱量の高い履歴が残っている
      • その子の人生をまるごと残せる家族アルバム
      • 世界中の家族の"こころのインフラ"を作る

 

ユーザーテストの大事さ

  • ユーザーテストの大事さを知る
    • 「生まれてから丸ごと残す」→「今日撮った可愛い写真、面白い動画を共有」
    • 0歳児のママさんに20人ほど協力頂く→思いの外不満が多く上がる:
      • 主に画面UIの部分について
      • Tinderがちょうど盛り上がってる時だった
      • 整理するのが大変だった
      • ユーザー感覚とミスマッチな状況だったのでUIを変えた
      • 改善効果が得られ、次第に過去の写真や動画もスムーズに扱えるように
    • 新規事業は想定するユーザーがいないので全体像全貌が見えない、尖った形で始めるのは大事
    • こういうフェーズを踏むことで全貌把握のきっかけになった

 

リリース後の数字の遷移など

  • 立ち上げ直後の数値
    • ユーザーテストを2ヶ月程経てアプリストアに公開
    • プレスリリース前、4ヶ月ほど前からアプリストアに公開はしていた
      • SNS拡散などは行っていなかった
      • オーガニックで入ってきたユーザーがどういう感触を抱くのか観ていた
    • プレスリリース後は順調に成長のステップを踏んでいけたのではと思っている
    • 登録数や翌週アクティブ率が右肩上がりだったのがチームの拠り所
    • 鈴木おさむ氏のブログで跳ね、認知度も向上
    • 新規事業のプレスリリース、どこで「ドカン」と行くかの見極め
      • ストア公開のタイミング、ステルスでやり続ける期間...結果からいうとどちらも正しかった
      • 完成度が高まったタイミングでプレスリリースを売った
  • 大事にしている指標
    • 家族との繋がり率。家族とつながるかどうかが最も大事
    • 2015年以降の祖父母世代のスマホ化も大きな後押しに
  • ユーザー数:2021年には全世界で1000万人突破
    • 海外展開はロマン&この分野で勝てる唯一の存在はグローバルの覇者
      • 例)SNSにおけるFacebookやTwitter
    • 簡単にグローバル化出来る時代に
      • 薄利でもグローバルでユーザー数を稼げるとデカい
      • 家族では「FamilyAlbum」という名前で展開
  • 日本と海外の「ユーザーの違い」
    • 基本的には日本と同じで、全世界共通でニーズはある模様
    • 日本で考えるよりも「家族の概念」が広い。多様。より多くの人とつながることも多い
      • 海外の場合、10-20-30-50人とその枠を増やしている。それでも上限に達する率は高い
    • コメント率が高い
      • 広告に対するコメントの多さ
      • カジュアルに気軽に言い合ってるんだろうな、というのが分かる
      • コミュニケーションに対する在り方の違い
    • プレミアム、写真プリン後、高級版フォトブックの購入率が高い
      • ビジネス的にもチャンスがある

 

「みてね」の開発スタイル

  • 開発スタイル
    • 初期は自分でCSも対応
      • ユーザーの全体像として、どういう雰囲気なのかを掴む貴重な経験だった
    • ユーザーの声を聞きつつ、チームで開発を進める
    • 一方でユーザーの声からは出ない機能の開発も対応
    • ユーザーから良いフィードバックを貰えているので、そのことが励みになり好循環を生み出していた
    • 顕在化・潜在化ニーズにそれぞれ対応
  • 今後の展望や目標
    • 世界中の家族の"こころのインフラ"を作りたい
      • 世界中で愛用されるサービスとして、現在の1000万人から1億人規模を芽剤したい
      • 子供の成長に合わせて、必要となる様々なサービスを展開したい
      • 売上2000億円(国内200億+海外1800億)を目指したい
        • 理論的にはこれくらいいけるのでは、と踏んでいる
    • みてね基金を拡充して、事業とは別の社会的な課題も解決していきたい

 

新規事業の見つけ方

  • 新しい技術や新しいプラットフォーム、大きな社会変化が「最大のチャンス」
    • 新規事業を見つけるのはとても大変
    • コンセプト次第で、全体の6-7割の成功/失敗を握る部分になる
    • コロナ禍はピンチではあるが、社会変化という点では大きなチャンスにもなり得る
    • 平時では限界もある、マクロで見て大きな動きがあると行動変容も生まれやすい
    • 新しいユーザー体験を作り出していけるかがポイント
  • あるサービスが出現し成熟化することで次のサービスの存在意義も生まれる
    • ブログや2ch → mixi → LINE/Twitter
  • ヒットするコミュニケーションサービスとは
    • 共有したいコンテンツ、相手に新しい発明、価値、体験を提供出来るか?
    • 共有したい相手が
      • 広い場合:統合型
      • 狭い場合:分散型
    • ここが刺さった時にサービスが跳ねる

 

サービスの改善について

  • サービス改善は何を見て行うのか
    • どんだけ粘ってプロダクトに向き合うことが出来るか、粘りさえあれば上手くいくのではないか
    • 頑張る場所を見極めるのが大事
    • プロダクトを俯瞰してみて、一番の課題を見極めることが大事
    • やりすぎない:大事な課題にフォーカスし、次の課題に移っていく過程で観察し、課題に向き合う
    • 全体的に、らせん階段を描くように改善を続けていけるか
    • 「右肩上がり」なことが大事。特に大事な指標に於いては。
    • 網羅的にユーザー像を掴む
    • 作用や反作用も考える
    • 自身がヘビーユーザーであることも大事

 

総括

  • 好きなことをとことん追及していければと思う
  • 夢中になりながら、ワクワクしながら作ること
  • 「みてね」の場合、子供や家族への愛情をダイレクトに投影出来た面もあった

 

まとめ

という訳で、プロダクトマネージャーカンファレンス2021のセッション『「みてね」のこれまでとプロダクト作り』の視聴レポートでした。