[レポート] A-1 プロダクトビジョンを正しく生かして、芯のあるプロダクトを作る秘訣 – プロダクトマネージャーカンファレンス2022 #pmconf2022

2022.12.31

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2022年11月02日(水)、プロダクトマネジメントに携わる人たちが共に学び、切磋琢磨するイベント『プロダクトマネージャーカンファレンス2022』がオンライン形式で開催されました。

当エントリでは、ブレイクアウトセッション『プロダクトビジョンを正しく生かして、芯のあるプロダクトを作る秘訣』の参加(視聴)レポートをお届けします。

目次

 

セッション概要

セッション概要は以下の通りです。

[タイトル]
プロダクトビジョンを正しく生かして、芯のあるプロダクトを作る秘訣

[登壇者]
・曽根原 春樹氏(LinkedIn / Senior Product Manager)

[セッション概要]
監訳本ラディカル・プロダクト・シンキングの刊行を通してプロダクトビジョンの重要性を解説してきました。一方プロダクトビジョンを作ってはみたものの、その後使われずにいたり、組織として生かされていない、芯を捉えていないプロダクトになってしまう、という問題に直面するプロダクトマネージャーの皆さんも多いようです。この講演では、プロダクトビジョン活用の仕方の要諦や本質について、シリコンバレー企業の事例を使いながら解説します。

(※以上、公式サイトより引用)

セッションレポート

自己紹介

  • 在シリコンバレー16年目
  • 現在はLinkedIn米国本社 シニアプロダクトマネージャー
  • Udemyプロダクトマネジメント講座講師
  • 日本の大企業・スタートアップのプロダクト開発を支援
  • 執筆・講演多数

あるPMの1日

  • こんな"プロダクト病"に陥っていませんか?
    • 【戦略肥大症】
      • 次々と舞い込んで来るアイデアや要望につい「YES」と言ってしまい、どんどんプロダクトが総花的に
      • 最後には、何から手を付けるべきかが分からなくなる状態に
    • 【強迫性セールス障害】
      • 個別に顧客に最適化された機能ばかり。(SIの塊)
      • プロダクトとしての統一感を失う。何をしたいプロダクトなのかが不透明に
    • その他にも色々...
      • 【ロックイン症候群】
      • 【ヒーロー症候群】
      • 【数値指標依存症】
      • 【ピボット症候群】
      • 【ナルシスト症候群】

なぜプロダクト病に陥るのか?

理由1:プロダクトビジョンがそもそもない

  • とりあえず直近やることは見えているが、その先を見て(見えて)いるのかが全くわからない状態
  • これはプロダクトを作るにあたって非常に危険。目の前のやる事だけをこなしているだけでは正しい方向に進化しない
  • プロダクトをサポートする人達(営業、マーケ、カスタマーサクセス等)が、プロダクトの進化を知らないままではプロダクトのスケーラビリティや成長を大きく阻害する。

理由2:プロダクトビジョンの使い方がわからない

  • 時間を掛けて作ったビジョンが浸透しない/作ったビジョンを誰も覚えていない
  • これは非常に勿体無い。同じビジョンを組織として理解していることはプロダクトの統一性を取る際に非常に重要になってくる

理由3:プロダクトビジョンが組織に浸透していない(各人各チームがバラバラに動く)

  • 例:AIのPoC。会社が提供する価値があり、どういう世界観をビジョンとして実現したいのかが無いままに好き勝手やってしまっていると、その会社として何をしたいのか、が分からない。PoCが乱立する

  • プロダクトビジョンは作って終わりではなく、作ってからがスタート

良いプロダクトビジョンを作るために:4W1Hが大事

よくある質問

プロダクトビジョンは全社で1つだけ、であるべき?

  • プロダクトのスケールや複雑さによる
  • LinkedIn社のリアル事例
    • LinkedInのビジョン:世界で働くすべての人のために、経済的なチャンスを作り出す。
    • LinkedIn、実は色々なファンクションの集合体。リンクそれぞれがそれぞれのプロダクトだと思ってもらっても良い
    • ビジネスとしてはBtoCでやっている部分とBtoBの部分がある
    • 基本的にはフリーミアムモデル、課金ユーザー対応も
    • LinkedIn社の紹介
      • 従業員数12000人、うちPMが500人以上、エンジニアは6000人以上
      • 5つのビジネスユニット:各ユニット自体が1000億円以上の売上規模
        • BtoB:Flagship, Premium
        • BtoC:LMS, LSS, LTS
      • Microsoft傘下ではあるものの独自性は保たれている
  • こんな大きな組織で500名ものPMがなぜ機能しているのか?
    • これには色々な理由がある。一番は『プロダクトビジョンのDNA化』。
    • 会社のビジョン=プロダクトのビジョンになっている
    • LinkedInの資料や発表内容でたびたびビジョンは出てきている。全社的にビジョンが体の中に染み付いている状況
  • ビジョンヒエラルキー
    • 全社ビジョンがそれぞれのビジネスユニット内にそれぞれのビジョンとして落とし込まれている
    • 各チームでどうやってこのビジョンを実現するか、最適な形が出来るのかが出来上がっている
    • 各ビジネスユニットでどこを目指すのかというのが出来上がっている
  • スピード+ビジョン=真の加速
    • 実行・イテレーションに踏み切る前に、プロダクトビジョンを通して全員に同じ方向を向いてもらわなければ意味がない。

ビジョンは決まった。その次は?

  • ビジョンを行動に落とす:各々の要素をチームや社内全体に伝えることで浸透する
    • ビジョン:我々が辿り着きたい世界観とは?
    • 戦略:辿り着くために何をして、何をしないのか?
    • 優先度:何を優先的に行うか?
    • 実行と計測:どのように計測し、そこから学び適応するか?
    • 文化:どんな組織文化を埋め込むべきか?
  • ビジョンを行動に落とす:今回は「計測」の部分を詳しく話します
    • ビジョンの実現に向けて、正しい方向に進んでいるのかを計測しなければ意味がない。
    • 今いるところから前に進んでいるのか否かを確認出来ていなければならない
    • North Star Metric(NSM:プロダクトの成功を計るための単一の指標)を決める
    • これを組織に落とすとどうなるか?
      • 各チームではNSMを定める
      • 各チームを束ねる組織はKGI(Key Goal Indicator)を定める ※こちらは割とハイレベルなものが設定されるイメージ
      • 「ビジョンに向かって進んでいる」というのをBU(BusinessUnit)単位で見たときに、計測する際はどういう単位で見るべきか?
      • 各BUがMSNを追ってくれることで、会社全体のKGIが結果として上がる、という構図
    • 曽根原氏の所属するFlagshipチームの場合
      • Company KGI
      • その下にFlagshipチームのNSMがある
      • 更にその下にSearchチーム、Messengerチーム、Feedチームがある。ここではTopline Merticsを定める
      • それぞれがそれぞれの数値を追って向上させていうことで結果的にはKGIが向上する
    • こういった形をとって接合することでビジョンとの整合性を取っている
    • 施策を進めていく上で「あるところでは数値が落ち、またあるところでは数値が上がる」ということが起こる
      • 例).「コンテンツ体験を良くする」指標と「広告収益を増やす」指標の関係
        • これは放っておくと一向に数値は良くならない。
      • どこまでメトリックが下がることを許容するか、事前に他チームと連携して決めておくことが大事。

Fail Fast?(早く動いて早く失敗する)

  • これについてはちょっと気をつけたほうが良いのではないか?というスタンス。
  • 特に、プロダクトビジョンが曖昧だったり、浸透していなかったりという状況でやってしまうと、失敗した学びが組織の知見として溜まっていかない、活かせない可能性がある。
  • なのでこれを機に「Fail Fast」ではなく「Fail Smart」という考え方に改めて欲しい。失敗するなら「新しい」失敗を。
    • これまで試してこなかった、考えたことも無かった全く新しい仮説のもとにチャレンジしたものであると良い
    • これがあると組織だけでなく会社全体の学びとなり得る

Product Principle(プロダクトの共通原則)

  • どのプロダクト・機能を取り上げても、必ず内在している根本価値
    • LinkedInの場合
      • Valuable(実在している問題を解決している)
      • Simple(いかにしてシンプルに価値を届けるか)
      • Trustworthy(ユーザーの期待を裏切らない形を取る)

まとめ

 

まとめ

という訳で、プロダクトマネージャーカンファレンス2022のセッション『プロダクトビジョンを正しく生かして、芯のあるプロダクトを作る秘訣』の視聴レポートでした。