[レポート] B-1 プロダクトマネジメントと民主主義 – プロダクトマネージャーカンファレンス2022 #pmconf2022

2022.12.04

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2022年11月02(水)、プロダクトマネジメントに携わる人たちが共に学び、切磋琢磨するイベント『プロダクトマネージャーカンファレンス2022』がオンライン形式で開催されました。

当エントリでは、ブレイクアウトセッション『プロダクトマネジメントと民主主義』の参加(視聴)レポートをお届けします。

目次

 

セッション概要

セッション概要は以下の通りです。

[タイトル]
プロダクトマネジメントと民主主義

[登壇者]
・河野 文弥氏(株式会社ユーザベース/株式会社wellday,INITIAL事業執行役員CPO/執行役員CPO)

[セッション概要]
プロダクトマネジメントではさまざまなステークホルダーがいる中で、それぞれの意見を汲み取りつつ前に進めるために意思決定する必要があります。

どの部分はトップダウンで意思決定し、どの部分は多様な意見を受け入れ、どの部分は意思決定を委譲するのか。

メガベンチャーとスタートアップ2社でCPOを兼務する中でのプロダクトマネジメントの経験と、NPOで選挙/政治の見える化を通じた民主主義の発展を目指す活動を行ってきた経験から、その考え方やパターンについて、政治体制の変化や地方分権、パブリックコメントのアイデアを取り入れながら体系化し、自身のチームはどのような意思決定構造にすべきなのかを考察します。

(※以上、公式サイトより引用)

セッションレポート

プロダクトマネジメントにおける意思決定は民主的であるべきなのか?

  • そもそも民主的なプロダクトマネジメントとは何なのか
    • 投票で優先度を決める?
    • 合議制でプロダクトビジョンを決める?
    • 意思決定者を持ち回りや評価で頻繁に入れ替える?
  • 本日のこの件を考えるにあたって提示したい『コンウェイの法則
  • 民主的な意思決定構造は妥協的なサービス設計を生む
    • 民主的であることのメリット
      • 多様な視点が反映される
      • プロセスに納得感が生まれやすい
      • 特定の人に依存しない
    • 民主的であることの弊害
      • コミュニケーションコストの増加 → 意思決定の遅れ
      • 玉虫色の決定となる → 選択と集中ができない
      • 短期/目の前のKPIに向けた施策に走る → 中長期的な一貫した投資の不足。リスクテイク出来ない。
  • 民主的な意思決定の帰結
    • プロダクトマネジメント版コンウェイの法則により、総花的、折衷的なサービス設計になりがち。また意思決定にも時間が掛かる。
  • 民主主義、政治としては失敗なのか?
    • COVID-19による死亡率は民主主義国家ほど高い
    • コロナ禍における経済成長率は民主主義国家ほど低い
  • なぜ民主主義なのか
    • チャーチルの言葉:
      • 「民主主義は最悪の政治と言える。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが」
      • 重視されているのはパフォーマンスでは無く、プロセスの正当性(legitimacy)
  • 民主主義的にやったほうがいいこと
    • 誰も取り残してはいけないサービスの設計/多様な視点が重要
    • 組織や会社、働き方に関する意思決定/プロセスの納得感が重視される
  • 理想的なサービス設計とは
    • プロダクトビジョンを最短距離で実現
      • 誰のどんな課題を解決して、どんな価値を提供するのか?クリアでシャープ
      • 全体を通じた一貫性がある
      • 精度高くも素早い意思決定と実行

では、どのように意思決定していくべきか?

  • 政体循環史観
  • 優しい終身の独裁者になろう
    • 優しい終身の独裁者 - Wikipedia
    • 一般的にはソフトウェアの仕様の最終決定者ではないが、定義を拡張して、責任を持ち最終的に意思決定を行うことまでを提案したい
    • 調整するな、決定せよ/プロダクトマネージャの仕事は調整で終わってしまうべきではない、ちゃんと決定すべき
  • 独裁的なプロダクトマネジメントとは
    • 参考として投票は集めても、決めるのはオーナー
    • まずオーナーがビジョンを示す
    • 原則オーナーは変えない
  • 全部決めなきゃいけない?
    • そもそもPdMの業務範囲は膨大。その全ての意思決定を担わなければならないのか?
    • 答えはYes。それだけPdMの責務は重い。ただ分割統治や権限委譲によりスコープをコントロールする事は出来る。
    • 分割統治/地方分権
      • 1つのプロダクトには1人の独裁者→プロダクトを分割する
  • 権限移譲/デリゲーションポーカー
    • 意思決定の方法を事前に合意することで優しい独裁を実現

  • 独裁者は何によって正当化されるのか
    • 独裁≠自分の好きにやっていい
    • → 各社のビジョン/ミッション/バリューに従う。VMVが違法。
    • コミットメントと説明責任。成果を出す。なぜその意思決定をしたのかを丁寧に伝える。

最後に

  • 決めることから逃げない。
  • 意思決定の量と質こそが学びと成果
  • 政治においては民主主義の力を信じる。投票に行こう!

 

まとめ

という訳で、プロダクトマネージャーカンファレンス2022のセッション『プロダクトマネジメントと民主主義』の視聴レポートでした。