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ネクストモード3周年~個人としての振り返りとこれから~

ネクストモード3周年振り返りのつもりが、個人の悩みを振り返る記事になってしまいました。
2023.07.07

西澤です。クラスメソッドが20年目に突入したこの7月、NTT東日本とクラスメソッドで設立されたネクストモードは、なんと3周年を迎えました!時間が経つのは本当に早いものですね。

まずは、関わってくれているメンバー、関連会社のみなさま、サービスをご利用いただいているお客さま、その他のネクストモードを応援していただいているみなさまに心より感謝申し上げます。本当にありがとうございます!

ネクストモードという会社を知らない方も多いと思いますし、十分に情報発信ができていないところがあるので、このタイミングで設立前からの個人的な取り組みと悩みを、洗いざらい振り返ってみようと思います。

ネクストモード設立前

ネクストモード設立前の個人的な背景からになりますが、私は2015年にクラスメソッドに入社しました。誇れるような経歴は無く、30歳からサーバエンジニアを始めてAWSとの出会いをきっかけにさまざまな方とのめぐり合わせや幸運が重なって今に至るという感じです。

零細SIer出身の私がクラスメソッドに入社してそれまでと一番大きく変わったのは、先輩や同僚のエンジニアのレベルが凄まじく高く、みな尊敬できる方たちばかりであるということでした。自分自身が1プレイヤーとして価値を出すことができるとは思えず、一方で社内外を含めて対人折衝はあまり上手ではないエンジニアの方もいたので、私自身は当時のクラスメソッドが倦厭しがちだったクライアントワークに積極的に取り組みつつ、この優秀なエンジニアたちがもっと世間に認知されるような活動をしていきたいと考えるようになりました。

大きな転機の1つは、AWSソリューションアーキテクトを目指す育成枠のチームとして、AWSエンジニアのチームを起ち上げ、採用から育成に関わるようになったことです。優秀な即戦力しか採用しない組織はそれはそれで中毒性のある異次元の居心地良さだったのですが、それを維持する為にもビジネス要求に応えられるだけの人員を確保し続ける必要がありますし、組織に新しい風を入れることも大切です。少し立ち上げには時間がかかりましたが、結果としてこのAWSエンジニア育成の取り組みによって、多くの優秀な若いエンジニアがジョインし、大きく飛躍していきました。この取り組みが功を奏したこともあり、それまで20名前後から人数を増やすことができなかったAWSソリューションアーキテクトのチームを50名程度のチームに増強することに成功しました。

部長になってみた

クラスメソッド入社前は、プレイヤーとしてベターかもという程度の理由で現場のリーダーを任された経験はありましたが、顧客に対しては真摯に向き合いながらも、組織に対して長期的にコミットしたり責任を自ら負うような取り組みは避けて働いていたように思います。クラスメソッドで部長職になってからは、ビジョンを示す横田さんという圧倒的なリーダーがいて、それを凄まじいスピードで具体的かつシンプルに戦略化する佐々木大輔さんがいて、自分よりも優秀なマネージャたちにも支えてもらいつつ、AWSビジネスの外的環境にも助けられて、私自身の力不足の粗が大きく目立つことは少なくてすみました。

全員の個性や好きなことを把握して全体のバランスを取って活躍の場を用意すること、ある程度枠組みができあがった事業に対して資源を効率よく配置するようなことはまずまず上手く取り組めたと思います。困っているメンバーを助けたり、全員が気持ちよく働くための下支えをするような活動が嫌いではないのかなということにも気付き始めました。ただマネージメントができていると言うには程遠く、メンバーに仕事を振れずに自滅的にテンパって仕事が回ら無くなったところをメンバーに助けてもらうこともしばしばでした。事業においても組織においてもある程度土台ができあがっている状況だったので、それを維持継続さえできれば大きな問題が発生することはなく、結局のところ若いメンバーの背中を押すことばかりに取り組んでいたように思います。

ネクストモード設立

前置きが長くなり過ぎましたが、ようやくネクストモードのお話です。ネクストモードは、NTT東日本という歴史ある巨大企業とクラスメソッドという成長著しい未熟な企業の2社による合弁で作られた会社です。設立に携わった中心メンバーの思いで動いている部分が大きいものの、株主としての関連会社にも意向を確認しながら事業をしなければいけない会社でもあります。クラウドを主軸とした事業を行うという方向性こそ決まっていましたが、具体的なビジネスモデルや各社のビジネス連携が確立された状態とは言えない状態でのスタートでした。設立直前のコロナ禍からの会社起ち上げという背景もあり、「クラウドであたらしい働き方を」というビジョンを掲げ、自らがクラウドやSaaSを活用、あたらしい働き方を実践し、その活動をお客さまのご支援につなげることを目指すことになりました。

複数の関連会社があることにより、様々な支援や業務連携が期待できる一方で、それぞれの意向に振り回されることや活動が制限されることもあるという新しい難しさを最初は煩わしく感じました。今も私はネクストモードとしての活動をクラスメソッドからの出向という形で行っています。設立当初はクラスメソッドからスピンオフした1部署くらいの感覚でいたので、それ以前のようなスムーズな連携ができると甘く考えていたのですが、クラスメソッドのメンバーから別会社と捉えられてしまうことで期待していたような連携が叶わないケースもあって残念な気持ちになったこともあります。一方で私の事務処理能力ではとても捌ききることができないようなNTT東日本向けの各種報告についても、なぜこんなにも細かい報告が必要なのか理解に苦しみましたし、せっかく分離独立させた子会社なのだからもっと積極的な挑戦を奨励するような"遊び"が必要なのではないかと感じました。

それでも1から全員の力を結集して会社を作り上げていく作業は非常に楽しい取り組みでした。いろいろな仕組みやルールが実質ほとんど無い状態からスタートし、自分たちの経験を寄せ集める形でベストな方法を模索していく活動そのものが組織の結束力を高め、チームを活性化していきました。また、多様な雇用形態の方、期限付きのトレーニングとして参画いただいた方、出向母体の異なる方、等のバックグラウンドが違うメンバーが混在している難しさに対しても、あえて全メンバーにフラットに接し、同じように要求を続けることで、ネクストモード流のあたらしい働き方が徐々に浸透していったように思います。最初の頃は慎重で動きの固かったメンバーたちが自律的に自発的に仕事に取り組めるように変化することで、それが他のメンバーにも波及して好循環が回り始めました。単純に人数が少ないことも手伝って、メンバーの結束が強く、ロイヤリティの高いチームが育っていくのを実感することができました。

取締役になってしまった

AWSビジネスを中心に成長著しいクラスメソッドでは景気の良い話ばかり聞こえてきますし、確立されたビジネスモデルと伸び続ける事業がベースにあるので、新しい挑戦を奨励して背中を押し続けることだけしていれば良い循環が回っていくという状況がありました。クラスメソッドでは事業のことはあまり意識せず効率度外視でもお客さまの満足を追求していれば結果がついてきましたが、ネクストモードという分離独立した企業としての成績を目の前に突き付けられると、同じやり方では成果が出ないことが肌身に染みて理解できるようになり、ビジネスの難しさを痛感することになります。頭ではわかっていたつもりになっていましたが、お客さまに出会い、ご依頼をいただき、適切なサービスを提供し、対価をいただく、までの全体を見ながら、効率化すべきところを改善し、効率化できないけれども継続すべきことを見極めながら、中長期的に安定したサービス提供を維持していくことの難しさに対峙する必要がありました。

クラスメソッドで取り組んできたことの延長線上として取り組んでいるAWS技術支援については、高い技術力とスピード感が期待される一方で優秀なエンジニアに依存しており、案件の波に合わせて体制を用意する必要がある中で、事業の成長を目指すにはそれなりの規模の案件を獲得しながらメンバーを増員していかねばならず、個人として以前から好んで取り組んできたビジネスでこんなにも悩むことになるとは正直考えてもいませんでした。プリセールス活動は以前から取り組んではいたものの、営業行為そのものであったり、それに伴う契約手続きについては営業チームに助けられてばかりでした。苦手かつ軽視してきたバックオフィス業務については逆に私が周囲の足を引っ張るようなことも多く、今でもメンバーの助けが無ければできないことだらけです。

経営、営業、事務作業など、これまであまり意識を払わずにいた事業継続の為に欠かすことのできない様々な役割の重要性を強く意識できるようになったことは結果として個人として大きな収穫となりました。まだできていないことが多いですが、少なくとも視野は少し広くなったのかなと感じています。一緒に働く仲間への尊敬の念も感謝の気持ちもより深いものになりました。横田さんには「経営って結局全部やるってことだから」と言われて逆に吹っ切れたというか、このような自分で申し訳ない気持ちの一方で、できることに対してベストを尽くそうと考えるようになりました。

自分の弱みを味方につける

ネクストモードができてからは、自分が経営に関与できているのか、マネージメントできているのか、という葛藤ばかりでした。そんな中で自分が人より好きなこと、得意かもしれないことに注力しようと考えるようになりました。

そもそも場違いなスーパー進学校に入学してしまって取り得のなかった学生時代には何かのリーダーをやったような記憶がほとんどありません。ただ寂しがりで個人活動は好きではないので、優秀なリーダーがいるチームに対してサポートするような立ち位置が好きでした。今回突然思い出したのですが、全員参加が義務付けられている委員会活動の中に「議長団」という謎のロールがあり、クラスで何か決めないといけないときにその議論のファシリテーションをやるだけという仕事があったのですが、それが好きでずっとやっていました。ここが私が一番心地よくチームに貢献できるポジションなのかなと今でも思っています。

リーダーよりはフォロワーとして

自己肯定感も高くはない方ですし基本的に自信が無いこともあって、何かを1人で決めて率先して皆を引っ張っていくというスタイルではなく、組織のメンバーを盛り上げて応援して成果を上げていくというスタイルが好きです。自分自身も仕事を任されて自分の裁量でできる仕事の方が圧倒的に楽しいと感じていたので、なるべく個人の裁量に任せて働いてもらいたいと考えています。ネクストモードには縁の下の力持ちのようなこと辛抱強く取り組める方が多く、クラスメソッドメンバーのような我儘はあまり言いません(誇張して書いてますw)。一方でそういう方は自分の得意なことを積極的にアピールすることが得意では無いので、メンバーが得意だなと感じたことを外からフィードバックし続けていくと、それが意識されて働き方が変わってくることがあります。人の成長や変化はいつも予想通りに行かないところがすごく面白いです。

自分自身が出遅れエンジニアであることもあるので、これからもエリートコース一直線というよりは少し寄り道をしてしまったけれども前向きに努力を続けているような方たちを支援する活動を幅広くしていきたいなと考えています。

あえて白黒はっきりつけないことも

一般的には意思決定は速くわかりやすくすることが好まれると思います。自分自身は熟考するというタイプでも無いのですが、割と慎重に考えがちなタイプです。メンバーからの相談にはなるべく早めにリアクションをするようにしていますし、必要な意思決定はきちんとやらなければいけないと思っています。一方で、課題をあえて棚上げにしておくことや後回しにすること、焦らず時間をかけて目標に近づけていくことを是とすることがあります。"ネガティブケーパビリティ"という程のことではないのですが、課題であることを必要以上に問題視せずに、目標とすべき方向性だけ確認しながら時間をかけて少しずつ改善していければ良しと考えることも多いです。

もう少し抽象化して物事を考える癖があったら良かったのですが、何を間違ったのか若いときに真実はディテールにしかないと考えていたので、汎用化されたものにまったく興味がありませんでした。パターン化したりフレームワークで考えることができないのは、今でも大きな弱点だと思います。ここは経営においてもエンジニアリングにおいてもネガティブなことが多いので、最近になっていろいろな本を読むようになりました。相変わらず浅薄な知識しかありませんが、急激に成長するクラスメソッドと1から形作られていくネクストモードでの貴重な実体験が、これから何かを考える際の大きな判断材料になっていくと思います。

自分自身が寄り道しがちな人生だったこともあり、ゴールまで最短距離行くことを目標にはしていません。過程を楽しむということもありますし、かっこよく言い過ぎなのですが、"セレンディピティ"とか"Connecting The Dots"とか個人としても組織としても試行錯誤しながらもその時その時に最善を尽くしてさえいれば、思わぬ良い結果が転がりこんでくることがあるのではないかと考えています。継続的に努力することはもちろん必要なのですが、ビジネスも人生もめぐり合わせもあるし結果論というか運みたいなところもあるしなと割り切っているところもあります。

やっぱり情熱に勝るものはない

根性も体力もありませんでしたが、体育会系な考え方も自分の一部だと思います。最近はあまり流行りませんが、最後は情熱が強い方が勝つと信じています。事業や仕事に情熱を持って取り組んでもらうには、それができる個人を集めるのが良いのでしょうが、なかなかそう簡単には行かないので、より強い情熱を持って仕事に取り組んでもらえるように何かしらの働きかけをしていくことが必要です。

お客さまへのサービス提供においても、社内の組織作りにおいても共通するのですが、人を動かす為にはストーリーを用意してあげることが必要なんだと思います。カスタマージャーニーとか、Whyから始めようとか、仮説に基づくロジカルな戦略とか、人を動かす為にはその人の情熱に働きかけるためのストーリーが必要です。ここを上手にできる人が所謂カリスマなんだと思います。

私自身カリスマ性は持ち合わせていない自覚があるので、正直に向き合うことで誰かの情熱に働きかけられたらと考えています。なるべくかっこつけず弱みや悩みも正直に共有することで信頼してもらった上で、まずは自分自身が情熱を持って取り組むこと、そしてそれを信じて共感してもらえるように努めています。トップダウン型に理屈抜きで仕事に取り組んでもらうことは情熱を削ぐ行為になりかねないので避けるべきと考えています。誰かの情熱に働きかけることができたら、きっとそれはすごく幸せことだと思います。

これからの"ネクストモード"

自分の話ばかりであまりネクストモードのことを書いていませんでした。3周年を迎えたネクストモードは毎年恒例になった全社員ワーケーションイベントを今年は高尾山で開催しました。全メンバーのイベントへの積極的な協力と、メンバーからの会社愛と情熱に溢れたLT大会や懇親イベント等、幸せな時間を過ごすことができました。試行錯誤しながらもようやく会社としての方向性が整ってきたことで各メンバーが自律的に動きながら部署間の連携もスムーズにできており、これまでの3年間で間違いなく組織の成熟度は最も高い状態であることは間違いないと思います。

これからも「クラウドであたらしい働き方を」というビジョンを掲げ、自らがクラウドやSaaSを積極的に活用し、あたらしい効率的な働き方を実践していくことで、それを顧客にも還元することを目指していきます。なぜこんな自分のことばかりを書いてきたのかと言うと、「あたらしい働き方」を実践するにはクラウドやSaaSを使いこなすことも重要なのですが、それを活かすためのカルチャー作りやオープンな考え方を発信していくことが重要だと痛感しているからです。

最後に

3周年を迎えたとは言え、まだまだ未熟なネクストモードですが、引き続き悩みながらも一緒に会社の成長を楽しんでくれる仲間を大募集中です!世の中のはたらき方の当たり前を次の(ネクスト)モードにしていけるような活動を続けていきたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたします!