[Amazon Connect]ルーティングプロファイルにあるキューの優先度と遅延の違いについて
コールセンターシステムとして、ユーザー毎のスキル設定は重要です。
Amazon Connectはルーティングプロファイルで、エージェントがどのキューを受けるかとキュー毎の優先度・遅延を設定することができます。
”キュー”やルーティングプロファイル”といった考えは、一般的なコールセンターシステムでは聞き慣れない単語かと思います。
また、優先度と遅延の考え方についても少し複雑な為、本記事にて整理します。
キューとは
キューについて説明します。
キューとはエージェントが応答するまで顧客が待つ場所になります。
キューは”窓口”と思っていただくと分かりやすいです。
例えば「料金窓口」や「住所変更窓口」といった形でそれぞれキューを作成します。
キューではオペレーション時間(何時から何時まで受ける)や、発信する際の電話番号を設定することができます。
ルーティングプロファイルとは
ルーティングプロファイルはどのキューを受けるかの設定と、キュー毎の優先度をつけることができます。
ユーザーのグループ機能に近いものになります。
例えば、管理者(SV)にはハイレベルのキューを割り当てて、新入社員には研修用のキューを割り当てるといったところのグルーピングを行います。
下はルーティングプロファイルの中でキューを設定する画面です。
料金窓口と住所変更窓口を登録している場合、優先度が低い順から着信させるため、まずは料金窓口のキューを優先します。
料金窓口の待ち呼がなく、住所変更窓口の電話が着信した場合、住所変更窓口のキューに呼を流します。
1ユーザーにつき、1ルーティングプロファイルを設定することが可能です。
優先度
優先度について整理します。
ルーティングプロファイル | 登録してるキュー | 登録してるキュー | 登録してるキュー |
---|---|---|---|
エージェント | 解約受付窓口:優先度1 | 住所変更窓口:優先度2 | 料金窓口:優先度3 |
研修者 | 料金窓口:優先度1 | 住所変更窓口:優先度2 | 解約受付窓口:なし |
研修者
は、一番優先度が低い料金窓口を優先的に受電します。料金窓口に待ち呼がない場合に住所変更窓口に電話がくると、住所変更窓口を受電します。解約受付窓口はスキルが高い為設定しておりません。(この場合解約受付窓口のキューは着信しません)
エージェント
はスキルの高い解約受付窓口を優先的に受電します。解約受付窓口に待ち呼がない場合、住所変更窓口を受信します。解約受付窓口・住所変更窓口ともに受電がない場合、料金窓口を受信します。
複数のエージェントが受付可の状態の場合、もっとも受付可の時間が長いエージェントに着信させます。
ここで大事なのは、ルーティングプロファイル同士で優先順位や関連性はないということです。
例えば研修者
とエージェント
共に受付可の状態で、エージェント
の方が受付可の時間が長い場合を想定します。
料金窓口に電話が着信し、住所変更窓口・解約受付窓口に待ち呼がない場合、受付可の時間が長いエージェント
に料金窓口を着信させます。
表で見ると研修者の方が優先度が1じゃないか、と思うかもしれないですが、あくまで各ルーティングプロファイル内のキューの優先度における設定になります。
全体のルーティングプロファイルで見た場合の優先度ではない点をご留意ください。
遅延
優先度について理解できたと思いますので、次は遅延について整理します。
ルーティングプロファイル | 登録してるキュー | 登録してるキュー | 登録してるキュー |
---|---|---|---|
エージェント | 解約受付窓口:優先度1 遅延0(秒) |
住所変更窓口:優先度1 遅延30(秒) |
料金窓口:優先度2 遅延0(秒) |
上記の場合、まず、優先度が低く遅延もない解約受付窓口に着信します。
住所変更窓口が30秒以上待ち呼の状態で、解約受付窓口に待ち呼がなかった場合、住所変更窓口が優先度1となり着信します。
料金窓口は、解約受付窓口・住所変更窓口共に待ち呼がない場合において着信します。
優先度とあまり変わらないと思われるかもしれないので、遅延を入れる理由を補足します。
遅延を入れたいケース
遅延を入れたいケースとしては、特定の窓口でサービスレベルを落としたくない場合です。
先ほどの説明を例にあげると
- エージェントには基本解約受付窓口を取ってもらいたい
- ただ、住所変更窓口で30秒以上お客様を待たせてる場合はサービスレベルが落ちる為、そちらも優先的に着信させたい
すぐに着信はさせたくないが、特定の窓口で特定の時間をお客様で待たせたくない。。といった場合に遅延の設定を利用します。
また、ルーティングプロファイル同士で優先順位や関連付けはないですが、”遅延”を使うことで擬似的にそのような設定を行うことができます。
ルーティングプロファイル | 登録してるキュー |
---|---|
エージェント | 料金窓口:優先度1、遅延10(秒) |
研修者 | 料金窓口:優先度1、遅延0(秒) |
この場合、研修者
は料金窓口に電話があればすぐに受電しますが、エージェント
は料金窓口が10秒経ったら着信する形になります。
こうすることで、基本研修者
に電話を着信させつつ、料金窓口で10秒以上待ち呼が発生している場合はエージェント
が取ることが可能です。
最後に
Amazon Connectのルーティングプロファイルにあるキューの優先度と遅延について説明しました。
Amazon Connectについて慣れてきているものの、混乱した部分があったのでブログにて整理しました。
どなたかの役に立てますと幸いです。
ではまた!コンサルティング部の洲崎でした。