「自分でどうにかできる度」の境界を整理する

「自分でどうにかできる度」の境界を整理する

Clock Icon2023.03.27

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

こんにちわ。従業員体験( EX )の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
仕事において、大抵の仕事に関して「自分でどうにかできる」という状態が求められがちです。
一方で、全員が最初から「自分でどうにかできる」わけではありません。
たまたま、生まれ育った環境と本人の努力によって社会に出た時点でほぼ「自分でどうにかできる」特性を持っている人もいれば、そうでもない人もいます。また、「自分でどうにかできる」は0/1ではなく、グラーデーションがありそうです。
そこで、「自分でどうにかできる」をいくつかの段階に分割し、そこに関わる要素とともに整理してみます。

自分でどうにかできる度0 - 目的地に行きたくない

できる・できない以前に取り組む意欲がないケースです。
  • 保持
    • なし
  • 不足
    • 意欲
意欲の不足の原因は人それぞれでしょうから、それを育てる必要があります。
短期的な意欲は、長期的な動機に支えられています。その人にとっての行動する理由である動機の発見、強化を支援することになるでしょう。きっかけを提供する意味では、何かしらの報酬(金銭、称賛)などの外発的な動機に頼るのが一つの選択肢です。
より長期的に継続する強い意欲を支える動機のためには、内発的な動機が必要です。本人が取り組む理由の整理をお手伝いします。興味、上達、個人の夢、社会への貢献意欲、同僚への貢献意欲など、その人の関心と仕事内容をつなぎます。あくまで誘導ではなく、整理のお手伝いです。他人の内発的な動機を無理やり作り出すことはできませんが、本人が元々持っている無自覚な動機を整理することや、動機が生まれるきっかけ作りのお手伝いは他人でもできます。

自分でどうにかできる度1 - 目的地にいくことができない。教えてもらっても能力が習得できない

取り組む意欲はあるが、学習能力が不足し、サポート付きでも目的地に到達できないケースです。
  • 保持
    • 意欲
  • 不足
    • 支援者の学習支援能力
支援しても期待する水準まで能力が高まらない場合、支援者の学習支援能力が不足しているケースがありえます。
多くの場合、指導を担当する人は学習のプロではないので、よくある話です。
例えば、縄跳びで3重飛びを習得する必要があり、飛べない人がいたとして
  1. 2重飛びは飛べるが3重飛びを飛べない人
  2. 前飛びは飛べるが2重飛びを飛べない人
  3. 前飛びを飛べない人
の3種類がありえます。
学習支援能力が不足している場合、3の人に1の人向けの教え方しかできないようなケースがありえます。みんなには1で教えたのだから、それで飛べない方が悪い、というようになってしまうのが悲しい展開です。
相手の現在地を見極め、個別の段階ごとに教える必要があるわけですが、自分が一度できるようになってしまったものを段階的に捉えるのは意外と難しいもので、「なんかいい感じにやって!」というような大雑把な話になりがちです。

自分でどうにかできる度2 - 目的地まで、決まった道を教えてもらいながらであれば、いくことができる

取り組む意欲はあり、サポート付きであれば目的地に到達できるケースです。
一方で、サポートがなければまだ目的地には到達できません。
  • 保持
    • 意欲
    • 支援者の学習支援能力
  • 不足
    • 独力での学習能力 / 単独での実施への自信
サポートがなければ目的地に到達できない場合、2つの可能性があります。
1つ目は、独力での学習能力不足です。この状態は、未知の対象があるときに、自分が何を学べばいいか調べ、自ら学習していく能力が不足しています。これを強化していくのは、これをできる人が何を考えて学習しているのかを聞いてみるとよいでしょう。参考にできる答えが見つかるまで多様な意見を集めるとよさそうです。
2つ目は単独で実施する自信の不足です。実際は一人で成し遂げる力はあるが、失敗への不安から踏み出せない状態です。対策としては、成功体験を積み重ねることや、成功した事実を周囲から伝え、承認することで自己効力感を育てることです。

自分でどうにかできる度3 - 目的地まで、決まった道であれば一人で到達することができる

取り組む意欲はあり、サポート不要で目的地に到達できるケースです。
一方で、目的地にたどり着く方法を自分で発見することはできません。
  • 保持
    • 意欲
    • 支援つき学習能力
    • 独力での学習能力 / 単独での実施への自信
  • 不足
    • 目的の実現方法を調べる力、考える力
目的地にたどり着く方法を自分で発見することはできない場合、目的地にたどり着く方法を自ら考えるという発想自体が不足していることが考えられます。独学での学習能力があるのであれば、自分に必要な物を自分で調べる事自体はできるはずです。調べる対象が道の通り方ではなく、道そのものの見つけ方に変わるだけです。

自分でどうにかできる度4 - どうやって向かうのか自分で決めることができる

目的地にたどり着く方法を自分で発見することができます。
一方で、目的地を自分で決定することはできません。
  • 保持
    • 意欲
    • 支援つき学習能力
    • 独力での学習能力
    • 目的の実現方法を調べる力、考える力
  • 不足
    • 目的を決定する力
目的地を自分で決定することができない場合、2つの可能性があります。
1つ目は、目的地に自分で決めるという発想自体が不足していることが考えられます。
2つ目は、目的地を自分で決めたいという動機の不足です。仕事において目的地を決めるというのは、大きな責任を伴います。そのプレッシャーに勝てるだけの取り組む動機が必要になります。
これらの2つの全体が「目的を決定する力」と考えることができそうです。

自分でどうにかできる度5 - どこを目指すか自分で決めることができる

目的地を自分で決定することはできます。
  • 保持
    • 意欲
    • 支援つき学習能力
    • 独力での学習能力
    • 目的の実現方法を調べる力、考える力
    • 目的を決定する力
  • 不足
    • なし
無事、大抵のことは自分でどうにかできる状態になりました。
目的地を自ら決め、たどり着く方法も自ら決め、一人で到達できる状態です。

まとめ

自分でどうにかできる度」の境界を整理しました。
これらの境界をまたぐ際には、
  • マインドの変容
  • ソフトスキルの強化
が必要になります。これらは、専門スキルの習得とは異なり、大抵の場合は強化に時間がかかります。また、自分ではどうにかできないからこそ立ち止まっているケースが多く、こういうときこそマネージャーの力の見せ所になります。
例えば、自分自身が「自分でどうにかできる度5」であり、周囲にも「自分でどうにかできる度5」の人ばかりの環境があったとします。この環境に「自分でどうにかできる度4以下」の人が少しずつ増えてきた場合、既存の人たちはどのように新しいメンバーを支援していいかわからない、という状況が予想できます。元々全部できる人しかいないのだから。
こんなときこそ、どの段階で躓いているのかを判別し、各階段を登れるように時間をかけて支援していく必要があるでしょう。

Share this article

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.