[値下げ] Amazon SES の Virtual Deliverability Manager に段階的な料金単価が適用されるようになったので試算してみた
いわさです。
Amazon Simple Email Service (SES) には Virtual Deliverability Manager (VDM) というオプションがあります。
この VDM は Amazon SES の配信性能ツールとして設計されており、ダッシュボードやアドバイザー機能を通じて配信性能に影響のあるインサイトや推奨事項が提供されたり、ガーディアンと呼ばれる機能を使った E メール送信やマーケティングプログラムの改善を自動的に実施することができます。
様々な利点のあるこの機能、1,000 通のメール送信あたり 0.07 USD の利用料金が発生します。(0.0005 USD/1000件のクエリ料金もある)
が、先日のアップデートで段階的な料金単価が設定されるようになりました。
結論だけ先にまとめると、今回のアップデートで利用料金が高くなるユーザーはいません。
一部かなりメール送信件数の多い利用者の方は利用料金が安くなりますが、それ以外のユーザーは従来どおりの利用料金です。
どの程度のメール送信件数でどのくらい安くなるのか試算してみましたので紹介します。
変更内容
変更された料金単価は Amazon SES の料金ページにも反映されておりますが、日本語版がまだ反映されていなかったので差分を比較してみましょう。
以下は日本語の Amazon SES 料金ページに記載されていた料金単価です。
送信件数にかかわらず 1,000 通の送信あたり 0.07 USD が発生していました。こちらは通常のメール送信に加えて VDM 利用料金として追加で発生するということです。
以下は英語の Amazon SES 料金ページに記載されていて料金単価です。
今後は 1,000 万通までが従来と同じ単価の 0.07 USD/1000通、それ以上から 1 億通までは 0.05 USD/1000通、さらにそれ以上は 0.02 USD/1000通となります。
なので、月あたり 1 億通以下の送信量の場合は従来どおりの料金で、それ以上の場合は従来よりもちょっと安くなるという感じです。
上記以外の料金や機能面の変更はなさそうです。
試算
具体的にどの程度の料金となるのか試算してみました。
まず、本日時点で Pricing Calculator は VDM 料金に対応していないので手動で計算しましょう。
また、なぜか Pricing Calculator の Amazon SES の料金は合計額が集計されません。気をつけましょう。
1,000通 ~ 10億通まで比較してみます。
送信件数 | アップデート前 | アップデート後 |
---|---|---|
1,000 通/月 | 0.07 USD | 0.07 USD |
10,000 通/月 | 0.7 USD | 0.7 USD |
100,000 通/月 | 7 USD | 7 USD |
1,000,000 通/月 | 70 USD | 70 USD |
10,000,000 通/月 | 700 USD | 700 USD |
100,000,000 通/月 | 7,000 USD | 5,200 USD |
1,000,000,000 通/月 | 70,000 USD | 23,500 USD |
1,000 万通あたりまでは従来と料金が変わらないですが、1億通、10億通でかなり安くなっていることがわかります。
所感ですが私の観測範囲では 1,000 万通/月を超える規模の利用をたまに見るくらいで 1億通/月 はなかなか無いですね。
よほど大規模なメール送信利用をしているユーザーさんのみ恩恵を受けることができる感じでしょうか。
変更時期
いつから適用されるのかについてはドキュメントやアナウンスで明記がされていませんでした。
ただし、AWS の使用量データを確認してみると、前月と今月で料金明細の Description 表記が変わっていることを確認しました。なのでおそらく今月頭から新料金が適用されているのではないでしょうか。
前月の Description は以下です。(東京リージョンの例)
Outbound emails processed by Virtual Deliverability Manager in Asia Pacific (Tokyo)
今月の Description は以下となっていました。
$0.00007 per Count from 0 to 10,000,000 for Outbound emails processed by Virtual Deliverability Manager in Asia Pacific (Tokyo)
「0.00005 per」のものが確認できませんでしたが、おそらく階層別にレコードが増えていくのかなという感じです。
さいごに
本日は Amazon SES の Virtual Deliverability Manager に段階的な料金単価が適用されるようになったので試算してみました。
一部の大規模利用をしているユーザーさんのみ値引きの恩恵を受けれそうということで、大規模利用の場合は安くなるけど標準的な利用範囲であれば従来どおりかなくらいで思ってもらって良さそうです。