収入印紙ってなんぞ?

収入印紙ってなんぞ?

Clock Icon2011.07.12

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こんにちは。 日々事務業で奮闘中のクニ吉です。

私は見積書から請求書、契約書など様々な書類の手続きを行っていますが、その中で戸惑ったのが「収入印紙」。 今回はその収入印紙のお話です。

収入印紙って何?

収入印紙とは、国庫の収入となる租税や手数料、その他の収納金を徴収するために政府が発行する証憑です。 印紙税法に基づき、課税物件に該当する文書に対して課せられる税金(印紙税)を納める際に使用します。 収入印紙を貼る必要がある文書を「課税文書」と言います。 収入印紙を貼る必要がない文書のうち、そもそも課税対象ではないものを「不課税文書」と言い、上記課税物件に該当するもののうち、特定の条件で課税対象とならないものを「非課税文書」と言います。

  • 不課税文書の例:委任契約や派遣契約
  • 非課税文書の例:第2号文書(請負に関する契約書)で「契約金額の記載のある契約書」のうち、当該契約金額が1万円未満のもの

収入印紙というものは聞いたことはありますが、今まで使ったことがなかったので高額の領収書に貼るイメージしかありませんでした。 ちょっと調べてみたところ、私たちが普段契約書等に貼っている収入印紙は「印紙税」という税金の納付のために貼っているものらしい。。。 この印紙税法が結構厄介。 自分の扱ってる文書が課税対象なのかどうか、課税文書のどの区分にあたるのか、どの金額の収入印紙を貼らなければいけないのか、これが結構複雑なんですね。

私の扱っている文書で収入印紙を貼っているのは主に「基本契約書」と「注文請書」、「個別契約書」の3点。 どうやって区分を判定するのか、金額はいくらのものを使用するかなどを書いていきたいと思います。 本来、課税対象かどうか等は文書名で決まるわけではないので課税文書の区分別に書いていくべきなのですが、文書名別に書いた方が分かりやすいので、文書名で分けて説明していきたいと思います。

基本契約書について

全ての取引に共通する基本的な取り決めについて定めたもの。 大抵、印紙税法では「継続的取引の基本となる契約書」となり「7号文書」に該当しますが、 記載内容により7号文書に該当しない場合があります。 7号文書に貼付する収入印紙は「4千円」です。

印紙税額一覧はこちら

7号文書となる5要件

印紙税法施行令第26条第1号では7号文書となる5要件を定めています。 下記5要件をすべて満たすものを7号文書として扱います。

1 営業者の間における契約であること
2 売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負のいずれかの取引に関する契約であること
3 2以上の取引を継続して行うための契約であること
4 2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、 債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうちの1以上の事項を定める契約であること
5 電気又はガスの供給に関する契約でないこと

7号文書から除外されるもの

上記5要件を満たせないものに加え、5要件を満たすものでも「契約期間が3ヶ月以内で、かつ更新の定めがないもの」については、7号文書に該当せず、収入印紙の貼付は必要ありません。 取引先から送られた契約書に収入印紙が貼ってない!と思ったら、まず契約内容を見て、貼り忘れなのか適切な対応なのかを見極めましょう。

◎ここがポイント!

「基本契約書」という文書名=7号文書(4千円の収入印紙)ではないということ。 前述のとおり、例えば「基本契約書」という文書名でなくても「継続的取引の基本となる契約書」となるような文書であれば、4千円の収入印紙が必要になります。 逆に「基本契約書」と記載されていても、契約期間により7号文書に該当しない場合や、記載内容によって2号文書に該当する場合があります。 「基本契約書」なのに4千円以外の収入印紙が貼ってある場合がありますよね。 本件については後述の「課税区分の混在について」をご参照ください。

課税区分の混在について

では、200円の収入印紙が貼ってある基本契約書はどうして200円なの?ということですが、 文書には2つの文書区分に該当する場合があります。 私たちが扱っている文書の場合、今回の7号文書(継続的取引の基本となる契約書)と2号文書(請負に関する契約書)とのふたつで混在する場合が多いのですが、これは「契約金額の記載」があるかどうかで判断し、印紙金額を決定します。

  • 金額の記載がある場合→2号文書(請負に関する契約書)として扱う
  • 金額の記載がない場合→7号文書(継続的取引の基本となる契約書)として扱う

したがって200円の印紙が貼ってある場合は、契約金額の記載があり、2号文書に該当していたと考えられます。 では、契約金額の記載とはどう判断すればよいのでしょうか。

契約金額の記載についての判断基準

契約金額がないものの例

1 (料金) 第10条 保守料金は、作成コピー1枚につき10円とします
2 (保守料金) 第7条 エレベーターの保守料金は、1ヶ月2万円とします。 (契約期間) 第9条 本契約は平成◯年◯月◯日より有効とする。
3 (保守料金) 第7条 エレベーターの保守料金は、1ヶ月2万円とします。 ※契約期間を定めていない。

(1)は単価を定めただけであり、(2),(3)は月額単価の記載のみで契約期間の記載がありません。 いずれも記載金額の計算ができないため「契約金額の記載がない」ものとし、7号文書になります。

契約金額の記載があるものの例

1 (保守料金) 第7条 エレベーターの保守料金は、月額2万円とします。 (契約期間) 第9条 本契約は平成◯年◯月◯により1年間とする。
2 (保守料金) 第7条 エレベーターの保守料金は、月額2万円とします。 (契約期間) 第9条 本契約は平成◯年◯月◯日より1年間とする。 ただし、契約期間満了の際。甲乙双方より別途申し出のない場合には、 更に1年間延長するものとし、以後の満期の際にも同様とする。
3 (保守料金) 第7条 エレベーターの保守料金は、「平成◯年◯月◯日から平成△年△月△日までは月額2万円とし、平成△年△月△日の翌月から平成×年×月×日まで、月額3万円とする。 (契約期間) 第9条 本契約は平成◯年◯月◯日から平成×年×月×日までとする。

(1),(2)は「月額単価×12か月(1年間)」により記載金額の計算ができます。*(2)は契約更新後の金額は除外します。 (3)も「月額単価×月数」+「月額単価×月数」により記載金額の計算ができるため、 「契約金額の記載がある」ものとし、2号文書になります。

契約期間が変動するもの場合

1 (保守料金) 第7条 保守料金は、月額2万円とします。 (契約期間) 第8条 契約期間は、表記商品の納入日より1年間とする。 ただし、出張修理が20回を超えるときは、その時をもって終了する。

上記については「例外的に契約期間が短縮される場合がある」ことが記載されているだけにすぎず、確定している契約期間があるということになり、 「月額単価×12か月(1年間)」と記載金額の計算ができるため、「契約金額の記載がある」ものとし、2号文書になります。

収入印紙を貼り忘れたらどうなる? 不課税・非課税文書に貼った場合は?

最初にも書きましたが、収入印紙は印紙税という「税金」を国に納付するために必要な証票です。 貼り忘れた場合には罰則があります。

収入印紙を貼り忘れた、金額が不足している場合

課税文書なのに収入印紙を貼っていない場合や収入印紙の金額が不足している場合は、 「過怠税」が発生し、不足金額の3倍(自己申告の場合は1.1倍)を支払わなければならなくなります。 過怠税とは印紙税法特有の税金で「印紙税の納付を怠った場合に課せられる税金」のことです。 収入印紙が貼ってあったとしても消印がない場合には「不消印印紙相当額」として支払う必要があるのでご注意ください。

不課税・非課税文書に貼ってしまった、金額が過剰な場合

対照的に、課税文書ではないものに収入印紙を貼っていたり、定められている金額以上の収入印紙を貼っている場合は、「過払い」になります。当たり前ですが、特に罰則はありません。 こちらは「過誤納」扱いとなり税務署で然るべき手続きを踏めば返金してもらうことができます。 しかし、書類の記入や送付(または持参)など手間がかかりますので、基本を押さえて適切な額の印紙を貼ることが一番ですね(^^) また、書類の損傷、書損などにより、使用する見込みが無くなった場合にも印紙税の還付は受けられます。 還付手続きを行う場合は「印紙税過誤納確認申請書」を国税庁のHPからダウンロードするか、税務署で書類をもらうことも可能です。

還付手続きに関してはこちら

おさらい

  • 契約書等に貼っている収入印紙は「印紙税」の納付のために貼っている。
  • 文書名では文書区分を判断できないため、記載内容を確認する必要がある。
  • 印紙の貼り忘れや金額の不足、印紙への消印がない場合は過怠税を納付しなければならない。
  • 印紙税の過払いや印紙の使用見込みがなくなった場合、印紙税の還付が可能。

今回はここまで♪ 次回は続編ということで「注文請書」と「個別契約書」の収入印紙について書きたいと思います。

See you again!(^^)ノシ

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