スタートアップとメトリクスの上手な付き合い方(「データ分析を駆使したリーンスタートアップ」参加レポ)その3
こんにちは。 「花やしき」で乗ったローラー・コースターが思った以上に怖くて驚いた @take3000 です。
前回、前々回に続き、「リーン・アナリティクス著者Alistair Croll氏による"データ分析を駆使したリーンスタートアップ"」に参加したメモの整形エントリーです。前回は「メトリックっていろいろあるけど、必要なのはその時々で変わるし、更に言うとその時々で本当に大事なメトリックって1つだけだよね」っていうところまで紹介しました。今日は1つのメトリックの続きです。メモを整形するのもしんどくなるような内容ですので、のんびり読んでいただければと思います。
必要なメトリックは何か?
ここからは重要な1つのメトリックの話をします。 Airbnb は宿泊先を探す人と貸したい人をつなげるオンラインサービスです(メモは「オーナーが不動産の賃貸を探すビジネスです」となっている)。Airbnb はプロの写真家に不動産の写真をとってもらったら、もっと契約がとれるのではないかと考え、20人のプロのカメラマンにとってもらうことにしました。たけど、フェイクの指標を入れることにしました。そのために、実際に写真をとってもらうサービスを作りました。そして Airbnbで働いているカメラマンのふりして写真をとってもらいました。すると、プロのカメラマンが撮ったら契約が増えたのです。 これは非常に良いメトリックでした。つまりレンタルを増やしたい、いい写真を持っている家を貸してみる、という最低限のもので検証しました。スタートアップはよくこういうことを忘れてしまいます。たくさんのデータを収集して使い方がわかっていないのです。もし自分の行動が変わらないメトリックだったら、それは良くないメトリックです。もし投資家からデータを求められたら丁寧に聞き返してください。 「なんで、そのデータが必要なのですか?」 もし50だったら、100だったら行動が変わるのですか? 大きい企業なら会計部門に報告するから必要ですが、スタートアップはやることがすべて実験です。
顧客を獲得する時のメトリックと、顧客のロイヤリティを高める時のメトリック
自分の行動を変えるメトリックの例を紹介しましょう。今、顧客獲得モードかロイヤリティを向上させるモードか。 これから結婚をしてウェディング・リングをECサイトで買うというケース。2回目を買うことはほとんどないですよね。 オンラインで食材を買う場合、この会社の場合はロイヤリティにフォーカスしているわけです。 どっちビジネスでもいいのですが、自分の会社がどっちにあるのかがわかってないのはダメです。 例えば、食料品以外に保険を売ろうとしたら顧客は怒ります。90日以内に2回目の購入のお客さんが15%以下だったら、獲得フォーカスのビジネスです。リピート客にフォーカスするビジネスではありません。結婚指輪の場合は一回しか来ないので、いろいろ合わせて売りたいのです。多分、返品もないでしょう(笑)。ロイヤリティの場合は返品を受け付けます。食べ物が腐っていたら、フルーツバスケットを送るなど特別なことをするべきです。スターバックスはコーヒーが冷めていたら交換をする。スターバックスが大事なのは、1杯のコーヒーを売ることではなく、毎日買ってもらうことですから。 Amazonの場合、ロイヤリティを確保するための多くの要素があります。立ち位置がわかれば、そこに固定されます。ビジネスモデルを固定することになります。
メトリックの改善
リーン・アナリティクスではメトリック改善プロセスがあり、One Metric Matters を用います。例えば、エンゲージメント。どれだけきてくれるか。そして一つのゴールを設定します。ユーザーのうち20%は毎日もどってきてほしいとかです。これは業界の基準とかでもかまいませんが、本来なら自分たちのビジネスモデルから数字をだすべきです。 たとえばレモネードを売ったとします。これはシンプルです。つくるコストがあって、どこまで請求できて、何人が通りすぎて、そのうち何人が買ってくれるか。場所を変える、安い材料にする、人を引っ張ってきて買わせるようにする。自分のビジネスモデルであれば仮説があるはずです。5人のうち1人が買ってくれるのなら、ビジネスを改善して、ゴールを達成しないと破綻してしまいます。自分のビジネスモデルが破綻していないか早くしることは、リーン・アナリティクスの重要なポイントです。
Airbnb の場合、どうやって改善するのでしょうか。 データを使っていろんな物件を見て、その中でも非常によく貸し出されているものを見て、そこで良いカメラが使われているということを知るかもしれません。 誰かが良いアイデアを思いついて試そうと思ったのか、それともデータから判断したのか。一つの仮説をたてて実験をすることが大事です。 勇気があれば一つの指標を変えればいい。スタートアップなら簡単です。テスト結果を測定し、目指したゴールが達成できたのかを確認します。 いくつかの結果が考えられるでしょう。
- できた。これは素晴らしい。新しいメトリックを選ぶ。
- 失敗。もうあきらめよう。もしくはピボットしよう。
- 新しいゴールを設定する。初期設定ゴールが高すぎたとか。
ゴール指標はそれぞれ異なる
例えばハイスコアハウスは、アプリケーションを作っていて、親が家事や子供の管理のために使うものです。皿洗いとか、ゴミ捨てとか、お手伝いに対するご褒美を管理するアプリで、ゲームのメカニクスをつかって子供に家事をやらせるものです。家族のエンゲージメントを獲得するためには、このアプリを1日1回使ってもらえば良いと仮説をたてました。そしてメール送ったりデザインかえたりいろんなことを試しました。けれど、何も上手くいかなくなって、創業者がくたびれてしまいました。諦めかけたころ、ユーザーに電話をかけてみました。ユーザーは100人くらいで Stickinessの初期段階。週2回しか使ってないけどアプリは気に入っていました。ユーザーは週単位で考えていたので、そもそもゴール設定が間違っていたことがわかりました。このサイクルは当たり前に見えるかもしれません。多くの企業がこのサイクルを使っています。
Circle of Friends は Facebook の友達に Google Group のような小規模なグループで会話をしてもらうサービスでした。しかし、サークルをつくってから実際に使っているのは20%くらいで Facebook グループと同じくらいでした。創業者としては不満がある結果です。しかしデータは沢山ありました。ユーザーが1000万人いましたし。アクティブなサークルを分析してみたら、お母さんはメッセージが長く、写真をはったり、スレッドをつかったり、招待したりアプリを受け入れたりしていることがわかりました。そこで勇敢な判断をしました。Circle of Friendsという名前を Circle of Momに変えたのです。90%のユーザーは離れたけど、残ったユーザーから450万人くらいまで増えて、シュガーという会社にバイアウトできました。
qidiq(Question Done Quick)は質問に回答するサービスです。最初は人を集めて質問票を作りアプリをインストールしてもらい質問に答えもらっていました。簡単に聞こえるけど、CVが10-25%だった。メールよりはましだけどサーベイランキングではよくありませんでした。ではそれをどう変えたのでしょうか。必要じゃないステップが多かったので合理化しました。グループに招待して、メールを受け取って、欲しい物をクリックするだけです。これでCVが70〜90%になりました。例えば、パスワードはどうしたか? 後でWebサイトに行ってもらうか、もしくはパスワードを忘れたらのリンクを押してもらうだけにしました。この改善の効果はとても大きかったのです。そして非常にタイトな Viral ループを作った。そこに不要なものは全部排除しました。この判断は賭けだったのですが、メールが送れるならアカウントをもっているとみなせるのでは?という仮説のもとに検証をして良い結果が得られたのです。
明日へ続きます。