スタートアップとメトリクスの上手な付き合い方(「データ分析を駆使したリーンスタートアップ」参加レポ)その5

スタートアップとメトリクスの上手な付き合い方(「データ分析を駆使したリーンスタートアップ」参加レポ)その5

Clock Icon2014.03.28

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こんにちは。 連日ソーシャルメディア上で繰り返される寿司テロや肉テロに悩まされる @take3000 です。

「リーン・アナリティクス著者Alistair Croll氏による"データ分析を駆使したリーンスタートアップ"」に参加したメモの整形エントリー5回目です。最終回です。

コホートをしっかり理解すること

重要なコンセプトについて話をします。リーン・アナリティクスは分析が重要になります。セグメント、コホート、ABテスト、Multi Viralities  の4つの言葉がでてきますが、あまり理解されていません。

Webサイトの場合、訪問時期が違うならユーザーは違うコホートとなります。セグメントとは、このコホートを横断的に見ることで、コホート間の違いを知ることです。つまりどのようにユーザーをセグメント化するか、年齢、性別、デバイスなどがありますね。4月にきたユーザーはどうか、とテストすることもできます。ABテスト、多変量解析、天気と色の組み合わせ、回帰分析、この4つの用語を覚えればアナリティクスはできます。

コホートが重要です。二つの会社を考えてみましょう。1つ目の会社は、1月からビジネスをやっているとして、月に1000ずつユーザーが増えています。2つ目の会社は、最初立ち上げたときは初月5ドル、改善をして6ドル、7ドル、8ドル、9ドルと増えています。しかし、実はこの二つは同じ会社です。コホートを理解していないと、この会社は上手くいっていないということになってしまいます。多くの人たちはビジネスをこのように見ていません

(Q)Eightについて、一人で使っても便利な製品です。大勢で使うともっと便利な製品です。ネットワーク効果があります。こういった製品を5つのステップが当てはまらないとあったが、どうすればいいですか?

(A)5つのステップを違った順番で成長しようというわけですが、Empathyは重要です。どうやって1万人のユーザーを獲得するか、1つの戦略としては使っている会社をみつけてパートナーとするという方法もあります。これには根拠が必要です。LinkedInとかはパートナーシップを結びたくなるかもですね。もしくは人工的に成長していく。 何か不足しているという認識をつくりだす。売れるものがわかる、というアプローチを考えてみるといいと思います。 Empathyについても質問がありました。最近は多くのツールがあって、人を探すことができます。インフラのコストもほぼゼロでいけます。メッセージをだすコストもほぼゼロです。オフィスから出てインタビューをすることは簡単です。Twitter でモントリオールの法律事務所を探すとかもできます。LinkedInも役立ちます。日本は形式ばった文化があると聞いているけどLinkedInは便利です。Facebookも使えます。グラフサーチでいろんなものが検索できます。AdWords のキャンペーンをやった人もいます。

(Q)すでにある程度、5万、10万人とか会員があるサービスであたらしいネットワークをつけていくのは難しいと思うのですが、新しいことをやるのと改善要望に答えるのはどちらがよいでしょうか?

(A)多くの会員をつかんでいるなら喜ばしいことです。Circle of Mom も同じです。質問することで洞察を得ることができ、正しい改善ができました。4つの方法があります。何をやっているか知ること、フィードバックを得る(ふつうの人からはむずかしい)こと、行動を分析すること、新しいフィーチャを導入する場合はそれっぽいものを見せて何を期待しているかレポートバックを得ることです。 いままでの話はすべてメトリクスの話でした。ゴールを全て解説するわけではありませんが、ポール・グレアムに言わせるとスタートアップ企業は成長させるためにあります。1週間あたり5〜7%成長しないとスタートアップとしてはいまいちです。これはかなりの高成長です。いつまでも続くわけではないけどきちっと成長していればこれくらいの数値になるはずです。

ほとんどの経済学者は価格弾力性をみています。下げれば売れるし、上げれば売上が下がります。ペットボトルの水が1円なら利益がないし、1000円ならほとんど売れません。スタートアップはユーザー数を増やす方にいたほうが良いでしょう。最適な価格より10%ほど安い価格が目安です。顧客獲得コストは顧客生涯価値の3分の1以上かけてはダメです。100ドル払ってくれる客なら33ドル以上かけてはダメです。モバイル・アプリケーションの場合、初日は100%のユーザーがいるけど、30日後で54%、60日後で43%、90日後で35%程度になります。タブレットの場合、週13回くらいは使うでしょう。モバイルアプリならゴールを設定できます。こういう数字を知っておく必要があります。知らないと、自分たちが好調なのか不調なのかわかりません。多くの人はそれを理解していません。 もう一つは解約率。あるSaaS 企業と話をしました。25%のお客さんが毎年離れていました。創立者は不満に思っていました。しかし1ヶ月でみると2%で、これはSaaS モデルとしてはかなり良い数字です。Salesforce はもっと良いけど、博士号とかもっているような人たちでやっているです。何に働きかけるかは通常がわかっていないとムリです。One Metric Matters を思い出してください。自分たちのゴールはどこか、ビジネスモデルが何か? 「測定できなければ改善できない」という有名な言葉があります。

でもそんなに簡単ではありません。ビジネスで重要なことは知られていないこと、不確実なことです。わからなくてもわからないということを理解している必要があります。 アルキメデスの王冠の話をしましょう。アルキメデスに密度を測ってもらったら、複雑な形だけど水の中に入れて水位の変化がわかりました。この話のポイントは、アルキメデスはお風呂でこのアイデアを発想したけど、初めてお風呂に入ったわけではありません。質問をされたことによって考える機会を得ました。問題はどういった質問をするべきか? これをできることで偉大な創業者になれるかもしれません。実験をすることは簡単です。かつて、リーダーとは説得力のある人でデータがなくても説得できたような人でした。しかし今、スタートアップに求められるリーダーはどんな質問をしたらいいかをわかっている人です。シリコンバレーの人達だって失敗が好きなわけではありません。シリコンバレーの人達は、失敗の方がそれ以外の結果よりマシだとわかっています。必要とされていないものを作ってしまうことが一番ダメなのです。

「リーン・アナリティクス著者Alistair Croll氏による"データ分析を駆使したリーンスタートアップ"」のメモは以上でおしまいです。

 

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