データマネジメントを体系的に学んでみた

『DXを成功に導くデータマネジメント』を拝読し、データマネジメントについて再認識するきっかけとなりました。とても良い書籍ですので、私なりの視点からご紹介したいと思います。
2024.02.05

はじめに

データアナリティクス事業本部の藤川です。
普段は、データ分析基盤の構築作業や製品開発、データ活用サービスの製品開発などに携わっていますが、これまで、体系立ててデータマネジメントに関して学ぶことは少なかったです。 今回、データマネジメントに関する書籍を読んで、お客様が抱えられる問題・課題を改めて再認識することができましたのでご紹介したいと思います。

おすすめのポイント

今回、拝読しましたのは、『DXを成功に導くデータマネジメント』(以下、本書)です。また、これを読むにあたり、「データマネジメント知識体系ガイド 第二版(DMBOK2)」や「データマネジメントが30分でわかる本」を参考にしました。

主に、経営層から実際にデータマネジメントを運営する部門向けの書籍であり、技術者向けではありません。しかしながら、お客様が抱えられる問題・課題を知る上では、技術者であっても理解しておくべきでしょう。

また、本書はDMBOK2ガイドに沿った内容ではありません。だからオススメという訳でも、そうでない訳でもありません。

データマネジメントに限らず、データマネジメントを推進する組織を作る上で重要なエッセンスが体系的に述べられているところが大変参考になりました。特に、データスチュアードはどのように育成すべきかという課題は重要であり、DXを実現できている組織であっても、データスチュアードの負担が大きいか、不足するポジションなのではないでしょうか。

『単なるデジタル化はできているが、DXに至っていない』

本書では、なぜ、DXに至っていないのか問題点を探り、DX実現に向けたアプローチが提示されています。

アジャイル開発手法が参考に?

本書を読むうちに、データマネジメントも開発と同じ手法が適用できることに気づきました。 開発の現場では、アジャイル開発の手法を取り込むケース増えていると思います。アジャイル開発は小規模なチームで作業し、複雑な問題・要件が頻繁に変更される環境に適性が発揮されるでしょう。

データマネジメントでも、初期は少人数で組織を立ち上げ、適用部門を限定します。適用部門が増えると、業務が異なるため、新しいルールやマスターデータ管理(Master Data Management。以下、MDM)が必要になってきます。

データガバナンスを構築する上で必要な成果物(ゴール・ミッション、プリンシプル(原則)、ポリシーなど)も、最初に作ったら終わりではありません。常に、アップデートが生じます。何のためにデータをマネジメントするのか、場当たり的なものではなく、データマネジメントの目的・目標、御利益(得たい効果)を明確にし、アップデートしてこそ、自分たちに最適なデータマネジメントを運営できる秘訣なのでしょう。

やってみたいこと

『マスタデータを整備したからといって、企業の利益に貢献することはない。しかしMDMを実現できなければビジネス施策を達成することは叶わない』

真のDXが機能し、お客様のビジネスがスピードアップし続けるためには、MDMの実現がポイントであると私も感じています。マスタデータは、部門や業務を超えたデータの共通言語になり得るものだと考えています。

単一部門のお客様向けであったり、理由は様々ですが、データ分析基盤構築プロジェクトでもMDMを後回しにするケースはあるかと思います。初期導入時であれば特に支障はないでしょう。しかしながら、全社規模にスケールする場合は、必ず、MDMが必要になります。

本書は、データ分析基盤を構築する1メンバーとして、すべてにおいて参考になりますが、MDMの重要性について、再認識できました。最適なMDMのソリューションについて、詳しく調べてみたいと思います。

データマネジメントもアジャイル開発する時代です。単一部門の少人数によるデータマネジメントからスモールスタートして、お客様のビジネスのスピードアップに貢献できればと思います。

さいごに

今回は、社内の読書会がきっかけとなり、本書を拝読させていただきました。案件を通じて、実践からデータマネジメントを学ぶだけでなく、時には、今回のように立ち止まって、体系的に学ぶことは非常に良い機会でした。他にも、データマネジメントに関する良書はたくさんあります。今後も、良い書籍がありましたらご紹介したいと思います。

参考書籍