[小ネタ] VMware Cloud on AWSのSDDCにホストを追加してみた

こんにちは、AWS事業本部の荒平(@0Air)です。

VMware Cloud on AWSのSDDCに新たなホストを追加する機会がありましたので記録に残してみました。

例えば、オンプレミスでvSANホストを新規追加するなら、機材の調達、ライセンス発注、バージョン合わせなどなど・・・が非常に大変なので、そのあたりをVMware Cloud on AWSでは考えなくていい点が大きなメリットだと思います。

ホスト追加の前に考慮すべきこと

VMware Cloud on AWSでは、ホスト追加が非常に簡単にできますが、追加前に考慮すべきポイントがいくつかあります。

(1) 費用

まずはホスト追加に掛かる費用を計算します。
どのインスタンスタイプを、何の購入方法で、何台購入するかで大体の費用が算出できます。

費用の詳細は、購入元に相談いただくのが一番ですが、ざっくりの概算はVMware Cloud on AWS Pricing Calculatorを使って算出することができます。

コスト見積もりの例:

(2) スペック

ホスト追加後にどのくらいのスペックが必要なのかについても検討すべきです。
どのリソースが逼迫していてホスト追加が必要かにも依りますが、最新のインスタンスタイプに変更することで(ホスト数を増加させることなく)解消するケースがあります。

例えば、i3.metalを5ホストで運用中の環境では、最大で 360vCPU, 2560 GB RAM, 76000 GBのストレージ(※)を利用できます。
i4i.metalでは、同じ5ホストを使うと最大で 640vCPU, 5120 GB RAM, 150000 GBのストレージ(※)を利用できます。
(※) 各値はインスタンスのスペックを単純倍した値であり、仮想化基盤の性質上フルで表記値まで使える訳ではありません。詳細はVMware Cloud Sizerを利用してサイジングを行ってください。

クラスタの変換を行う場合は、以下の記事を参照してください。

また、ストレージ逼迫が起因でホスト追加を検討している場合は、Amazon FSx for NetApp ONTAPなど外部ストレージの利用によって回避できる場合もあります。

(3) 購入方法

これについても、詳しくは購入元に相談いただくのが一番ですが、ホストの追加が一時的なものなのかを検討した上で、オンデマンド、1年契約、3年契約を選択することをお勧めします。

例えば、今回のホスト追加が一時的なもので、数ヶ月後にスケールインが見込まれる場合は、オンデマンド契約を選択する余地もあるでしょう。
また、更新の事務処理が煩雑になることを防ぐため、現状利用しているサブスクリプション契約の更新時期まで、(少しの期間であれば)オンデマンド利用するという選択もあるかもしれません。

特に理由がない場合は、3年サブスクリプション契約・全額前払いが最もお得に使えます。

(4) 再度シングル構成に戻せない ※シングルホストからマルチホストにする場合

こちらは既存でシングル構成(単一ホストのSDDC)を利用している場合のTipsですが、一度ホストを追加してマルチホストのSDDCに変換すると、そのSDDCはシングル構成に戻せなくなります。

単一ホストの SDDC のスケールアップを行うと、元に戻すことができません。SDDC を 2 台以上のホストを含む構成にスケール アップした後、SDDC からホストを削除することはできません。

ホスト追加手順

以下のVMware Docs手順を参考に、ホスト追加を実施してみました。
なお、今回の検証環境のSDDCバージョンは 1.22 です。

(1) 現状確認

SDDCコンソールの[サマリ]タブより、SDDCクラスタの情報を確認します。

(2) ホストの追加

インベントリ画面より、ホストを追加したいSDDCを選択し、[アクション] - [ホストの追加]をクリックします。

[追加するホストの数]より、追加するホスト数を選択して[ホストの追加]ボタンをクリックします。

希望する合計ホスト数ではなく、追加ホスト分の数を選択することに注意してください。
なお、今回はシングル構成に新規ホストを追加するため、SLAが設定できる旨と、前述のシングル構成に戻せない旨のメッセージが表示されています。

すぐにホストの追加が始まります。検証環境では、1→2ホストに変更するのに約80分掛かりました。
(この間、ユーザー側の操作は必要ありません)

vCenterのログを確認すると、クラスタへの追加自体は20分程で完了していました。

その後、NSX-Managerの再起動・再設定や仮想マシンの再設定、リソースプール構成の更新などがタスクとして走っているようです。

(3) 追加後の確認

ホストの追加が完了すると、VMware Cloud on AWSコンソールに以下のような通知が届きます。

SDDCコンソールの[サマリ]タブより、ホストが追加できているか確認できます。

vSphere Clientの画面では、クラスタに追加されているホストの台数が1台から2台に増加し、割り当てリソースが倍になっていました。

検証では、追加したホストの[HA状態]には「接続済み (セカンダリ)」と表示され、元から存在していたホストはプライマリになっていました。

おわりに

VMware Cloud on AWSのホスト追加作業は2~3クリックで完了します。
最新の i4i.metal タイプのインスタンスでも、特にサービス提供者の承認やレビューを受ける必要なくクラスタの増強ができるようになりました。非常に便利です。

リソース不足に陥ったら、手軽かつ迅速にホスト追加という選択肢があることもVMware Cloud on AWSの大きな利点のひとつですね。

このエントリが誰かの助けになれば幸いです。

それでは、AWS事業本部 コンサルティング部の荒平(@0Air)がお送りしました!