AWS Media Servicesの2021年を振り返ってみる
はじめに
清水です。2021年もあとわずかとなりました。昨年はこのタイミングでAWS Media Servicesにまつわる1年間のWhat's New at AWSを振り返るブログエントリをまとめていました。(AWS Media Servicesの2020年を振り返ってみる | DevelopersIO)もともとAWS Media Blogの年間振り返りエントリを参考にしていたものです。(AWS Media Servicesの2019年を振り返ってみる | DevelopersIO、AWS Media Servicesの2018年を振り返ってみる | DevelopersIO)今年もAWS Media Services関連ではたくさんのアップデートがありましたので、例年にならい振り返っておこうと思います。形式としては昨年2020年と同じく、以下のAWS What's New公式ベージから各サービスの2021年のアップデート情報をそのリンクとともにひたすらまとめていきたいと思います。
対象となるサービスはAWS Media Services公式ページに記載されている9つのサービスとしました。また各サービスでアップデートの個数をカウントしていますが、カウント方法(ポストで1つとするか、1つのポストで複数カウントとするか、などなど)で多少は変動するかと思います。あくまで目安としてお楽しみください。
AWS Elemental MediaConnect
- SRTプロトコルが利用可能になりました
- AWS CDI (AWS Cloud Digital Interface)とJPEG XSをサポートしました
- 入力ソースの選択と優先順位付けがサポートされるようになりました
- Fujitsu Quality of Service (QoS) プロトコルがサポートされました
MediaConnectのアップデートは4件でした。SRTプロトコルのサポートがビッグニュースかなと思いますが、CDIやJPEG XS、Fujitsu QoSなどさまざまなプロトコルにも対応し、着実に進化している印象です。
AWS Elemental MediaConvert
- HLSを入力形式として利用可能になりました
- Kantar SNAP watermarkingをサポートしました
- MXFメザニン出力形式をサポートしました
- HEVC出力でのHDR10+をサポートしました
- IMSC 1.1およびTTML字幕テキストのリッチテキストレンダリングをサポートしました
MediaConvertのアップデートは5件でした。個人的には入力形式としてHLSをサポートするアップデートが印象深いです。MediaLiveからの出力を変換する、などのワークフローが変わるのかなと思います。その他、メザニンファイル形式の追加サポートやHDR10+のサポートなど、MediaConvertも着実に機能追加をしているかと思います。
AWS Elemental MediaLive
続いてMediaLiveです。LinkデバイスについてもMediaLiveのサービスの一部となっていますが、昨年と同じく、AWS Elemental Linkの項目を別に設けてそちらにまとめます。
- VPC経由での出力がサポートされました
- 自動入力フェイルオーバー機能が拡張されました
- MediaLiveでWorkflowウィザードが利用可能になりました
- HTML5モーショングラフィックスオーバーレイがサポートされました
- モバイルデバイス用の画像ベースの字幕からテキストベースのキャプションへの変換機能がサポートされました
- 視聴者測定のためのNielsen Watermarkingがサポートされました
MediaLiveのアップデートは6件でした。MediaLive(ならびにAWSでライブストリーミングを行う際の他サービスも含めた)リソース作成の方法として、MediaLiveのワークフローウィザードのリリースは大きかったと思います。またVPC関連機能の強化として出力についてもVPCに対応しました。モーショングラフィックスオーバーレイについてもおもしろいアップデートかと思います。
AWS Elemental Link
- Elemental Linkがパリリージョンで利用可能になりました
- Elemental Linkのリージョントランスファーが利用可能になりました
- UHD 4k HDRに対応したElemental Link UHDがリリースされました
AWS Elemental Linkでは3件のアップデートがありました。使用可能なリージョンの追加も重要ですが、それに負けず劣らずリージョントランスファー機能のアップデートも大変うれしいものでした。4K HDRに対応したLink UHDもビッグなアップデートでしたね。
AWS Elemental MediaPackage
- timed ID3メタデータのパススルーに対応しました
- オハイオリージョンで利用可能になりました
- SPEKE v2.0でのマルチキー暗号化のサポートが利用可能になりました
AWS Elemental MediaPackageのアップデートは3件でした。堅実な機能追加をしている印象です。
AWS Elemental MediaStore
MediaStoreについては2021年のアップデートはありませんでした。(ユーザガイドのドキュメント履歴も確認してみましたが、こちらにも変更点はありませんでした。)MediaStoreがシンプルな機能を提供しているぶん、サービスとして完成されているのかなとも思いまます。
AWS Elemental MediaTailor
- 単一設定で複数のメディアオリジンとパスを利用可能になる設定エイリアスをサポートしました
- 仮想ライブストリーミングチャンネルを作成できるChannel Assembly機能がリリースされました
- Enhanced Debug Logsが利用可能になりました
- WebVTT字幕トラックがDASHでサポートされるようになりました
- VASTノンリニアエレメントを使ったノンリニア広告がサポートされJPEG画像での静的な広告がプレイヤーに表示できるようになりました
- Ad Maker パススルーがHLSストリームで利用可能になりました
- Channel Assembly機能で時間ベースのスケジュール機能がサポートされました
- パーソナライズされた広告挿入のためのプリフェッチ広告をサポートしました
MediaTailorのアップデートは8件でした。これまでのPersonalized ad insertion機能とは少し別軸のChannel Assembly機能がリリースされています。広告挿入機能についても堅実にアップデートされていますね。
Amazon Interactive Video Service
- Amazon S3へのライブストリーミングの録画機能がサポートされました
- 2つの新たなCloudwatchメトリクスが追加されました
- インドの2都市にエッジロケーションが開設されました
- iOS/Androidデバイスからのライブブロードキャスト機能がSDKに追加されました
- ストリーミングの状態モニタリング用の高解像度のメトリクスが追加されました
Amazon Interactive Video Service (IVS)では5つのアップデートがありました。IVSの機能の一部として録画ができるようになったのはうれしい機能追加ですよね。その他、監視機能の追加など基本的な部分についてもしっかりとアップデートがなされています。なお、Introducing AWS for Media and Entertainmentについては新機能アップデート情報ではないと判断し、一覧から除外しています。
Amazon Kinesis Video Streams
- メディア再生APIサービスのクォータが更新されました
IoT向けのライブストリーミングデータ処理やWebRTC用途で利用できるAmazon Kinesis Video Streamsでは1件のアップデートがありました。
Amazon Nimble Studio
- Amazon Nimble Studioがリリースされました
- コンソールからテスト用のlaunch profileが利用可能になりました
- AWS Thinkbox DeadlineによるUsage Based Licensing (UBL)とLinuxがサポートされるようになりました
最後に、2021年4月にリリースされたAWSクラウド上でクリエイティブスタジオを構築できる新サービスAmazon Nimble Studioのアップデート情報についてもまとめておきましょう。Nimble StudioについてはWhat's New at AWSにカテゴリがなかったため、「Nimble Studio」で検索したものから実際のアップデート情報を抜粋しています。リリース含め3件のアップデートがありました。
まとめ
2021年のAWS Media Servicesを振り返るということで、What’s New at AWS – Cloud Innovation & Newsにポストされた内容をベースに各サービスごとにアップデート情報をまとめてみました。独自集計によると9つのサービスで合計38個のアップデートとなりました。ただし、What's Newにポストされた内容をベースにしていますので、これ以外にもドキュメント上でひっそりと(?)アップデートされた機能などもあるかもしれません。2021年全体を通して、既存のワークフローやユースケースをガラッと変えるビッグな新機能もありつつ、かゆいところに手が届くような細かなアップデートもあり、バランス良く機能追加されている印象を持ちました。個人的に大好きなAWS Elemental MediaStoreでアップデートがなかったのが残念な点ではありますが、2022年にはアップデートがあるのか!?引き続き注目していきたいと思います。