AWS Media Servicesの2022年を振り返ってみる
はじめに
清水です。2022年もあとわずかとなりました。ここ数年、大晦日のこのタイミングでAWS Media Servicesにまつわる1年間のアップデートを振り返るブログエントリをまとめてきました。私の中で年末の恒例行事となりつつあるので、今年も例年にもれずまとめてみたいと思います!形式としては昨年2021年と同じく、What’s New at AWSのページからMedia Servicesにカテゴライズされる各サービスでフィルタしたものをそのリンクとともにまとめる形式です。
過去のエントリ(2021年〜2018年の振り返り)については以下をご参照ください。
- AWS Media Servicesの2021年を振り返ってみる | DevelopersIO
- AWS Media Servicesの2020年を振り返ってみる | DevelopersIO
- AWS Media Servicesの2019年を振り返ってみる | DevelopersIO
- AWS Media Servicesの2018年を振り返ってみる | DevelopersIO
AWS Elemental MediaConnect
- AWS PrivateLinkをサポートしました
- SRT caller modeをサポートしました
- トラブルシューティング簡素化のためのアラートが追加されました
- 再現性の高いカラーワークロードのサポートが追加されました
MediaConnectのアップデートは4件でした。昨年2021年にサポートしたSRT Listener modeに加えてSRT Caller modeも新たにサポートに加わり、また4:4:4色空間のサポートなどよりプロフェッショナルに使えるようにアップデートされている印象です。PrivateLinkのサポートも嬉しいですよね。
AWS Elemental MediaConvert
- AV1出力での4Kと10ビットカラーをサポートしました
- アフリカ(ケープタウン)リージョンで利用可能になりました
MediaConvertのアップデートは2件でした。AV1出力での4Kならびに10ビットカラーのサポートは着実な進化といえますね。また利用可能なリージョンも着実に増えていっています!
AWS Elemental MediaLive
- Dolby AtmosとDolby Visionのエンコーディングをサポートしました
MediaLiveのアップデートは1件でした。なおWhat’s New at AWSのページでMediaLiveでFilterするともう2件アップデートが表示されますが、Amazon Chime SDK関連のアップデートであるため今回の一覧からは省いています。またAWS Elemental LinkについてのアップデートはWhat’s New at AWSに記載されていませんでしたが、MediaLive User GuideのDocument historyを確認するといくつかのアップデートが確認できます。
AWS Elemental MediaPackage
MediaPackageについてはWhat’s New at AWS記載のアップデートはありませんでした。しかしUser GuideのDocument historyを確認するとI-Frame only streamやSPEKE Version 2.0に関する機能追加などのアップデートを確認することができます。
AWS Elemental MediaStore
MediaStoreについてもWhat’s New at AWS記載のアップデートはありませんでした。User GuideのDocument historyを確認すると1件更新がありますが、クォータの値や説明についての修正にとどまっています。
2020年12月にAmazon S3で強い書き込み後の読み込み整合性がサポートされ、MediaStoreの即時整合性という特徴、存在感が薄れてしまった印象があります。特に今年2022年はAWSソリューション実装「Live Streaming on AWS」でもこれまでライブオリジンとしてMediaStoreを用いてきたものがAmazon S3へと変更になりました。(AWSソリューション実装「Live Streaming on AWS」でAmazon S3をライブオリジンとして使用するようになりました! | DevelopersIO) とはいえ、MediaStoreの出番が完全になくなったわけではなく、Chunked object transferを利用した超低遅延配信を行うといった場合など、より高度なライブストリーミング環境を構築する場合に引き続き活躍してくれるサービスだと思います。
AWS Elemental MediaTailor
- Channel Assemblyでライブソースをサポートしました
- CloudWatchのVended Logs料金にMediaTailorが加わりました
MediaTailorのアップデートは2件でした。Channel Assembly機能自体は2021年3月のアップデートでしたが、2022年はさらにライブソースのサポートが加わったかたちですね。CloudWatch Vended Logのサポートも嬉しいアップデートかと思います!
Amazon Interactive Video Service
- サムネイル設定が追加されました
- インドネシアとフィリピンでIVSエッジロケーションが利用可能になりました
- コンソールとAPIが4つの追加リージョンで利用可能になりました
- Stream Chat機能が追加されました
- アルゼンチンとチリにIVSエッジロケーションが追加されました
- コロンビアでIVSエッジロケーションが利用可能になりました
- Web Broadcast SDKが利用可能になりました
- Basic ChannelでHDおよびフルHDの入力に対応しました
- WebおよびMobile用のIVS Stream Chat SDKが追加されました
- Stream Chatでチャットメッセージのロギングをサポートしました
Amazon IVS (Interactive Video Service)では10件のアップデートがありました。そのうち3件については2022年4月にIVSに新たに加わったStream Chatに関するアップデートです。その他IVSエッジロケーションも多く追加されました。Web Broadcast SDKについても大きなアップデートですね。なおMediaLive同様、What’s New at AWSのページでIVSでFilterすると、もう2件アップデートが表示されますが、Amazon Chime SDK関連のアップデートであるため今回の一覧からは省いています。
Amazon Kinesis Video Streams
- マネージドな画像抽出機能がサポートされました
- WebRTCでの取り込みと保存のサポートが発表されました(プレビュー)
Kinesis Video Streamsでは2件のアップデートがありました。うち1件はまだプレビュー扱いのものですが、期待できそうな機能かと思います。
Amazon Nimble Studio
- Amazon Nimble Studio now supports EC2 G3 and G5 instances for virtual workstations
- Virtual WorkstationでG3とG5のEC2インスタンスタイプをサポート
- 2022/07/29
- Amazon Nimble Studio announces availability of Windows Server 2022 base image
- Windows Server 2022用ベースイメージが利用可能になりました
- 2022/10/04
- Amazon Nimble Studio now supports EBS Snapshots with Auto Backup
- 自動バックアップでEBSスナップショットをサポートするようになりました
- 2022/12/21
- Nimble Studio now supports configurable persistent storage and new EBS volumes
- 永続ストレージと新しいEBSボリュームタイプが利用可能になりました
- 2022/12/21
2021年4月にリリースされたAmazon Nimble Studioでは4件のアップデートがありました。主にNimble Studio内で利用するEC2に関するアップデートですが、リリースから着実に機能追加がなされている感じですね。
まとめ
What’s New at AWS – Cloud Innovation & Newsにポストされた内容をベースに、2022年のAWS Media Servicesのアップデート情報をまとめてみました。独自集計によると9つのサービスで合計25個のアップデートとなりました。ただし本エントリ内でも簡単ですが触れていたとおり、What's Newにポストされた内容以外にもUser GuideのDocument historyで確認ができる機能追加などもあります。今年も非常に多くのアップデートがあった年だったかと思います。
またAWS Media Servicesとしては2017年11月のリリースからまる5年が経ちました。(動画メディアの処理・保存・収益化のためのサービス群「AWS Media Services」がリリースされました! #reinvent | DevelopersIO)よりプロフェッショナル向けなアップデート、たとえば10ビットカラーやDolby Atmos、Dolby Vision対応なども増え、嬉しい反面ちょっと個人的に簡単に検証できなくなっているのが複雑な心境でもありますが、来年もしっかりとアップデート情報をキャッチアップしていきたいなと思いました。