AWS Media Servicesの2023年を振り返ってみる

AWS Media Servicesの2023年を振り返ってみる

2023年にWhat's New at AWSにポストされたMedia Servicesカテゴリのアップデート情報をまとめてみました。独自集計によると昨年2022年の倍以上となる合計55個という、非常に多くのアップデートがありました。
Clock Icon2023.12.31

はじめに

清水です。2023年もあとわずかとなりました。ここ数年、大晦日のこのタイミングでAWS Media Servicesにまつわる1年間のアップデートを振り返るブログエントリをまとめてきました。私の中で年末の恒例行事となりつつあるので、今年も例年にもれずまとめてみたいと思います!形式としては昨年2022年と同じく、What’s New at AWSのページからMedia Servicesにカテゴライズされる各サービスでフィルタしたものをそのリンクとともにまとめる形式です。

過去のエントリ(2022年〜2018年の振り返り)については以下をご参照ください。

AWS Elemental MediaConnect

MediaConnectのアップデートは7件でした。EventBridgeやCloudWatchとの連携強化、また新たに6つのリージョンで利用可能になるなど着実にアップデートされていますね。またオンプレミス側で利用するかたちになるMediaConnect Gatewayの発表も大きなトピックだったかと思います。

AWS Elemental MediaConvert

MediaConvertのアップデートも7件でした。入力ソースやカラーフォマットなどサポートの拡充、2つの利用可能なリージョンの追加など着実なアップデートをしつつ、Media metricsやVideo overlaysなど活用の幅が広がるアップデートもありましたね。

AWS Elemental MediaLive

MediaLiveのアップデートは11件でした。MediaLiveも2つの利用可能なリージョンの追加やCloudWatch連携の強化など、着実な機能追加をしています。特に入力映像のサムネイル表示やタイムコード焼き付けなど、よりMediaLiveの利便性が高まるアップデートも多くありました。Elemental LinkについてもMediaLiveのアップデートとしてまとめていますが、なによりLink UHDがMediaConnectと連携可能になったのは大きなアップデートだと思います。

AWS Elemental MediaPackage

MediaPackageのアップデートは5件でした。初夏に突如として発表されたMediaPakcage v2が大きなトピックかと思います。LL-HLSサポートとしてWhat's New at AWSには投稿されていましたが、ポリシー利用によるセキュリティ面などMediaPackage v1より多くの点で機能強化がなされていると思います。新たに3つのリージョンでも利用可能になった点もうれしいですね。

AWS Elemental MediaStore

MediaStoreについては、「What’s New at AWSのページからMedia Servicesにカテゴライズされる各サービスでフィルタしたもの」という条件でのアップデート情報は0件でした。

しかしMediaStore関連のアップデートとして、2023/02/09にCloudFront OACのMediaStore Originのサポートがありました。

こちらはCloudFrontのアップデートとして扱われているようで、What’s New at AWSのページで「Networking & Content Delivery」のカテゴリでフィルタすると確認できます。(このことから、本エントリではMediaStoreのアップデートしては扱わずにCloudFrontのアップデートとしておきます。)

MediaStoreについては、2022年2021年とWhat's New at AWSへ投稿されたアップデートはなく、2020年が最後のアップデートでした。

最近ではMediaStoreのマネジメントコンソールを開くと、以下のようにS3もしくはMediaPackageの利用を促されるという状況です。(筆者は20203年7月にこの事象に気が付きました。2023年になってからこの案内の表示がはじまったのかなと思っています。)ライブストリーミングのオリジンとしてはS3もしくはMediaPackageの使用をまず検討するようにしましょう。

AWS Elemental MediaTailor

MediaTailorのアップデートは12件でした。うち6件は仮想リニアライブストリームを作成するChannel Assembly機能についてのアップデートです。また新たに合計10の利用可能なリージョンが増えるアップデートがなされました。

Amazon Interactive Video Service

Amazon IVSでは9件のアップデートがありました。Multiple hosts機能がリリースされReal-Time Streamingと称するようになり、また従来までのストリーミング方式はLow-Latency Streamingと称するようになった点が大きなアップデートです。もともとIVSはその名の通りインタラクティブな体験を重視していましたが、昨年2022年のStream Chatのリリースなどと合わせて、必要とされている機能を順に取り入れ成長しているという印象です。Low-Latency Streamingの値下げもAWSらしくてうれしいですよね。

Amazon Kinesis Video Streams

Kinesis Video Streamsでは1件のアップデートがありました。昨年2022年もMediaLiveとIVSでChime SDK連携のアップデートがありましたが、こういったAWSサービス間連携のアップデートもうれしですよね。

Amazon Nimble Studio

Amazon Nimble Studioについては2023年のWhat’s New at AWSでのアップデート情報はありませんでした。個人的には少し意外だったこともあり、What’s New at AWSに掲載されていなくてもDocumentベースのアップデートならあるのでは?と、以下ページから確認してみました。

従来まではAdministrator GuideとArtist Guideという2種類のドキュメントにまとめられていた認識ですが、これが新たにAdministrator GuideFile Transfer Guideとなっています。どちらもDocument Historyページを確認すると2023年に新設されたことが確認できます。そして従来までのNimble Studioの機能としてはClassic Guideにまとめられており、こちらは2024年6月をもって勇退となるようです。

AWS Thinkbox

最後に、2022年まではまとめていなかったAWS Thinkboxについてのアップデートについても確認しておきましょう。(2023年からWhat’s New at AWSにも掲載されるようになっているようです、AWS Media Servicesの1つにカテゴライズされていますしね。)AWS ThinkboxについてはレンダリングファームマネージャーであるDeadlineの最新リリースで3件のアップデートがありました。

まとめ

What’s New at AWS – Cloud Innovation & NewsにMedia Servicesのカテゴリでポストされた内容をベースに、2023年のAWS Media Servicesのアップデート情報をまとめてみました。独自集計となりますが合計55個のアップデート情報が確認できました。ちなみに2022年を再確認してみたところ25個のアップデートということだったので、倍以上のアップデート数ということになりますね!すごい。

なお本エントリはあくまでもWhat’s New at AWSの投稿をベースにしていますので、ドキュメント上でひっそりと(?)行われたアップデートなども多くあるかと思います。それも踏まえると今年も本当にたくさんのAWS Media Servicesのアップデートがありましたね。

個人的には、各サービスのCloudWatch連携の強化やMediaLiveの入力映像サムネイルの表示といった、細かいけれど着実に機能強化するアップデートが多かった印象です。またMediaPackage v2やIVS Real-Time Streamingのように大きなアップデートもありました。(まさか!? AWS Media Servicesにも"v2"と称するアップデートが来るとは!)そして、アップデート情報のなかで新規リージョンのサポートについては、普段であれば個人的に(あまり関わりのないリージョンが多く)流してしまうことが多いのですが、2023年はAWS Elemnetalなサービスの多くで大阪リージョン対応がなされました。2023年11月の段階でMediaStore以外はAWS Elementalなサービスが大阪リージョンでも利用可能となっています。

この実質的に大阪リージョンでもAWSを使った動画配信構成がフルスペックで実装可能な状態になっている点、個人的には今年2023年のアップデートのなかで最も大きなトピックの1つです。日本国内のリージョンだけでのマルチリージョンな動画配信構成など、活用の幅がより広がっていると思います。

来年2024年も、AWS Media Servicesでどのようなアップデートがされていくか楽しみですね。ワクワクしながら過ごしつつ、しっかりとアップデート情報をキャッチアップしていきたいと思います!

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