UXって何だろう?① 〜使いやすさの正体と、UIとUXの決定的な違い〜

UXって何だろう?① 〜使いやすさの正体と、UIとUXの決定的な違い〜

UIとUXの違いを「モノ(名詞)」と「コト(動詞)」で整理。どんなに美しい画面でも「使いにくい」と言われる理由とは?
2026.02.20

これまでUIの様々な要素について整理してきました。ここではUIと合わせて語られがちなUXとは何なのかを改めて簡単に整理してみます。

1. 綺麗な画面が良い体験になるとは限らない

これまでの記事で、UIは「グリッドによる整列」や「色のルール」など、ロジックによって裏付けられ、作られると整理しました。

しかし、どんなにグリッドが整っていて色が美しい画面でも、「使いにくい」「二度と使いたくない」と言われてしまうことがあります。なぜなら、UIは「道具」であり、UXはその道具を使った結果得られる「体験」だからです。今回は、よく混同されるこの2つの違いを整理し、なぜデザインと呼ばれるものにUXの視点が必要なのかを整理します。

2. UIとUXの違い

UIとUXを以下のように定義してみます。

● UI(User Interface):人とシステムの間で情報をやりとりするための接点(一般的な用語として)

● UX(User Experience): 製品,システム又はサービスの使用及び/又は使用を想定したことによって生じる個人の知覚及び反応。
(出典:JIS Z 8530:2019

これは「モノ(名詞)」と「コト(動詞/感想)」という比喩を使うと分かりやすくなります。

● UI(User Interface)=接点・道具

  • 画面上のボタン、文字、レイアウトそのもの。
  • 第1回の記事で定義した「動的デザイン(操作するもの)」のこと。

● UX(User Experience)=体験・感情

  • そのUIを使って「便利だった」「楽しかった」「安心した」と感じること。
  • そのUIを使った一連の体験。
  • 逆に「イライラした」「分からなくて不安になった」というのもUX(Bad UX)です。

レストランの例

● UI:お皿・カトラリーの清潔さ。盛り付けの美しさ。見やすいメニュー表のデザイン。

● UX:「注文がスムーズだった」「料理が美味しかった」「店員さんの気遣いが嬉しかった」という食事全体の満足度。そして、どんなに立派なお皿(UI)でも、料理が出てくるのが遅くて不味ければ、食事全体の体験(UX)は悪くなります。

restaurant

3. 時間軸の存在

UIデザインの記事では、主に「画面という平面」をどう構成するか(配置や色)を扱ってきました。 しかし、UXを考えるときは、そこに「時間」の概念を加える必要があります。

  • 利用前: 「このアプリなら課題を解決してくれそうだ」という期待。
  • 利用中: 「迷わず操作できた」「サクサク動いた」。
  • 利用後: 「また使いたい」「誰かに教えたい」という余韻。

良く要望として上がりやすい「カッコいい画面にしたい」は、この「時間軸の一瞬だけを良くしたい」という限定的なものです。したがって「カッコよくする」だけでは不十分であり、「ユーザーが使い始める前、使い終わった後にどう感じるか」まで設計するのがUXデザインと言えます。

coolsite

4. なぜ「ユーザー」の視点が必要なのか

第2回のアイコンの記事で、「ユーザーは他のアプリの経験をもとに操作する」ため、独自のアイコンを使うと混乱すると解説しました。 これもUXの基本となる考え方です。

「私(作り手)」≠「ユーザー(使い手)」

例えば、開発者やデザイナーは、そのサービスについて熟知していますが、初めて使うユーザーは何も知りません。また開発者やデザイナーはユーザーとは全く違う立場であることも多いでしょう。

「自分にとって大丈夫」ではなく、「本当にユーザーの視点になっているか」を想像することが大切です。

アクセシビリティの記事でも触れた通り、文字が小さすぎたり、コントラストが低いと、特定の状況下のユーザーにとっては「体験」以前に「利用不可」になってしまいます。これもUXの欠如です。

userimage

5. おわりに

UIとは、UXを高めるための手段の一つです。

  • UIは「道具」、UXはそれを使った時の「体験(感想)」。
  • UXには「時間軸」があり、利用前〜利用後のすべてが含まれる。
  • 独りよがりなデザインを避け、ユーザーの視点を想像することが大切。

ユーザーの体験や気持ちを想像しながら、より良いUIを作っていきたいものです。

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