ユーザーからの問い合わせ内容をAIがラベリング! ZendeskのAdvanced AIのチケット分析機能についてまとめてみた

ZendeskのAdvanced AIのインテリジェントトリアージ機能を詳しく紹介します。この機能は、AIがエンドユーザーの問い合わせ内容を自動分析して、目的や言語、感情などに基づきラベル付けを行います。これにより、チケットの振り分け作業などを大幅に効率化することができます。
2023.08.15

こんにちは、ゲームソリューション部の入井です。

前回の記事では、ZendeskのAdvanced AIのチケット分析機能を実際にZendesk上で使用する流れを簡単にご紹介しました。

前回の記事では、この機能がそもそもどういったものかという解説があまり書けていなかったため、今回は図解を入れつつ更に深掘りをしていきます。

インテリジェントトリアージについて

どのような機能?

Advanced AIアドオンのインテリジェントトリアージ機能を使用することで、AIがチケットを分析し、目的、言語、感情といった項目別に自動的にラベル付けを行います。

イメージとしては、以下の図のようにAIが動作します。

まず、エンドユーザーがメールやフォーム経由でお問い合わせを送信すると、Zendesk上でチケットが作成されます。Advanced AIのインテリジェントトリアージ は作成されたチケットの本文テキストを自動的に分析し、問い合わせの目的・書かれている言語・エンドユーザーの感情を判断します。インテリジェントトリアージ の分析結果はラベルとしてチケットに紐づいて保存され、エージェントはそれを確認することでチケットの内容理解を素早く行うことができます。

目的、言語、印象(感情)別にラベリングされた結果は、以下の画像のようにチケットの詳細画面で確認することができます。

今までとは何が違う?

AI機能は従来のZendeskにも存在しましたが、Advanced AIは自然言語を解釈できるになったという点がこれまでと大きく異なります。

これまでの機能でもシステムが自動的にタスクを実行することは可能でした。しかし、自動化したシステムが適切な判断を下すためには、決まったフォーマットでデータを入力する必要がありました。

例えば、ECサイトのヘルプデスクで問い合わせの内容に基づいてチケット担当者を自動割当する仕組みを作るとします。同じメールアドレスやフォームに来た問い合わせでも、アカウントの認証についてと商品についてでは異なる部署を担当者として割り当てる必要があります。

従来のシステムでは、顧客からの問い合わせテキストだけが存在しても、その内容を理解できませんでした。そのため、上記のような仕組みを作るには、例えば問い合わせの種別を入力するための専用フィールドを作成し、システムがそれを読み取るように設定しておく必要があります。また、そのフィールドに正しい問い合わせ種別を入力するために、あらかじめ種別ごとにフォームを分けておくか、人間が問い合わせテキストを読んで種別を手動で入力する等の事前作業が必要になります。

Advanced AIでは、この事前作業に手間をかける必要がなくなりました。チケットの内容分析機能によって、顧客からの問い合わせテキストだけで、それがどのような目的の問い合わせであるのかを理解できるようになったためです。

上記の例で言えば、顧客から送信されてきたテキストを分析することで、それがアカウント認証についての問い合わせなのか、商品についての問い合わせなのかを理解し、その結果に基づいてどの部署にチケットを割り当てるかを判断することが可能です。

どのようなことが実現できる?

例えば、先ほど例に挙げた担当者自動割当は、チケットの分析結果を元にトリガ・自動化を動作させることで実現が可能です。

フローにすると以下のような形になります。

他にも、問い合わせ言語が中国語だった場合は中国語対応可能なエージェントに割り当てたり、問い合わせの内容に合ったGuideのFAQ記事を提案するメッセージを自動で送信する仕組みを作ったりなど、AIによるラベリングの結果は様々な活用方法があります。

また、ラベリングの結果をExploreで分析することで、今後の業務効率化に活かすこともできます。

ラベリングの仕組みについて

インテリジェントトリアージは、チケットの目的・言語・印象についてラベリングを行います。この時、あらかじめ用意されたラベルリストの中から、最も内容に近しいラベルが選択される仕組みになっています。

そのため、あらかじめ用意されたラベルの範囲を超えた分析結果を出すことはできません。例えば、2023年8月現在パソコンに関連するラベルは用意されていないため、パソコンの電源トラブルについての問い合わせが来ても、チケットの目的に「PCの電源について」というようなラベリングを行うことはできません。

公式ドキュメントにて、インテリジェントトリアージの利用要件として以下のように業種が指定されていますが、これは目的分析用に用意されているラベルがこれらの業種に関係するものだけであるためです。

小売業およびeコマース企業間取引(BtoC)。
 メーカー、卸売、企業間取引(BtoB)、顧客間取引(CtoC)は含みません。
ソフトウェアプラットフォームまたはアプリケーション。
 BtoCのみ。ガジェットやハードウェア部品を商品化する企業は含みません。
金融サービス。
 従来の銀行およびオンライン銀行のみBtoCのみ。

インテリジェントトリアージの使用に関する要件 – Zendeskヘルプ

なお、現時点では業種要件がBtoC向けに偏っていますが、今後徐々に対応業種の範囲を拡大していくと予告されています。

ラベルの一覧

具体的にどのようなラベルが用意されているのかについては、以下の記事で一覧表にまとめました。Advanced AIの導入にあたり、業務要件に合ったラベルがあるか気になる方は、こちらの記事を参考にしてください。

まとめ

Advanced AIのインテリジェントトリアージによるチケット分析で、どのような分析が行えるのかについてまとめました。

チケットの振り分け作業は時間がかかりがちでしたが、今回紹介したような機能を使うことでかなり効率化することが可能です。

Advanced AIアドオンにはトライアルも用意されているので、気になった方は試してみてはいかがでしょうか。