Zendesk Exploreで最初から用意されているダッシュボードについてまとめてみる(Talk 編)

Zendesk Exploreで最初から用意されているダッシュボードについてまとめてみる(Talk 編)

Clock Icon2023.12.20

こんにちは、ゲームソリューション部でZendeskのエンジニアを担当している入井です。本記事はクラスメソッドZendesk Advent Calendar 2023の20日目の記事です。

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クラスメソッド Zendeskのカレンダー | Advent Calendar 2023 - Qiita

Zendesk Exploreには、最初から用意されているデータ分析用ダッシュボードがいくつかあります。これらは既定のダッシュボードと呼ばれており、何も設定作業をすることなく自動的にZendesk環境についてのデータ分析が実行され、その結果をダッシュボードから閲覧することが可能です。独自のダッシュボードを作成する機能はSuite Professionalから利用できますが、既定のダッシュボードであればSuite Growth, Suite Teamプランでも利用可能です(読み取り専用)

既定のダッシュボードは以下の種類が用意されています。それぞれ、Zendeskの主要機能別にデータ分析が行われています。

今回は、Zendesk Talkダッシュボードでどのような分析結果が閲覧できるかをご紹介します。

Zendesk Talkダッシュボードについて

このダッシュボードでは、Zendesk Talkで使用できる通話機能について、電話の発着信の件数や通話時間、エージェントの応答状況、IVRの利用状況、通話品質などの数値指標やグラフを見ることができます。

ダッシュボードは、分析の種類により以下の4つのタブに分かれており、タブをクリックして遷移することでそれぞれの分析結果を閲覧可能です。

  • Callsタブ
  • Efficiencyタブ
  • Agent activityタブ
  • Qualityタブ

各タブでは、フィルタ設定を操作することができます。これにより、以下のような観点で分析結果をフィルタリング可能です。

  • どの期間に実行された通話か
  • どの電話番号での通話か
  • どのグループ、組織のユーザーの通話か
  • インバウンド、アウトバウンドどちらの通話か
  • 通話を行ったエージェント

次の項目以降で、それぞれのタブの詳細について紹介していきます。ダッシュボードの要素として、グラフの他に数値によって分析結果が分かるヘッドラインメトリックがあります。

Callsタブ

このタブでは、通話の件数やどのような種類の通話が行われたのかなどを分析できます。

以下のフィルタリングが利用可能です。

  • コールグループ
  • Talk電話番号
  • 組織名

ヘッドラインメトリック

  • Calls
    • 指定した期間の通話の合計件数。
  • Inbound calls
    • 全ての通話のうち、Zendesk Talk側に外部からかかってきた着信コールの合計件数。
  • Outbound calls
    • 全ての通話のうち、Zendesk Talk側から外部へかけた発信コールの合計件数。
  • Voicemail calls
    • 全ての通話のうち、ボイスメール(留守番電話のようなもの)に転送されたコールの件数。
  • Completion rate
    • 全ての通話のうち、正常に完了した通話の割合。
      • 以下の場合は正常であると判断されます。
        • エンドユーザーとエージェントが接続された
        • 通話がボイスメールに転送された
        • 外線番号に転送された
      • 以下の例のような場合は異常であると判断されます。
        • IVR、順番待ち、保留中、ボイスメール録音の途中で切断された場合
        • エンドユーザー、エージェントのどちらかがコールに応答しなかった場合

グラフ

  • Inbound calls by hour
    • 24時間別に着信コールの平均件数を縦棒グラフで表示します。
    • 時間帯による着信件数の増減を把握できます。
  • Average inbound calls by day of week
    • 曜日別に着信コールの平均件数を縦棒グラフで表示します。
    • 曜日による着信件数の増減を把握できます。
  • Calls by date
  • Calls by type
    • 選択した期間内のタイプ別通話件数の合計とその割合を円グラフで表示します。
    • 円グラフの要素はCalls by dateと同様です。
  • Unsuccessful inbound calls by type
    • 正常完了しなかった通話の件数とその割合を原因別に横棒グラフで表示します。
    • 棒グラフは以下の要素で構成されます。
      • IVRの途中で切断
      • 順番待ちの途中で切断
      • 保留中に切断
      • ボイスメール録音中に切断
      • コール応答なし
    • どのような原因で正常完了しない傾向があるのかを把握できます。
  • Unsuccessful inbound calls by date
    • 選択した期間内で正常完了しなかった通話のタイプ別件数を日付別に縦棒グラフで表示します。
    • 棒グラフの要素はUnsuccessful inbound calls by typeと同様です。
  • Inbound calls by selected attribute (top 10)
    • 着信の件数を横棒グラフで表示します。
    • 集計単位は以下のどちらかから選択できます。
      • 電話番号
      • 電話番号グループ
    • 表示されるのは上位10件までです。
    • これにより着信頻度が高い電話番号を把握できます。
  • Outbound calls by selected attribute (top 10)
    • 発信の件数を横棒グラフで表示します。
    • 集計単位は以下のどちらかから選択できます。
      • 電話番号
      • 電話番号グループ
    • 表示されるのは上位10件までです。
    • これにより発信頻度が高い電話番号を把握できます。
  • Calls by selected attribute and date (top 10)
    • 選択した期間内の日付別の通話件数を電話番号単位か電話番号グループ単位で面グラフで表示します。
  • Calls by month/year
    • 選択した期間内の月別の通話件数合計を折れ線グラフで表示します。
    • より広い視点で通話件数の推移を把握することができます。

Efficiencyタブ

このタブでは、エージェントがどのように通話機能を使用しているのかを分析できます。

以下のフィルタリングが利用可能です。

  • コールグループ
  • Talk電話番号
  • コール方向
  • コールタイプ
  • 組織名

ヘッドラインメトリック

  • Call duration average
    • 通話1回あたりの平均時間。
    • チーム全体で通話時間がどのような傾向にあるのかを把握できます。
    • 時間の範囲としては、エンドユーザーが電話をかけてから通話が終了するまでの時間となります。
  • Talk time average
    • 通話1回あたりの会話の平均時間
    • チーム全体でユーザーとの会話時間がどのような傾向にあるのかを把握できます。
    • 時間の範囲としては、エージェントが着信を受けてから通話が終了するまでの時間となります。
      • ほぼ必ずCall duration averageよりは短くなります。
  • Answer time average
    • 通話1回あたりのユーザーの平均待ち時間。
    • チーム全体でユーザーをどの程度待たせる傾向にあるのかを把握できます。
    • 時間の範囲としては、エンドユーザーが電話をかけてから通話が開始するまでの時間となります。
  • Queue wait time average
    • エージェントが全員対応できない状態でユーザーが待機していた時間の平均です。
    • エージェントが着信数に対してキャパシティオーバーが出ている度合いを把握できます。
  • On-hold time average
    • 1件あたりの保留状態の平均時間。
    • 保留によりユーザーをどの程度待たせる傾向にあるのかを把握できます。

グラフ

  • Calls by talk time brackets
    • 各通話を会話時間でタグ付けし、以下の分類別に横棒グラフで表示します。
      • 60分以内
      • 30-60分
      • 20-30分
      • 10-20分
      • 5-10分
      • 0-5分
      • 応答なし
    • これにより、会話時間が全体としてどのような傾向にあるのかを把握できます。
  • Calls by wait time brackets
    • 各通話をユーザーの待ち時間でタグ付けし、以下の分類別に横棒グラフで表示します。
      • 60分以内
      • 30-60分
      • 20-30分
      • 10-20分
      • 5-10分
      • 0-5分
      • 応答なし
    • これにより、ユーザーの待ち時間が全体としてどのような傾向にあるのかを把握できます。
  • Regular inbound call end-user journey
    • 選択した期間内の日別の以下の平均時間を面グラフで表示します。
      • 待ち時間
      • 会話時間
      • 保留時間
    • 各時間が時系列でどのように変化しているかを把握できます。
  • Voicemail end-user journey(ボイスメールでのエンドユーザージャーニー)
    • 選択した期間内の日別の以下の平均時間を面グラフで表示します。
      • 待ち時間
      • ボイスメール録音時間
    • エンドユーザーがエージェントに繋がらずに費やした平均時間を時系列で把握できます。

Agent activityタブ

このタブでは、主にコールレッグに基づいて通話状況を分析することができます。

コールレッグとは、エージェントとエンドユーザーでそれぞれ以下のような意味があります。

  • エージェント
    • エージェントの呼び出し音が流れてから以下が起こるまでの時間
      • エージェントによる着信拒否
      • エージェントによる通話終了
      • 別のエージェントへの転送
        • この場合、コールレッグは転送先のエージェントに紐付いて最初からカウントされ始めます。
  • エンドユーザー
    • 発信後、最初のメッセージが再生された後から通話が終了するまでの時間

Exploreを使用したコール関連のレポーティング – Zendeskヘルプ

以下のフィルタリングが利用可能です。

  • コールグループ
  • レッグエージェント
  • Talk電話番号
  • コール方向
  • コールタイプ
  • 組織名

ヘッドラインメトリック

  • Accepted call legs
    • エージェントが応答したコールレッグの合計。
  • Missed call legs
    • エージェントが応答しなかったコールレッグの合計。
  • Declined call legs
    • エージェントが拒否したコールレッグの合計。
  • Leg duration average
    • エージェントの1件あたりの平均コールレッグ時間。
  • Leg talk time average
    • 各レッグでエージェントがエンドユーザーとの会話を行った平均時間を表示します。
  • Call time KPIs
    • 以下のメトリックが一カ所にまとまっています。
      • On-hold time average
        • 保留時間の平均
      • Wrap-up time average
        • 通話終了後の後処理にかかった平均時間
      • Consultation time average
        • 転送の際のエージェント間の会話の平均時間
      • Conference time average
        • 電話会議の平均参加時間

グラフ

  • Call routing to agents by date
    • 選択した期間内の日別の以下の件数を縦棒グラフで表示します。
      • コールレッグ数
      • 未対応コールレッグ数
      • 拒否されたコールレッグ数
    • 時系列でのコールレッグの対応状況の推移を把握できます。
  • Call routing to agents
    • 選択した期間内の以下の合計件数を円グラフで表示します。
      • コールレッグ数
      • 未対応コールレッグ数
      • 拒否されたコールレッグ数
  • Agent call journey
    • 選択した期間内の日別の以下のコールレッグ合計時間を面グラフで表示します。
      • 会話時間
      • 保留時間
      • 転送の際のエージェント間の会話の時間
      • 電話会議の参加時間
      • 通話終了後の後処理にかかった時間
  • Agent activity
    • エージェント別に以下の要素の合計をテーブル形式で表示します。
      • コールレッグ数
      • 拒否したコールレッグ数
      • 対応しなかったコールレッグ数
      • 発信数
      • コールレッグ時間(時間)
      • コールレッグ会話時間(時間)
      • 後処理時間(時間)
      • コールレッグ会話時間(分)
      • 後処理時間(分)

Qualityタブ

このタブでは、通話の品質についての分析が可能です。

各通話の品質は、Zendeskがネットワークおよび音声の状態を確認した上で自動的に以下の内で分類します。

  • 良好
  • 不良
  • 情報無し

以下のフィルタリングが利用可能です。

  • コールグループ
  • レッグエージェント
  • Talk電話番号
  • コール方向
  • コールタイプ
  • 組織名

ヘッドラインメトリック

  • Quality rate
    • 通話全体のうちの良質な通話の割合。
  • Good quality calls
    • 通話全体のうちの良質な通話の合計件数。
  • Bad quality calls
    • 通話全体のうちの品質が不良な通話の合計件数。
  • Bad quality agent legs
    • 通話全体のうちの品質が不良なエージェントコールレッグの合計件数。
  • Bad quality end-user legs
    • 通話全体のうちの品質が不良なエンドユーザーコールレッグの合計件数。

グラフ

  • Quality rate by date
    • 以下の要素について日別に折れ線グラフで表示します。
      • 通話全体の良質な通話の割合
      • コールレッグ全体の良質な通話の割合
    • 同時に以下についも日別に縦棒グラフで表示します。
      • 通話全体のうちの品質が不良な通話の合計件数
    • これにより、通話品質の状況の変化を時系列で把握できます。
  • Quality by leg type
    • 以下の要素別に品質が良好な通話と不良な通話の合計件数を横棒グラフで表示します。
      • エージェントコールレッグ
      • エンドユーザーコールレッグ
      • 外部コール
  • Agent leg quality issues
    • 不良だった通話について、原因別に横棒グラフを表示します。
      • silence
        • 無音時間の発生
      • high_jitter
        • 平均・最大ジッターが一定以上を超えた
      • high_packet_loss
        • パケットロスが5%以上発生した
      • high_pdd
        • ダイヤル後の遅延が一定以上を超えた
      • high_latency
        • RTP転送時間が150ms以上かかった
    • 原因を特定することで、通話品質の改善に役立てることができます。
    • 以下の要素でフィルタリングが可能です。
      • エージェントコールレッグ
      • エンドユーザーコールレッグ
      • 外部コール
  • Agent leg quality issues by date
    • 選択した期間内の日別の各品質不良原因件数を折れ線グラフで表示します。
    • 表示される不良原因はAgent leg quality issuesと同じです。
    • 通話品質の問題がどのような時系列で変化しているかを把握できます。
  • Leg quality by agent or group
    • 以下の要素についてテーブル形式で表示します。
      • 良好な通話件数
      • 不良な通話件数
      • 良質な通話の割合
    • 以下のどちらかの単位で集計が可能です。
      • レッグエージェント
      • 電話番号グループ
  • Leg quality issues by agent or group
    • 通話の品質不良原因についてテーブル形式で表示します。
    • 以下のどちらかの単位で集計が可能です。
      • レッグエージェント
      • 電話番号グループ

まとめ

Zendesk Exploreで標準で用意されている既定のダッシュボードのうち、Talkについてのダッシュボードをご紹介しました。

以上のように、多種多様な種類のグラフやメトリクスが用意されており、これらのグラフだけでも通話の件数やエージェントの通話対応、通話品質などについての細かな分析が可能となっております。

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