【レポート】AWS Summit Tokyo 2017:[日立物流] 周回遅れからのクラウド挑戦 – しがらみからの脱却 – #AWSSummit
2017年05月30日(火)〜2017年06月02日(金)の計4日間に渡り、グランドプリンスホテル新高輪 品川プリンスホテル アネックスタワーで行われている『AWS Summit Tokyo 2017』。
当エントリでは2017年05月31日に行われた『[日立物流] 周回遅れからのクラウド挑戦 - しがらみからの脱却 -』に関する内容をレポートしたいと思います。
セッション概要
当セッションの登壇者及び概要は以下の通りです。
田代 肇
株式会社 日立物流
情報基盤統括部 部長補佐
吉田 佑一郎
日立物流ソフトウェア株式会社
システム事業統括本部 ネットワークソリューション部 部長
セッション概要:
本セッションでは、下記についてご紹介します。
① 顧客のグローバル SCM を支える最適なサービスロケーション(日本依存の見直し)
② グローバル企業としてのサービス継続性・DR 体制強化、差別化になるサービス(スマートロジスティクス)への投資集中
③ クラウドをトリガーとした情報子会社との危機感共用・成長への関係変化
④ インフラ技術者の意識改革(クラウド技術者の育成)
⑤ グループ内の利用促進への取組み(標準構成パターン制定, 料金体系整備)
セッションレポート
以下、セッションのレポートです。
前半は日立物流の田代さん、後半は日立物流ソフトウェアの吉田さんの発表となります。
はじめに
- 2014年5月時点でのAWS利用実績 : 0
- 他社の状況 (2014)
- 500〜1000台規模のサーバを移行
- 他社の状況 (2014)
- 伝えたいこと
- 周回遅れから登壇までの軌跡
- しがらみの中でのクラウド推進
- 物流事業へのクラウド活用
事業環境の変化
- グローバル化に伴い、在庫管理システムの重要性があがる
- 環境は日本のオンプレ。このままでいいのか?
- リスクの再評価
- 日本の災害が原因で10カ国のシステムが停止する懸念
新プロジェクトの目標
- アメリカ、アジア、中国の3極
- グローバルDR
- 納期、コスト、BtoB品質など...
- すべて満たせるのはAWS
- ただし、ノウハウがまったくない
- まずは既存の在庫管理システムをAWSに移行
- ただし、ノウハウがまったくない
しがらみ
- 誰がAWSやるのか?
- リスクの懸念による躊躇
- ならば外注する?
- どうせなら日立グループ内で
- 体制をつくるまでに2ヶ月かかる
- ならば外注する?
- リスクの懸念による躊躇
- 最初は心配だらけ
- ノウハウを獲得してからは認識が変わる
- 最終的にしがらみは雪解け
- ノウハウを獲得してからは認識が変わる
- なぜクラウドを避けていたか
- 他社が利用しているのを様子見
- 後手後手に
移行後の現在
- 3極サービスを実現
- グローバルDR(北京以外)
- 納期は遅延 (1.5年->3年)
- SAPや社内クラウドも利用し、マルチクラウド化
- SAPサーバ、本番:AWS, 開発:B社クラウド
学んだこと
- 意思決定から一緒に進める
- 日立グループ内で全て行ったことで、しがらみを超えて進められた
- 餅は餅屋、パートナーと進める
- 最初から高すぎる目標を持たない
今後
- マルチクラウド推進
- 持つITから使うITへ
- すべてをクラウドにするのがよいわけではない
- たすきをつなぐ
- 新しいことへの挑戦というたすきをつなぐ
クラウドの取り組み
- 現在 : 4リージョンで200インスタンス
- これまでの日立物流のIT : 完全自前主義
- 保守の効率化 -> 属人化
- 変更に対する懸念
技術者のマインドの変遷
- 変更による障害に対する懸念しかない
- 今後のことを考えると、思い切ってクラウドに舵を切ったほうが...
- 最終的に、親会社の「リスクを共有する」で踏ん切りが付く
クラウドの壁をどう突破するか?
-
- マインドチェンジ
- 既存技術からAWSへの置き換え
- 「障害を起こさない」から「起きても大丈夫」な仕組みへの変更
- 使ってみると、想像より障害はすくなく、便利
- 最終的にはAWS推進派へ
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- 技術習得
- 情報収集はとてもしやすい
- 部内展開
- 勉強会
- 無料枠でテスト
- サービスが多くて最初はどれを使えばいいのか...
- 代表的な部分に絞ればとりあえずOK
- オンプレミスの技術習得よりもかえって簡単かも
-
- 変化への追随
- 常に変化をキャッチアップする筆ようがある
- 効果を最大化するにはユーザ部門と一体となって進める必要がある。
- 実際はまだまだ。今後の課題
- 効果を最大化するにはユーザ部門と一体となって進める必要がある。
現在の利用状況
- 加速度的に利用が増えている
- マルチクラウドの検討
- 事業系 : AWS, 基幹系 : B社クラウド
- B社クラウドで不具合発生
- 最終的にB社クラウドは検証環境のみに
- 事業系 : AWS, 基幹系 : B社クラウド
今後の課題
- EC2の管理方法
- 現在はExcel台帳で管理
- 管理コストを抑えられるよう、別の仕組みが必要
- 組織構造の改革
- ネットワークチーム、インフラチームなどの役割分割がAWSでは曖昧に
最後に
- ここまでこれたのはAWSサポートの丁寧で正確なサポートがあったから。
- AWSのサポートは凄い。とても感謝しています。
感想
AWSの知識・経験が全くない状態から、どうやってサービス移行に漕ぎ着けたかを赤裸々に語っていてとても面白かったです。特に、技術的な問題よりも、人間の問題によるところが大きかったというのが興味深かったです。