【レポート】『「あなたのお客様は誰ですか?」から始まるAmazonのイノベーションのメカニズム、その手法をハンズオン』を受けてきた #AWSSummit
大阪オフィスのちゃだいんです。
当エントリでは2019年06月27日に行われたAWS Summit Osaka 2019 のワークショップ「あなたのお客様は誰ですか?」から始まるAmazonのイノベーションのメカニズム、その手法をハンズオンに関する内容をレポートしたいと思います。
ワークショップ概要
本ワークショップは、Amazonの代表的なイノベーションメカニズムの1つである"Working Backwards"を理解し、実際に手と頭を動かして実践してみるハンズオン形式でした。 参加者はランダムで3〜5名程度のチームに分かれて、各チーム単位で個人ワークとチームワークをそれぞれ行い、最終的にみんなの前で発表するという流れです。
Working Backwordsとは
「逆向き解決法」と呼ばれるものです。配布された冊子にはこのように書かれてました。
アマゾンでは、私たちはお客様を起点に考えます。Working Backwordsプロセスでは、5つの質問に答えることから始めます。プロジェクトを始める際に、これらの質問を考えることで、顧客起点で、お客様に新しい体験をしていただけるか思考することができます。
お客様についての5つの問いかけ
- 対象となるお客様は誰ですか?
- お客様が抱える課題や改善点が明確ですか?
- お客様が受けるメリットは明確ですか?
- お客様のニーズやウォンツをどのように知りましたか?
- お客様の体験が描けていますか?
ワークショップの内容
チーム内で自己紹介
まず、チームメンバーで自己紹介を行いました。その方法も一風変わってまして、「自分の仕事をキッチンツールに例えるなら何ですか?」というお題でした。各自付箋に思い思いの調理器具のイラストを描いて、それを見せながら自己紹介しました。ちなみに私は「電子レンジ」を描いて、その理由は「お客さんの疑問や課題を回答(解凍)するから」的なことを言いました。謎かけみたいになってるやん。
ここからはワークの流れをざざっとまとめてみました。
ワークのテーマとルール
- ワークのルール
- 言うのではなく見せる(付箋1枚に1つ描いてみせる)
- 判断・非難はしない
- スピード重視(ワークの時間が限られているので)
- 主人公はお客様です(提供者側の都合は一旦排除)
- ワークのテーマ
- これまでにないネットでショッピング
- ネットショッピングする人の購買体験の向上
1.お客様像を書き出す
さて、ここから本題のワークに入っていくわけですが、やはり顧客起点として、まずお客さん像を想像することから始めます。
- 個人ワーク
- 付箋に1枚に1個お客さんの描写を文字で書く(名前、年齢、職業、趣味、住所など)
- 3分
2.課題を書き出す
前述で想像したお客さんが、ネットショッピングで困っていることは何か?を想像して書き出してみます。
- 個人ワーク
- 「現状、○○するときに、○する必要がある」という形式で書く
- 例:現状、ネットショッピングするお客様は、古着を買うとき、手にとって感触を確かめることを諦める必要がある。など
- 3分
3.お客様と課題のチーム代表を決める
- グループワーク
- 1人1人が発表する
- 多数決でチームの代表を決める
- 5分
4.その課題を解決するアイデアを書き出す
- 個人ワーク
- 付箋に1枚1個で書き出す
- 3分
5.お客様が受けるメリットを書き出す
- 個人ワーク
- 付箋に1枚1個で書き出す
- 3分
6.アイデアとメリットのチーム代表を決める
- グループワーク
- 1人1人が発表する
- 多数決でチームの代表を決める
- サービス名も考えて選ぶ
- 5分
7.プレスリリースを描く
アマゾンではこのワークのプレスリリースのテンプレートがあります。今回はその中でも、「導入部分」の掴みのところと、「お客様の声部分」を書いてみました。
- チーム内で2つに分かれて、「導入部分」と「お客様の声部分」を書く。
- 5分
8.全員の前で発表しフィードバックをもらう
- プレスリリースを読み上げる
- 他のチームからフィードバックをもらう
- 10分
やってみて感じたこと
1時間半のワークショップでサービスが1個誕生した
結果として、「初めて顔を突き合わせた5名で1つサービス立案ができた!」というわかりやすい成果物があったので、それなりに達成感がありました。また、3人集まれば文殊の知恵といいますが、他者のアイデアは自分からすると思いもよらないものだったりもするので、そういったサプライズもありました。
プレスリリースにまとめるのは合理的
プレスリリースは通常、報道関係者向けの情報提供ですが、自社のプロダクトやサービスをわかりやすく客観的にかつ魅力的に伝える手法とも言えます。この方法で筋が通っているのか?テレビが取材してくれそうか?などの視点でジャッジでき、既存のプレスなどとも比較ができます。スライドやビジュアルを使用しない分、コンセプトやロジックの部分に話し合いを集中でき、この工程によって企画のブラッシュアップが可能となるので、とても合理的なワークだと感じました。
体験を描くのは必須のお題目
今や体験のデザインは、現行サービスにおける最重要項目の1つであると感じます。この作業を個々が習慣づけて、チームとして暗黙のうちに共通認識となっている状態になれば、客商売であればどんな事業のどんなレイヤーの部門であれ、提供するサービスの価値が向上するのではないでしょうか。
自社事業のブレイクスルーを欲している方、チームでお試しあれ
今回紹介の"Working Backwards"は、Amazonカンパニー全体で取り組んでいるコアな概念のようです。一見「お客さんのこと考えるのはうちだってやってるよ」と思うかもしれませんが、世界規模で異なる国籍の従業員数十万人と同じビジョンを共有し体現するために、このフレームワークは使用され、それが実績に結びついています。そう考えるとやってみて損はないし、新たな気づきが見つかるかもしれません。ぜひ一度活用してみてください。以上今日はこのへんで。大阪オフィスのちゃだいんでした。