[アップデート] AWS Elemental MediaConvertの価格体系に変更がありました!
はじめに
清水です。AWS Media Servicesの1つであり動画変換サービスであるAWS Elemental MediaConvertに本日、価格体系の変更のアップデートがありました。
アップデートにより、新たにより低コストで使用できるベーシック階層(Basic Tier)が新設され、これまでの階層はプロフェッショナル階層(Professionl Tier)との名称になるようです。プロフェッショナル階層についてはこれまでのMediaConvertの特長の通り、放送品質、マルチスクリーン対応、複数コーデックの高品質ビデオ出力に対応します。対してベーシック階層については、シンプルなWeb配信を想定して対応コーデックなどを限定する代わりに、より低コストからの利用が可能となっているようです。本エントリではこの2つの価格体系についてまとめてみたいと思います。
AWS Elemental MediaConvertの2種類の価格体系
AWS Elemental MediaConvertの料金ページを確認すると、2つの価格体系について詳細な情報がまとまっています。ここでは例として東京リージョンでのAVCコーデックについて確認してみます。なお、AWS料金は頻繁に値下げされますので、最新の情報はMediaConvertの料金ページをご確認ください。
まずベーシック階層の料金として下記のように記載されています。(MediaConvertの料金ページのスクリーンキャプチャとなります。)
MediaConvetの料金は出力ファイルの1分間あたりを単位として計算されます。例えば3分間のファイルをベーシック階層でAVCコーデックに変換した場合(SD解像度、30fps以下)、0.0085 USD x 3分 = 0.0255 USDとなりますね。
続いてプロフェッショナル階層の料金は下記になります。(こちらもMediaConvertの料金ページを抜粋したスクリーンキャプチャとなります。)
比較すると、SD解像度で30fps以下の場合の単価は0.0136 USDです。ベーシック階層と同条件のAVCコーデック、SD解像度、30fps以下の3分間のファイルの変換で試算すると 0.0136 USD x 3分 = 0.0408 USDとなります。
こちらのプロフェッショナル階層の料金が従来からのMediaConvertの料金となるので、新しいベーシック階層ではより安価にMediaConvertが利用できることがわかります。
価格ページには「ベーシック対プロフェッショナル階層機能比較」という比較表も記載されています。基本的には、ベーシック階層ではAVCコーデックのみを扱いシンプルなWeb配信での利用を想定している、ということですが、ベーシック階層でも変わらず利用できる機能、プロフェッショナル階層でしか利用できない機能、という点でまとめてみます。
- ベーシック階層でも利用できる機能、特長
- 4K(UHD)までの出力解像度
- 120fpsまでの出力フレームレート
- 入力ステッチング
- 出力クリッピング
- フレームキャプチャ
- イメージ挿入
- 出力位置とクロッピングrectangle
- タイムコード設定
- プロフェッショナル階層でしか利用できない機能、特長
- MPEG-2、HEVCなど一部映像コーデック、コンテナ
- ドルビーデジタル、WAVなど一部音声コーデック、コンテナ
- 2パスエンコード設定など画質設定
- 複数のAVC(H.264)プロファイル対応
- キャプションサポート
- DRM暗号化
- マルチオーディオトラック
- 手動オーディオリミックス
- 音量正規化
- タイムコード書き込み
- 色訂正、インターレース解除、およびノイズリデューサー
- 広告マーカー、広告シグナリンク、広告表示先のブランキング
- Time metadata(ID3)の挿入
ベーシック/プロフェッショナルのAWSマネージメントコンソールでの表示
このようにAVCコーデックのみで一部の機能ならより安価なベーシック階層で利用できるようになりましたが、自分が使いたい機能がベーシック階層でも使えるものなのか、プロフェッショナル機能でしか利用できないものなのか、確認するのは少し大変そうですね… と思いながらマネージメントコンソールを確認したところ、マネージメントコンソールにPROの表記が追加されていることが確認できました。 *1
例えば、出力グループの追加画面では下記のようになります。
Microsoft Smooth Streamingへの変換はAVCコーデックですが、プロフェッショナル階層でしか利用できない機能となっています。このようにプロフェッショナル階層でしか利用できない機能についてはPROマークが表記されているようですね。なお、PROマークのない「ファイルグループ」を選択した場合でも、その後の選択によってはプロフェッショナル階層となることに注意しましょう。例えば、ファイルグループを設定したあと、ビデオコーデックでHEVC(H.265)などを選択するとプロフェッショナル階層となります。(それぞれにPROマークもついていますね。)
まとめ
AWS Elemental MediaConvertの価格体系がアップデートされ、新たにベーシック階層の価格帯が新設されました。従来のプロフェッショナル階層と比べて一部利用できない機能やコーデックなどはありますが、これまでよりも安価に動画変換ができるようになるのはうれしいですね!用途に合わせてベーシック階層、プロフェッショナル階層を使い分けていきましょう。引き続きAWS Elemental MediaConvert含めたAWS Media Servicesの機能アップデートに注目していきたいと思います!
脚注
- また余談ですが、今回AWS Elemental MediaConvertのマネージメントコンソールを参照したところ、日本語対応していることも確認できました。Amazon Elastic Transocder含めた動画系サービスでは初めてのマネージメントコンソールの日本語化対応ではないでしょうか。(いつから日本語化対応したのか定かではありませんが、2017/11のリリース当時は未対応だったはずです。)これもうれしいアップデートですね! ↩