【AWS Summit Osaka 2019 セッションレポート】名古屋大学医学部附属病院の先端医療開発や臨床研究支援におけるAWSクラウドの活用事例について #AWSSummit

AWS Summit Osaka 2019 のセッション、「名古屋大学医学部附属病院の先端医療開発や臨床研究支援におけるAWSクラウドの活用事例について」をレポートします。
※専門外の部分が多く、また情報量も非常に多かったため、正確なレポートにはなっていないかと思います。ご容赦ください m(_ _ )m

セッション概要

名古屋大学医学部附属病院 先端医療開発部(先端医療・臨床研究支援センター)では、医療福祉情報分野の先端医療開発としてシーズ情報収集管理システムや健康医療信託システムといったシステムの開発や運用を行っています。本セッションでは、これらのシステムを用いた臨床研究情報管理や疾患レジストリ、行政データ利活用といった運用事例を紹介するとともに、AWSクラウドの活用方法の紹介やクラウドテクノロジーとの相性、今後の課題について概説します。

スピーカー

名古屋大学医学部附属病院 先端医療開発部 先端医療・臨床研究支援センター システム情報室長・助教

杉下 明隆さん

セッションレポート

先端医療開発と臨床研究

治療ではなく今後の医療のための開発をするところ
その現場でのクラウド活用の話をします

はじめに 自己紹介を兼ねて

日本の先端医療を取り巻く環境

現代医療/先進医療/先端医療の区別
  • 現代医療
  • 先進医療 ちょっと先の、数年先に実現を目指す医療
  • 先端医療 もっと先の、10数年数十年先に実現を目指す
先端医療
  • 医薬品、医療機器開発を行なう
  • 新テクノロジー(IoT BigData AI)の影響を受ける
市場
  • 医薬品
    • 一時貿易赤字状態だったが、今は少し盛り返している
  • 医療機器
    • 徐々に赤字
  • 医療機器開発現場
    • 診断機器では日系企業は一定の国際競争力を有する
    • 治療機器では国際競争力が弱い
医薬品医療機器開発の課題 

最終製品へのコーディネート不足

  • 例:da Vinci(ダ・ヴィンチ) 80%の部品は日本製なのにアメリカ産
課題解決に向けて
  • 日本再興戦略
    • 医療に関する様々なTFが結成され課題解決に向け取り組んでいる
    • アカデミア主導の医薬品、医療機器など開発体制
    • 疾患別プロジェクト
    • 横串の様々な横断型プロジェクト
医薬品、医療機器開発のプロセス
  1. 基礎研究
  2. 非臨床
  3. 臨床試験
  4. 薬事承認
  5. 市販

名古屋大学医学部付属病院の先端医療開発体制

  • 革新的医療技術創出拠点と臨床研究中核病院のW拠点を持っているのは全国12拠点のみ、名古屋大学はその内の一つ
  • 組織構造
    • 総長 病院のトップ
    • 病院長
    • 先端医療開発部長
    • その下に 先端医療臨床研究支援センターとデータセンター(臨床研究のデータを第三者的に管理する部門)が存在
  • 地域のコンソーシアムとも連携

これまでの取り組み

  • 基礎研究からファーストインヒューマンまでを支援
  • ファーストインヒューマン以降の臨床試験、治験を支援
QMS(Quality Management System)体制の構築
  • QC(Quality Controls)
  • QA(Quality Asuurance)
  • 拠点内のQMS体制構築に向けた取り組み
  • 国立大学病院で初めてJCI認証を取得
  • ISO取得
  • CDISC対応
  • ECRINデータセンター要件の検討
  • 品質保証

先端医療、臨床研究支援センター/システム情報室の紹介

  • シーズ情報収拾管理システム
    • 雑多に散らばったデータを集めて研究者に提供するシステム
    • 革新的な技術が中心 AI /IoT/BigDataなど
    • グローバルな視点
  • 健康医療信託システム
    • 地域医療、地域包括ケア支援ネットワーク
    • 革新的でないものが中心 枯れた技術で安く早く作る
    • ローカルな視点

先端医療開発や臨床研究を支えるクラウド

取り組みの背景

EDC(electronic data capture)システムで情報を集め、SASシステムで統計解析を行う

  • SASシステム
    • データ管理
    • データ監視
    • 独立性の担保が必要
  • 電子カルテの膨大な医療情報の中には臨床研究のシーズが大量にあるが活用には困難
    • 実名
    • 検索がしにくい
    • 管理、引き継ぎが難しい
  • 電子カルテと独立してサンプリングされたデータは、各料、研究プロジェクトごとに独立した管理システムが散財
    • 情報漏洩や消失の可能性
    • 似たようなデータが散らばっている
  • そこでシーズ情報収集管理システム
    • 資源の分散を避け研究者の負担を減らす
    • 施設内共同研究、他施設間研究へのシームレスな展開
    • 網羅的なBigData医療情報解析

法令やガイドライン

  • 法令
    • 憲法
    • 法律 - 薬事法、臨床研究法
    • 政令 - 薬事法施行令
    • 省令 - GXP (安全管理実施基準、品質基準など)
  • 指針、ガイドライン - 自主的に遵守するもの / 法令ではない

個人情報保護とプライバシー保護

法律やガイドラインで様々なルールがある どう対応していくか

  • 課題
    • ガイドラインは信用できない
    • 日本の標準化は国際基準に対応していない
    • 次世代医療基盤法は?
      • 匿名化加工についての具体的な定義が決まった

クラウド構築の参考にした法令など

  • HIPPA法 プライバシーと医療情報のセキュリティ
  • ECRIN データセンター品質保証
  • CDISC 情報標準化
  • ERES指針 研究データの元本保証

AWSは管轄の裁判所が米国になる?

  • 今はコンソールで設定変更可能

実際のユースケース システム全体像

  • 当初はオンプレで2年かけて作った

現場での利用シーン

  • 関係者
    • 研究者(臨床)
    • 研究者(統計、疫学)
    • 被験者
  • 実現化 awで3ヶ月くらいで作れた
  • 入力データを2箇所別々の目的で保存
    • 原本保証は実名保存
    • 匿名のDataLakeには匿名化して保存
      • ETL後に研究者に返す
      • 機械学習用データとしても活用
  • 利用AWSサービス
    • EC2
    • RDS
    • Glue
    • Lambda
    • S3
    • SageMaker

地域へのアウトリーチ

地域の課題

  • 行政データ分析 高齢者、障がい者エピソード予測
    • 健康度の推移を予測
    • 医療費予測
  • 地域高齢者に置ける救急時における情報検索
    • 緊急連絡先
    • 既住歴
    • 服薬情報
    • アレルギー
    • DNAR
    • 関係者間での情報共有(緊急搬送された患者の情報がかかりつけ病院には届いていない、といった問題の解消)

まとめ

当センターの選択医療開発や臨床研究支援において、AWSクラウドは十分活用できる

  • セキュリティ 痒いところに手が届いている
    • HIPPA法対応
    • 日本リージョン限定で環境構築できる
    • 法令やガイドライン対応
    • 裁判所を日本管轄にできる
    • SLA整備
  • 最新技術への対応スピード
    • 日本リージョンでも早く利用できる
    • サーバーレス
    • 迅速なシステム構築ができる
  • 運用コスト
    • アクセス件数が少ない運用ではコスト安
    • 研究優先度に応じてコストコントロールができる
    • 予算消滅時に中断が可能

感想

正直内容理解するのが大変でした。。が、法令や指針、ガイドラインで雁字搦めな医療業界においてもAWSは十分活用できるレベルにあるというお話を聞けて、改めてAWSの凄さを感じました。シーズ情報収集管理システムの意義を非常に感じたので、今後より発展、展開されていくことを期待します。