(レポート) AWS Cloud Roadshow 2016 仙台: 「今こそクラウド!いまさら聞けない AWS クラウド入門」 #AWSRoadshow

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はじめに

本記事は、2016年7月29日(金)に開催されたAWS Cloud Roadshow 2016 仙台の1つめのセッション「今こそクラウド!いまさら聞けない AWS クラウド入門」のレポート記事です。スピーカーはアマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 マーケティング本部 本部長、小島 英揮氏。

会場はトラストシティカンファレンス・仙台。ホワイエにはスポンサー3社とAWSの展示ブースがあります。

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開始前の会場。かなり横に広い会場です。このあとどんどんと来場者が集まってほとんどの席が埋まりました。東北も盛り上がってますね!

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レポート

はじめに

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今回初めて仙台でAWS CloudRoadshowを開催することが出来た。是非たくさんの情報を持ち帰って頂きたい。

クラウドとは?

今一度クラウドのポジショニングと、AWSでどんなことが出来るのか、なぜアマゾンがクラウドをしているのか?をご紹介したい。 今までのモデルでは、サーバやディスクなどのハードウェアを買って調達してきた。クラウドは買わないモデル。必要な時に必要なだけ、そしてそれが安く手に入ること。それがアマゾンにとって重要。

この話ではプライベートクラウドは含めない。手元にハードウェアを持つとクラウドのメリットが9割消えてしまう。持たないクラウドの話をする。

ここで質問。クラウドをまだ使っていないという人はいますか?(ここで手を上がったのは少数)予想より少ない。世間でクラウドを導入しているのは3割程度、クラウドを導入していない方は7割くらいいると言われている。

なぜクラウドを導入しないのか?一番多い理由が「必要ない」。これはおそらく質問が悪い。「必要ですか?」と質問するからこの答えが出る。「もっと楽にしませんか?」と聞けばほとんどの人がYesという。

なぜクラウドを導入するのか。一つは改善アプローチ。今まで出来ていたことを、より早く簡単に安くできる。もう一つがイノベーションアプローチ。今まで出来なかったことを実現できる。この2つがクラウド導入の大きなメリット。

SAPとERPをAWS上に導入するという例が非常に増えている。2、3年前では少なかった。何故か?SAPやERPはオンプレミスに導入してもクラウドに導入しても同じアウトプットが出る。コストダウンできる部分はインフラしかない。クラウド上に導入することでインフラコストを大幅に削減できることができる。

ビッグデータ分析もそう。ビッグデータ分析のインフラは稟議書が書きづらい。何故なら結果、効果がやってみないとわからないから。必要なハードウェアを揃えると高額になり、稟議が通りづらい。クラウドであればビッグデータ分析を安く早く開始出来る。稟議を通さなくても経費の範囲でスタートできる。これがイノベーションアプローチ。

楽になりたい、便利になりたいのは民間だけではない。仙台市では避難情報提供サイトをAWSで構築。災害が起きた時情報提供サイトにはアクセスが集中して見れなくなる。必要な情報が見たい時に見れない。何故か?普段のアクセスに耐えうるインフラを構築しているから。クラウドなら簡単にスケールが出来る。

なぜアマゾンがクラウドを提供しているのか?

クラウドを事業として始めた背景。ジェフ・ベソスがアマゾンを始めた時に書いたと言われるメモ。

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2つのサイクルがある。一つは内側のサイクル、品揃えによって顧客満足度が上がり、顧客数が増え、売り手の数が増えて品揃えが増える。もう一つは外側のサイクル、低コストで低価格なことが顧客満足度に繋がる。そこでアマゾンが最初に始めたのが本。本はどこで買っても同じ価値なので、より安くより探しやすくなっていれば買ってもらえるはずだと考えた。

今アマゾンで一番売れているのは家電。アマゾンが今やっているビジネスは薄利多売。それを実現させるために様々なデジタルシフトを行ってきた。それを支えているのがAWSクラウド。例えばAmazon.comのレコメンド、プライムビデオの大量のビデオストリームの処理、ダッシュボタンのコールを受けるためのスケール処理、Amazon Echo。

一番有名なのは、Amazon.comのバックエンドがAWSであること。ワールドワイドのセールであるPrime DayもAWSによって乗り切った。Amazonの配送センターではロボットが該当製品が入っている棚を持ち上げて運んでおり、このコントロールも全てクラウドで行なっている。

アマゾン全体で10年で10倍の成長している。アマゾングループ全体の売上の7%がAWSだが、アマゾングループ全体の利益の約半分がAWS。クラウドは儲からないわけではない。適正な価格で適切なサービスを提供すれば儲かる。以前はAWSが赤字だと言って使ってもらえないことがあった。今は確実に利益が出て、投資も出来るデータをお見せすることが出来る。 日本でもたくさんのお客様に使って頂いている。官公庁、製造、ゲームなど。東北の事例も多い。

なぜAWSが生まれたのか?

アマゾンの各事業部門の施策にはITが必要だが、各施策を擦り合わせるのは時間がかかる。調達にも時間がかかる。そこでジェフ・ベソスがミーティングをすることなく全てAPIで提供するように指示をした。これが成功し、非常に便利なものが出来た。それを社外にも提供し始めたのがAWS。

2006年3月にS3が開始。その後クラウドという呼び名が広まったが、S3にはCloudというキーワードが入らなかった。その後にリリースされたEC2にはCloudというキーワードをサービス名に入れた。それから10年、EC2はたくさん使われている。

AWSのサービスについて

EC2がユニークなのは従量課金と稼働率。使った分だけ課金される。また年間予約により割引されるリザーブドインスタンス、時価で提供されるスポットインスタンスなどがある。スポットインスタンスは飛行機の座席を埋めるのと同じ、空いているシステムを安く提供。ゲノム解析のような一時的に大量のリソースが必要な場合安く使うことが出来る。技術だけでなく、安く使ってもらうための仕組みも提供しているのがAWS。稼働率が高ければ安く提供出来るので値下げを実施。過去10年間で50回以上の価格改定を行っているが全て値下げ。

AWSが変えたもの。クリックするだけでサーバやストレージが調達出来る。AWSの日本での利用が加速したのが3つのサービス、VPC、Direct Connect、BYOL。VPCではAWS上に仮想的にプライベートなネットワーク領域を作ることが出来る。さらにDirect Connectを使えば閉域網でAWSと繋がることが出来る。さらにBYOLで既に持っているライセンスをAWSで使うことが出来る。企業システムの典型的なパターンがMISAWA様。既存システムの業務ソフトウェアをAWS上に持ち込み。また不二製油様では利用期間以外のサーバを停止することでコストを削減。

AWSでは70を超えるサービスを提供。仮想デスクトップ環境ではサーバの運用保守を考えることなくVDIが使える。モバイル向けのサービスを組み合わせることで安く早くモバイルアプリケーションの開発が可能。様々なマネージドサービス。データセンターからAWSへのデータ移行ではAmazon Snowballによって物理的にデータを運び入れることが可能。

IoTのバックエンドなど、Amazon EC2を使うことなくコードだけでシステムを動かすのがサーバレスアーキテクチャー。AWS Lambdaによって多くのシステムがサーバレスとなった。

クラウドを使うことでセキュリティが気になると思うが、AWSは多くのセキュリティの知見があり、それをホワイトペーパーなどで提供している。インフラのセキュリティはAWSにて担保。クラウドにすることでセキュリティレベルが上がる。

AWSのエコシステム

アマゾンはIntelと近しい関係になっており、Intelの最新CPUが世に出る前にAWSに適用される。アプライアンスやBYOLライセンスなど、多くのパートナーがAWSで製品を提供している。

パートナーにとってのAWS活用メリット

調達を最低限にすることでITプロジェクトにかかるコストや時間を最小化。またアプリケーションのチューニングより先にサーバの性能を簡単に変えて解決し、リスクを軽減出来る。その結果早く行動が出来るようになり、より多く提案の機会を得ることが出来る。

まとめ

AWSが選択される理由。セキュリティはクラウドにしたほうが向上する。クラウドにすることでコストがコントロールできる。コストも削減出来る。そもそも楽になるための仕組みがクラウド。