[レポート] ロボット工学は今どこまで発展しているか~AWSとNASA JPLでの事例を添えて~  #reinvent

[レポート] ロボット工学は今どこまで発展しているか~AWSとNASA JPLでの事例を添えて~ #reinvent

re:Invent2019のセッション、「ROB302 - Innovation in robotics: Insights from NASA JPL and AWS」のレポートです。
Clock Icon2019.12.17

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

こんにちは。AWS事業本部のShirotaです。

いつもの挨拶を省いてお届けしているのは、re:Invent2019のセッションレポートについて速攻でお届けしようと思っているからです!
今回はセッション、「Innovation in robotics: Insights from NASA JPL and AWS」についての内容をお届けしたいと思います。
re:Invent時に聞きたかったのですがスケジュールがうまく合わず、聞きそびれてしまったセッションです。動画が公開されていたのでそれを元にレポートをお届け致します。

それでは早速行ってみましょう!

セッション情報

セッション名

ROB302 - Innovation in robotics: Insights from NASA JPL and AWS

セッションの概要

We are in the midst of an age of innovation in the world of robotics. From autonomous ground robots to drones to robotic arms, robots are being used across industries in new and innovative ways. In this session, learn about leading use cases and forthcoming applications in robotics from experts from NASA Jet Propulsion Laboratory and AWS.

NASAのロボットと言えば、火星探査機の「InSight」などが有名でしょうか。
一体何のロボットのプロジェクトでAWSが関わっているのかが気になったのでAWSの事例紹介ページを調べたところ、「ATHLETE」というロボットの操縦過程においてAWSが活用されている事が記載されていました。
実際にNASA JPLのロボットやAWSの活用方法が聞けるセッションという事で楽しみです!

スピーカー

  • Bobbie Couhbor - Solutions Architect, Amazon Web Services
  • Tom Soderstrom - IT Chief Technology and Innovation Officer, NASA Jet Propulsion Laboratory
  • Michael Cox - Data Scientist, NASA's Jet Propulsion Laboratory

セッションを視聴する前に目を通しておくと面白い資料

AWS 導入事例: NASA/JPL の砂漠研究技術調査

JPL Robotics: Home Page

セッションの内容

Bobbie Couhborさんの導入トークで始まりました。

  • ここ十年でどれだけ技術が向上し、費用対効果が上がって来たか
    • クラウドのパワー
    • 機械学習を進める為の効果的なモデル
    • AWSの機械学習に基づく、特別なスキルセットを要しないサービス
      • Amazon Rekognition
      • Amazon Lex
      • AWS RoboMaker
        • 安価な3Dプリンターなどと併せてより手軽にプロトタイプの製造とシミュレーションが試せるようになった

ROS(Robot Operating System)とAWS RoboMakerの紹介

  • ロボット開発は難しく時間もかかる
    • 専門的な機械学習の知識が必須
    • プロトタイプの作成の繰り返し
      • 後述するシナリオを多数考慮した結果必要になる
    • 設定や準備に多くの時間を費やす
    • 様々なシミュレーションに対応する為の大規模スケーリング
    • アプリケーションのマネージドシステムを統合する為の反復活動
  • AWS RoboMakerの紹介
    • re:Invent2018で発表されたサービス
    • 前述した大変さをAWSを利用し軽減できる
    • ロボットアプリケーションを簡単に作成・開発・デプロイできる
    • 勿論物理環境や物理ロボットに対しても使える
    • サービス周りについて
      • ROS(オープンソースのロボット工学ソフトウェアフレームワーク)向けのクラウド拡張機能が充実
        • Amazon RekognitionやAmazon Lexなど
        • 開発環境はCloud9 IDEをベースにしている
      • シミュレーションの素早い水平展開・フィードバック収集が可能
  • ROS入門
    • 10年以上前(2007年)に開発されたオープンソースのロボット工学ソフトウェアフレームワーク
    • パッケージの一例
      • 簡単なデバイスコントロール
      • メッセージ通信
    • Gazebo
      • ROSと親和性の高いグラフィカルなシミュレータ

ロボット技術界隈の現状:前編

  • 無人地上車両
    • 一般的なユースケース
      • 物流倉庫
        • Amazonの倉庫で働く「Amazon Robotics」
        • 商品のピックアップを自動化
        • 変化の少ない環境で決められたルートを動くタイプ
      • 宇宙探査
        • Mars rover(火星探査車)
        • その場の環境を考慮して行動パターンを決定する
      • 農業
        • 自動種まき機
      • 商品配達
      • 掃除ロボット
    • 決められたルートを自動で動くもの(AGV)もあれば自律型のモバイルロボット(AMR)も
    • AMR(自律走行型ロボット)のデモ動画
      • 環境が変わった際に、ルート変更を自分で行ったりする様子も見られた

ここで、話者がJPLのTom SoderstromさんとMichael Coxさんに交代しました。

JPLの紹介

Tom Soderstromさんですが、こちらのセッションでも登壇され同様のお話をされていました。参考にどうぞ。(こちらのセッションは現地で聞いたのですが、とても熱量があり楽しいセッションでした!)

【レポート】AWS Ground Stationで天体物理を始めよう #NET308 #reinvent

  • 1936年に前身となったプロジェクトが立ち上げられた
  • 元々は軍事目的の開発がメインだったが、ロシアのスプートニク打ち上げ(世界初の人工衛星)を受け、宇宙開発へ力を入れていくことに
    • 宇宙に関するミッションについて

▲ あの土星探査機カッシーニの話も!

  • NISAR(地球の表面を解析するプロジェクト)について

これは、re:Invent2017にあったセッションレポートを読むとより分かりやすくなるかと思いますので参考にどうぞ。

【まとめてみた】EarthOnAWS How NASA is Using AWS #STG205 #reinvent

  • 火星探査機InSightについて
  • MARS 2020 ROVERについて(AWSが共同スポンサーなので名付け親になるかも?)

▲ 2020年ローンチとのこと。楽しみ!

  • まだ3分程度しかバッテリーが持続できないが、火星で飛ばすヘリコプターロボットも開発されている!
  • 宇宙探査分野は大いに変革してきている

ここからは、Michael Coxさんに話者が交代しました。

オープンソースのRover(探査機)プロジェクトについて

  • 実際に、6輪で上手く足場の悪いところを走行するRoverの映像を見せてくれた
  • 誰でもこのRoverがCOTS(商用オフザシェルフ)品で作れるように!

▲ 実際に提供されているオープンソースはこんな感じ

  • コミュニティは世界中にある
  • GitHubの利用も盛ん
    • 900以上のforkがあり、issueも140以上がクローズまで言っている
  • NASAが提供している実際のRoverのオープンソースのページ紹介

JPL's Open Source Build-It-Yourself Rover

  • AWSのセッションということで、2019年12月2日(現地時間)-2020年2月21日まで開催するバーチャルハッカソンの紹介
    • 足場が悪く、事前のマップ情報もない状態でRoboMakerを活用してRoverが障害物を避けて目的地につけるようにする

AWS NASA JPL Space Challenge

ここで話者がBobbie Couhborさんに戻りました。

ロボット技術界隈の現状:後編

  • ロボットアーム
    • 一般的なユースケース
      • 物流倉庫
        • 商品のピックアップ
      • 工場
      • 宇宙探査
        • 物質の回収
      • 医療現場
      • 災害現場
    • ロボットアームに必要なコンポーネント
      • 奥行きの可視化・知覚
        • RGB-Dカメラを使用する
      • 空間移動の為のモーション計画
        • MoveIt!Framework
      • 物を掴むアーム要素
    • 実際に缶を掴んで移動させるシミュレーションのデモ
    • シミュレーションを物理アームに適用、実践
  • ドローン
    • 一般的なユースケース
      • 物流
      • 個人的な楽しみ
        • FPVレーシング
          • ゴーグルをつけ、ドローンに乗っているかのような映像を楽しみながらやるレース
      • 農業
        • 自動種まき機
      • 空撮
      • 救命活動
        • 被害者を探し、救出する

▲ ドローンを用いた空撮システムのアーキテクチャ紹介

AWSを用いたロボット工学が発展することによりどうなるか

  • 大きな可能性を持って動ける
    • ロボット工学が解決してくれる問題があるかも
    • あれやこれやと検討する時間が減らせる
      • ロボット工学は難しく近寄りがたい面もあるが必要なもの
  • スモールスタートが可能
    • ROSはAWS Educate等で学べる
    • AWS DeepRacerやMarsRover、RoboCupと触れるサービスがいっぱい
  • 迅速に構築できる
    • "don't reinvent the wheel"
      • 無駄な再構築に時間を割かれずに済む
    • AWS RoboMakerの豊富なサンプルアプリケーションなどに力を注いでいる

セッションを視聴して

私はRoboMaker周りに明るくなかったのですが、具体的なユースケースやデモ動画、興味のあった宇宙関連でのロボット工学の話題をいっぱい話して貰えた事によりRoboMakerやロボット工学でどのようなものが必要になるのかと言ったイメージが具体的に掴めて楽しくセッションを聞くことができました。

バーチャルハッカソンの存在も知ることができた事も、このセッションでの大きな収穫でした。
これを機にRoboMakerにも触っていきたいと思いますし、このレポートを読んで興味を持ってくれる人が増えたらとても嬉しいです!

Share this article

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.