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[レポート]『最高の顧客体験の創造』を実現するための千葉銀行の取組み #SWTTokyo25
2025年9月11日~2025年9月12日に、「SNOWFLAKE WORLD TOUR 2025 - TOKYO」が開催されました。
本記事はセッション『最高の顧客体験の創造』を実現するための千葉銀行の取組み のレポートブログとなります。
登壇者
- 千葉銀行 デジタル戦略部 シニアエキスパート
- 渡辺 光美 氏
- 千葉銀行 デジタル戦略部
- 竹鼻 啓人 氏
千葉銀行の紹介
- 基本情報と企業文化
- 1943年設立の地方銀行で、本店は千葉県千葉市に位置
- 従来の銀行のイメージとは異なり、オープンなワークスペースで自由な発想を促す企業文化
- 主な取り組み
- デジタル・非金融サービスの推進
- 「ちばぎんアプリ」のようなデジタルインフラに加え、「ちばぎん商店株式会社」などの非金融サービスの拡充も進めている
- 新技術の導入
- メタバース空間の活用など、先進技術を積極的に取り入れている
- 地域貢献
- コワーキングスペースを提供し、地域のスタートアップ支援や企業マッチングを促進
- デジタル・非金融サービスの推進
- パーパスとビジョン
- パーパス:「一人ひとりの思いを、もっと実現できる地域社会にする」
- ビジョン:「地域に寄り添う エンゲージメントバンクグループ」
- 行動原則:「三つの誓い」に基づいた行動指針・行動原則により、パーパスとビジョンを達成するための取り組みを推進
DX戦略、AI活用推進の全体像
千葉銀行の DX 戦略は、ビジョンである「地域に寄り添う エンゲージメントバンクグループ」に基づき、以下の二つの柱で構成されている。
- パーソナライズ戦略:顧客一人ひとりに最適なサービスを提供することを目指す
- 地域エコシステム戦略:地域の事業者と個人を結びつけることで、地域経済の活性化を目指す
これらのDX戦略を加速するため、AI の活用に注力している。
- 組織体制
- デジタル戦略部内に「AIソリューション室」を設置し、エッジテクノロジー株式会社を子会社化するなど、AI の取り組みを強化
- 人材育成
- 独自の教育ソリューション「AIジョブカレ」を導入し、AI 人材の育成を進めている
- 将来的には、日本ディープラーニング協会の「G検定」の全職員取得を推奨することも検討
分析・マーケティング基盤の構築
- データドリブンな営業活動への移行
- 前提として、デジタル取引の増加により、デジタルのトランザクションデータから顧客の行動や関心がわかり、解像度が高まっているという背景がある
- 目指す姿
- デジタルデータとリアル(営業店)を掛け合わせすことでお客様の解像度を高め、最適な提案を行う
- このためにも、複数のシステムのデータを一元化し、デジタルマーケティング担当者や営業店にタイムリーに連携する必要があった
- 基盤の構築
- Snowflake をデータウェアハウスとして採用し、Treasure Data(カスタマーデータプラットフォーム)と連携させている
- 開発期間
- 1年以内で構築
- Snowflake の評価
- 選定理由
- リソースの拡張・縮小が柔軟で、インフラ管理がシンプル
- 評価
- 日々運用していても非常に使いやすく、処理速度も速い
- 進化のスピードが非常に速く、まずはクラウド上のデータ統合を想定していたが、基盤リリース時には生成 AI・アプリケーションの作成もできるようになっていた
- 選定理由
AIアプリケーションの作成事例
- 概要
- ここから竹鼻氏が、顧客理解を助けるために内製開発中の AI アプリケーションの紹介、デモを実施
- AIアプリケーションの目的
- 営業店の方が顧客の取り組みを理解するためのダッシュボードを展開しており、このデータ理解を助けるためのアプリケーション
- 利用例
- AIによるお客様理解のサポート: お客様のデータに関する質問に、AI が分かりやすく回答
- 最適な商材の提案:裏側の機械学習モデルが、お客様に合った商材を提示
- トークスクリプトの自動生成:営業店員がお客様と対面する際に利用できるトークスクリプトを AI が作成
- 開発
- Snowflake の Streamlit 機能を利用し、内製で開発
- 開発における Streamlit の利点
- 高速なフィードバック:リアルタイムで実行画面を確認でき、試行錯誤がスムーズ
- 新機能による実装:Snowflake のコミュニティが活発なことで、開発者が素早く新機能をキャッチし、実装できる
- データファースト:データフレンドリーな UI でビッグデータの所在や関係性を把握しやすい
- 権限管理:ロール設定が容易で、安全に開発を進められる
これからの展開
- 将来像
- これまでの戦略的な取り組みを大切にしつつ、AI 機能を業務に取り入れ、銀行全体を進化させる
- 目標
- 既存業務の高度化、コンサルティングスキルの向上、そしてデータ・AI を使いこなせる人材の育成を継続的に行う
- 今後の基盤の役割
- グループ連携基盤として拡張:千葉銀行グループ全体のデータを Snowflake に集約し、グループ横断のデータ分析や施策立案を行う
- AI・機械学習向けの統合プラットフォーム:Snowflake 上で AI モデルの開発からアプリケーションへの展開、運用までを効率的かつ安全に行う
さいごに
組織の DX 戦略から、実践的な AI 機能を業務に取り入れた事例を紹介いただいたセッションでした。
個人的に印象的だったのは、データ基盤構築に留まらず、その基盤を活かして現場業務に直接役立つデータ利活用を実践している点です。
内製開発中の AI アプリケーションによる「トークスクリプトの自動生成」のような応用を試されているのは驚きでした。これにより、一部の行員だけではなく、全行員が AI 人材となるための取り組みが現実のものとなっているのだと感じました。