【書評】「AWS業務システム本」はAWSで本番環境を構築・運用するための体系的な知識が得られる良本

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ども、大瀧です。
先日発売された書籍Amazon Web Services 業務システム設計・移行ガイド(Informatics&IDEA)を購入したので、その感想をご紹介します。

IT経験者向け

既存業務システムをいかにAWSに移行するかがテーマなので、ある程度のITシステムの知識がないと「システム移行」をイメージするのが難しいと思います。AWSの知識・経験は不要なので、「今はオンプレミスのシステムを扱っているのだけど、これをAWSに持っていったらどう運用できるのだろう?」という疑問への回答がきっと見つかるでしょう。

経験に裏打ちされたユーザー・担当者目線のベストプラクティス

本書籍の執筆陣は現役SIerのコンサル・エンジニア陣とあります。業務システムの移行をテーマとするAWS書籍にはAmazon Web Services企業導入ガイドブックという定番書籍がありますが、あちらがクラウドベンダーによる教科書的な視点とすると、本書籍はSIerやユーザー企業の担当者目線に立った現場視点の書き味が大きな魅力です。ビジネス面での調整やドキュメント整備など、ときおり垣間見える泥臭いコメントにいちいち執筆者の実感がこもっており、同業として同感を禁じ得ない場面が多かったですw

また、設計から構築、運用までの各フェーズについての解説が万遍なくあるのも良いですね。「AWSでできること、AWSサービスの概要はわかったんだけど自分達のシステムにどう落とし込むのかが想像できない。移行プロジェクトを進めていく中でひっかかったときに上司とどう話せば進められるのか、とっかかりが掴めない」といったニーズに応えられそうです。

イチオシの内容

個人的にいいな、と思った内容は以下です。

Chapter2 全体設計(管理方針と移行計画)

移行にあたって検討するべき、知っておくべき項目がぎゅっと圧縮された要約と言える章です。情報密度が高いのに30分程度でさらっと読め、3章以降へのインデックスとしても機能しているのが素晴らしい。

Chapter3 アカウント管理と権限付与

本番利用の大前提となるAWSアカウントの複数構成について、ここまで詳細に解説した書籍は随一だと思います。特にAWS Organizationsについては英語含めて希少性の高い資料では。必読。

Chapter4 ネットワーク接続の設計・構築・維持管理

AWS Direct Connectのノウハウがこれでもかと詰め込まれていて、これも希少性の高い資料だと思います。この章を読むと経路数の上限100を嫌でも憶えてしまうはずw 新しい機能であるAWS PrivateLinkについて触れられているのも良いですね。一方でNLBが一切出てこないのも、ある種の判断や意図と感じましたw

Chapter7 運用監視の設計・実施

AWSの運用監視に関する情報はサービスごとに分断されがちなので、体系的に紹介しているのが良いと思います。特にAWSサポート関連の解説がとても丁寧で好感が持てました。欲を言うと、CloudWatchのカスタムメトリクスはレガシーなPerlスクリプトよりもCloudWatch Agentを用いる方が良いかなと思いました。

まとめ

「AWS業務システム本」についての感想をご紹介しました。AWSへの移行を検討しているユーザー企業のエンジニアの方は迷わず買い、です!

ただし、Kindle版はいわゆる「固定レイアウト本」な点に注意してください!