クラスメソッドが抱えていた組織の悩みを解決したProflly

クラスメソッドが抱えていた組織の悩みを解決したProflly

2014年から10倍に拡大したクラスメソッド。私達は急成長する中でいくつもの悩みや課題を抱えてきました。本記事では私達が抱えていた組織の悩みをお伝えし、またその解決策として私達が開発しているProfllyというサービスをご紹介します。
Clock Icon2021.03.16

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はじめに

私がクラスメソッドに入社したのは2014年1月。当時は社員数も50人程度で、オフィスは東京にしか無く、和気あいあいと仕事していました。しかしその後組織は急成長。2017年末には100人、2019年頭には200人と急増しました。現在では日本本社だけで350人、グループ全体で500人弱と、2014年から比べて10倍に成長しています。

多くの企業が経験することだと思いますが、クラスメソッドも急成長する中でいくつもの悩みや課題を抱えてきました。本記事では私達が抱えていた組織の悩みをお伝えし、またその解決策として私達が開発しているProfllyというサービスをご紹介します。

クラスメソッドが抱えていた組織の悩み

社員50人

前述の通り、2014年時点では社員は50人程度でした。エンジニア部門が3つと総務部門、計4部門というシンプルな組織体制で、各部署の人数が十数人と小ぶりであり、ピープルマネジメントも部長が各部に1人いれば充分回せる規模でした。

この頃は同じ部署のメンバーは当然、他部署でもほとんどの人の顔と名前が分かっていました。全社員が参加する食事会を通じて会話する機会も多く、誰がどんな仕事をしているのかとか、同じ趣味を持つメンバーが誰かなど、組織内の見通しがクリアな時期でした。各部署の人数が少ないので泊りがけのイベントも開催しやすく、開発合宿が頻繁に行われており、その中で関係性を深めることができました。

率直に言えば、会社内の人間関係の密度が最も高いのは50人以下の組織ではないかと私は思っています。

社員100人

2017年末、クラスメソッドは社員数が100人を突破しました。そしてここが、大きな分岐点であったと思います。

部署の人数が30人を越えるようになった結果、部長1人でピープルマネジメントすることが難しくなり、ミドルマネージャーの配置とチーム分割が行われました。すると、チームの中では濃密なコミュニケーションが行えるものの、チームを跨いだコミュニケーションは徐々に薄まってきました。部長も自分の部署のメンバーの把握で一杯一杯になってしまい、他部署のメンバーは段々顔と名前が一致しなくなっていきました。部長以上の経営層も同様で、最近入ったメンバーと喋る機会が無くなり、結果として名前を覚えられないという状況になりました。

以前は四半期に一度行われていた全社食事会も、100人が入れるお店を確保するのが難しくなり、飲食店からイベントスペースへと変わっていきました。100人もいる場所ではなかなか会話したこと無い人と話すのが難しく、いつも一緒に仕事しているグループで会話が行われているシーンが目立つようになりました。開発合宿も同様で、人数が増えれば増えるほど宿泊先の確保が難しくなり、開発合宿の規模を少人数に分割した結果、濃いコミュニケーションをする相手はどんどん減っていきました。以前は広く募っていた趣味の集まりも、段々小さなグループになっていきました。

社員200人

2019年頭に社員数が200人を越えました。また、日本の各地域にオフィスが出来上がり、海外子会社が設立されました。

こうなると、全員が同時にコミュニケーションを取るのは、距離的観点からも時差的観点からも諦めざるを得なくなりました。全員が集まれるスペースが確保出来ないので、全社員が一度に集まる食事会はもう出来ません。リモート中継しながら行っていたイベントも、時差の関係で全員が参加することは不可能です。

増加する人数に合わせて部署もチームも分割する必要性にかられ、濃いコミュニケーションを取る相手は一定で、顔や名前を知らない人がどんどん増えていきます。同じチームでも全国各地にメンバーがいるため、開発合宿に大きなコストがかかるようになってきました。特に遠方から参加する方はどうしても数日家庭を留守にせざるを得なく、家族への負担がかかるようになりました。

そして、事業拡大に伴い、他部署がどんな事業を行っているのか、他部署のメンバーがどんな仕事をしているのか、全てを理解することは難しくなりました。

全社員在宅勤務

そして2020年。コロナ禍は私達の生活に大きな影響を与え、2020年2月からは全社員在宅勤務となりました。新しく入ってくるメンバーは入社初日から在宅勤務で、一度もオフィスに出社すること無く、誰ともオフラインで顔をあわせる事無く、業務が開始されます。結果として、顔が分からないメンバーが増え、他部署の場合は名前を覚える機会も無くなりました。新しいメンバーは入社時に自己紹介をするので趣味やスキル等を他の人に伝える機会がありますが、逆に新しいメンバーが同じ部署ではない既存メンバーの人となりを知る機会はありません。

コミュニケーション手段がオンラインツールしか無いので、オンラインコミュニケーションを促進しようと色々な施策を行ってみますが、そもそも互いの人となりを知る手段が無いのでコミュニケーションが発生しません。そして知らなくても業務に支障が無ければ、多くの人は努力してまで他者を知ろうとはしません。そのような無関心さがモヤのように広がっていることに、マネジメントメンバーは強い危機感を感じていました。

僕たちが抱えていた課題

整理します。私達が抱えていた課題は以下のようなものです。

  • 同僚の人となりが分からないのでコミュニケーションを取るきっかけがない。
  • 同僚の仕事内容や、興味のある分野が分からない。
  • 結果、同僚に関心が持てない。

マネジメントメンバーも、別の課題を感じていました。

  • メンバー同士の無関心さから、一部で非効率なやり取りが発生している。
  • メンバー同士の無関心さが、会社への無関心に繋がっているように見える。
  • メンバーとコミュニケーションを取りたいのに、きっかけとなる情報がない。相手のことが分からない。

この頃、私がメンバーから言われてハッとした言葉があります。「同僚とコミュニケーションを取らなくても仕事に支障が無いから問題無いんだけど、どんどん色んなことに無関心になっている」でした。コミュニケーションは必ずしも必要なものではないし、苦手な人は無理にする必要はありません。しかしコミュニケーションは思考に刺激を与える手段です。よく認知症予防にはコミュニケーションが大事と言われますが、思考が自分自身でクローズしてしまうとそこに刺激が無くなり、結果的に好奇心や関心が薄れていってしまいます。程度差はあれ、ある程度のコミュニケーションは誰にとっても必要であると私は思います。

解決策の検討

この状況を解決する方法の検討を開始しました。私達が必要としたのは以下のような、とてもシンプルなものでした。

  • メンバーのプロフィールを簡単に検索出来る。
  • メンバーのスキルや趣味が確認出来る。
  • スキルや趣味でメンバーを検索出来る。

まずは市販のプロダクトを調査したのですが、私達のニーズにマッチしませんでした。どのプロダクトも非常に高機能で、かつ高価でした。多くの社員プロフィールサービスは、HRや人事考課に直結しており、大企業の業務改善に繋がる多種多様な機能を有していました。しかし私達が求めていたのは社員同士のコミュニケーションの促進であり、人事労務管理ではありません。

そして私達は、私達が必要なサービスを、私達自身で作る決断をしました。

Profllyについて

上記のような私達が抱えていた課題を解決するために作ったものが対話でカルチャーを強化するサービス、Profllyです。

作ろうとしたもの

  • 対話の機会を作ることで企業カルチャーを強化する
  • シンプルなクラウド社員名簿
  • 日々のステータスを登録可能、健康状態や調子がひと目で分かる
  • 社員同士で感謝を伝え合うことでコミュニケーションを促進
  • 社員が急増しコミュニケーションが課題になってきている20名〜300名程度の中小企業向け

作ろうとしなかったもの

  • 人事労務管理の機能は持たない
  • 人材採用や育成、教育の機能は持たない
  • 直接的なコミュニケーション機能は持たない
  • その他、複雑な機能は持たない

作ったもの

  • メンバー同士が対話するための情報を簡易に入手出来る
  • メンバーが他のメンバーに対して関心を持つきっかけを作る
  • メンバーが他のメンバーに対して関心を持っていることを可視化する

組織内での導入

全社員のアカウントを会社側で作成し、ログインとプロフィール登録を依頼しました。その際、可能な限り顔写真を登録することとしましたが、必須とはしませんでした。Slackアイコンでも同様の課題が起きがちですが、自分の顔写真を広い範囲で出したくない人は一定数います。これを強制すると一気に利用されなくなるので、お願いベースとしました。

プロフィールに記載する文章量や趣味やスキルとして登録されるタグの量は、人によってまちまちですが、実際に使って利便性を感じた人ほど多く登録しています。ここも特にルールは設けず、自主性に任せました。例えば同じ質問をよくされるような場合は、その回答をプロフィールに登録しておくことで煩わしさが軽減します。そういった成功体験が増えれば、自然に利用するケースは増えます。もちろんそれでも一定数顔写真を登録しなかったり、プロフィールを登録しない人はいますが、命令で強制はしませんでした。何度も言うようですが、Profllyは管理するツールでは無く対話を促進するツールなので、強制しないほうが利用は進みます。

作ったことによる成果

新しいメンバーのことを誰もが簡単に知ることが出来るようになりましたし、新しいメンバーも既存メンバーのことを簡単に知ることが出来るようになりました。全メンバー参加可能なLT大会等のイベントでは、スピーカーが他部署の人でもその人となりを知ることが出来ます。

クラスメソッドでは「誰とでも1on1」という制度があり、部署を跨いだ1on1のリクエストがあるのですが、事前に相手のプロフィールを把握することでスムーズに雑談出来るようになりました。日々のステータス登録によって、その人の体調や調子が把握できるようになりました。趣味用のSlackチャンネルでは、会ったことのない他部署の人とも気軽に雑談出来ますし、必要あれば相手のプロフィールを確認することで、相手のことをもっと良く知ることが出来ます。

またまだ途上ではありますが、対話の促進という成果は少しずつでも出てきていると実感しています。関心が関心を生み、そこから新たな対話が生み出されています。

さいごに

私達はこのProfllyによって、急成長する中小企業の皆さんが抱える課題を解決することで、皆さんの創造活動に貢献することができると考えています。Profllyが皆さんの組織の悩みを解決することで、皆さんは本来のビジネスに注力ができると確信しています。

2021年7月1日 追記

このProflly、おかげさまで正式リリースいたしました!

リリースに向けてご協力頂いた企業様、ありがとうございました。皆様、正式版となったProfllyをどうぞよろしくお願いします。

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