流行りの「シェア電動キックボード」にベルリンで乗ってみた!(日本でも試乗可能!)

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「キックボード」発祥の地に「シェア電動キックボード」が上陸!

ベルリンの「のび田」です。突然ですが、「キックボード」ってみなさん覚えてますか?90年代後半から2000年代くらいまで日本を含め、割と世界中で流行っていましたよね。あれ、実はドイツが発祥みたいなんですよ。当時ドイツではスケートボードの人気がいまいちだったので、スケボーの入門用として開発されたのが始まりという説があります。確かに言われてみるとスケボーにハンドルつけた感ありますね。

で、去年あたりからサンフランシスコを筆頭にベイエリアでシェアリング電動キックボードが流行り出しており、一時全盛期を迎えたシェア自転車をも淘汰しつつあったり大手のシャア電動キックボード会社が競合他者を買収したりと、かなりお金の動きが激しい業界となっています。で、そのシェア電動キックボードが遂に先月ドイツベルリンで解禁されました!

ヨーロッパでは既にフランスのパリやオーストリアのウィーン等ではしばらく前から街中にシェア電動キックボードが溢れており、MaaS (Mobility as a Service) の代表格やマイクロモビリティの手段の一つとして脚光を浴びる反面、交通事故の発生や街中に急増した電動キックボードの数に対し住民の反発するなど、賛否が別れています。

ちなみに、電動キックボードの名称についてですが、英語だと「e-Scooter」や「Electric Scooter」なので正しい翻訳は「電動スクーター」ですが、日本人には電動キックボードの方がイメージしやすいですね。ちなみにベルリンでも英語で「e-Scooter」や「Electric Scooter」というと人によっては電動の原付バイクをイメージする方も多いので、日本風の「電動キックボード」は割とわかりやすいネーミングかと個人的には思ってます。

今回はドラえもんの道具っぽいテクノロジーに目のない「のび田」が各社の電動キックボードを乗りその利便性や今後の展望について考察したいと思います!(追記:実は日本でも局地的にシェア電動キックボードの導入が開始されているようです。記事最後に追記しました!

シェアリング電動キックボード各4社

街中をみた感じだと現在ベルリンには4社のシェアリング電動キックボード会社があります(2019/7/7時点 @ベルリン)。色被りしないようにするのがマーケティング戦略のボトムラインな気がしますw。では、左から順に紹介してきます。

ベルリンではドイツやヨーロッパ資本のサービスが目立つ

① Lime

シェア電動キックボードの本場シリコンバレー発でパイオニア的なスタートアップである「Lime」。 ヨーロッパでもシャア電動キックボードが利用されてる多くの都市で利用可能。 ただし本拠地サンフランシスコでは市の規制によりサービスを展開できなくなっているという。。。

② Tier

ベルリンに本拠地を置き、ドイツ各都市で存在感の強い「Tier」。 なんとなくフォントの感じやがっしりしたキックボードの作りがドイツっぽい印象。 ドイツではLimeと並んでシェア電動キックボード事業の先駆けのスタートアップで既に計約3000万ユーロを調達済み

Circ(旧Flash) Bird

同じくベルリンに本拠地を置くのが「Circ(旧Flash)」。 Circはフードデリバリー業界大手のDelivery Heroから派生したスタートアップ。 一番後発のサービスでありながら、つい先月開始4ヶ月で100万人の利用者を記録したとのニュース。 ※2020年1月に後述Birdに合併吸収されました。

④ Voi

スウェーデン発で北欧を中心にサービスを展開してるのが「Voi」。 前述のCircと色が若干被り、ぱっと見CircなのかVoiなのかわかりずらく、より蛍光色なCircに見劣りする印象。 レンタル用に駆動時間の長いキックボードを開発し、シャアリング事業に本腰を入れてる模様。

価格の違いはほぼなし

価格は各社どれもキックボードのアンロック(解錠)に1ユーロその後1分毎に15セントという価格で統一されています。 なので10分乗ると、2.5ユーロ掛かる計算です。

その他キックボードのサービスエリア外にキックボードをパーク(駐輪)するとペナルティが発生します。

じゃあ早速乗ってみた!

ベルリンではまだシェアリング電動キックボードが登場して間もないとのことで、各社利用者を増やそうと様々なプロモーションを行なっています。上記4つ目に紹介した「Voi」が今週末ベルリンで最初の30分無料のキャンペーンを行なっいたので(かつVoiはまだ乗ったことがなかったので)、Voiに乗ってみました!

まず、アプリをダウンロードし開くと、いきなり現在の地図とキックボードの位置が表示されます。

ちなみに余談ですが、これキックボードの数としてはすごい少ない方です。理由としては週末の夕方だからかなと思います。 土日祝日は日中帯の利用者が多いので、充電切れになったキックボードがすでに回収され道端にある充電の残りがあるものが数として減っていると推測されます。大抵夜間にまとめて回収され充電されるので、夜中から早朝にかけてはシェア電動キックボード自体利用できないことが多いです(飲酒運転を防ぐ効果もあり一石二鳥なのでは?)。

まあ、余談はさておき、まず、お目当のキックボードを探します。注目するのはバッテリーの残量です! どれくらいの距離乗るのかにもよりますが、乗ってる途中にバッテリー無くなると面倒なので、十分なバッテリー残量があるものを探します。

日曜の夕方にも関わらずバッテリー95%のキックボードを見つけました(※ただこのキックボードは私の現在地からは遠かったので、一番近くにあった残量30%のキックボードを選びました。果たして30分乗り切れるのか...)

お目当のキックボードの位置まで移動し、画面下の「Scan to ride !」を押し、キックボードのハンドル部分にあるQRコードを読み込みます。

ちなみに下の写真はVoiではなくLimeのものです(検証時は暗く写真写り悪かったため)。Limeのキックボードは真ん中の棒の先に電光のスピードメーターがついており、スマートウォッチっぽく結構かっこいいです(走行中は下を向いている暇ないので、あまり役に立ちませんがw)。

QRコードをスキャンし、スクーターをアンロックしたら、Rideの開始です! voi のプロモは30分無料ということだったので、30分を堪能しようとベルリン中を駆け回ります!

スピードですが、大抵の場合時速20km以下に制限されており、だいたい早くても時速15kmぐらいの印象でした。 自電車で割と急がないで漕いでるスピードと変わらない感じですね。

ちなみに電動キックボードは自転車と違い、両手でしっかりハンドルを掴まないとバランスを崩し、転倒する危険があります。 走行中のスマホ等の操作は超危険です。

さて、そろそろ時間かなと思い、アプリの画面を確認してみると、まだ30分には至っていないもののキックボードの残量が16%まで減っています。私がアンロックしたキックボードは残量が30%だったので、24分ほど走り回ったところで、残量がすでに16%になっていました。30分走りっぱなしだったので、それにしてはまあまあの減り具合なのかなはとは思います。

ちなみに地図上で赤く囲まれたエリアが見られるかと思われますが、赤く囲まれたエリアはパーク不可のエリアとなり、走行することは可能ですが、パークしてライドを終了することはできません。ですので、基本的には赤く囲まれたエリアを除いたサービスエリア内でのキックボードの使用が推奨されています。

キックボードを歩行者や車の邪魔にならないような場所にパークし、画面下の「Lock Voi」をタップし、ライドを終了します。

ライドを終了すると、上のようにカメラが起動し、乗り終わったキックボードをパークした様子を写真にとるような指示があります。 写真をとって送信するとライドは終了です。

最後に、乗り心地を評価するように聞かれます。楽しかったので気分良く評価すると、ついでにアプリ自体の評価をするように聞かれるので、面倒な方は飛ばしましょうw

これで無事シェア電動キックボードを乗り終えました!

乗ってみた感想と考察

楽しい!... けどちょっと遅いし割と危ないw

まあこういう乗りもの楽しいですよね。個人的には名探偵コナンが使うターボエンジン付きスケボーに乗ってるような感覚が得られました(ここでキックボードがスケボーの入り口であることを実感w)。ただ時速17kmとなると自転車ゆっくり漕いでいるくらいなので、まあ急いでる時にはまず使わないかなという感じです。

ちなみに、イスラエルのテルアビブでは行政の規制が緩くキックボードの時速が25km近く出ましたw。自転車など余裕で追い越せるレベルです。テルアビブの場合、ピーク時間帯に街中で車の渋滞が多いので、電動キックボードがタクシーに変わるオートバイの簡易版として市民に広く利用されています。ですが、ヨーロッパの都市は大抵速度が時速20km以下に抑えられていますので、割と遅めです。

また、使用者また歩行者両者にとって割と危険が伴います。電動キックボードに乗ってる際は片時もハンドルから手を離すことができません。片手を話した場合、自転車と違い一瞬でバランスを崩します。いくら時速17kmとはいえ、そのまま転ぶと怪我しますし、走ってるところが車道か自転車レーンですので後続の車や自転車を巻き込んだ事故を起こす可能性があります。さらに、自転車レーンや車道での走行が義務ずけられているとはいえ、歩道を走る人もかなり多いので歩行者との接触事故も起こりえます。

まあ乗り物系は事故がつきものですが、自転車よりも低い安定性歩道での走行を誘発しやすい点は電動キックボードならではのリスクかなとは感じました。初めての場合は広場や公園など広くて障害物が少ない場所で練習してからの使用がオススメです!

シェア電動キックボード選びのポイント

どのシェア電動キックボードも価格が同じとなると、じゃあどのキックボードでもよいかと私は当初思っていましたが、いくつか着目点がわかってきたので、以下紹介します。

1. 近くに利用可能なキックボードがあるか、また行き先がサービスエリアに含まれているか

まず、近くに利用可能なキックボードがあるかどうか重要ですよね。その際に着目する点がキックボードのバッテリー残量です。 乗る距離と時間にも依りますが、バッテリーが十分にあるものを選びます。

また、シェア電動キックボードは各社サービス提供エリアが微妙に異なります。行き先をアプリ上の地図で確認し、サービスエリア内であることを確認します。

2. 初回ライド無料や知人紹介により無料になるなどのプロモーションがあるかどうか(特に初回の場合)

シェア電動キックボードはかなりの競争が激しいので各社定期的なプロモや知人紹介による初回無料特典などを用意しているところもあります。 私が今回試乗したVoiなどは今週末最初の30分無料乗り放題のプロモを行なっていました。アプリをダウンロードしておくと、Push通信でプロモのお知らせが入ります。

知人紹介による無料ライドの特典である無料ライドコードを下記転記しておきます。 シェア電動キックボード街中で見つけた際は是非お試しください!

LimeTier | Voi | Bird | Wind (プロモコード [K6WXEAZ]) ※Windは日本でサービス開始済み

3. 乗り心地や操作性などハード面での違い

電動キックボードは乗り心地や操作性などがハード面でもある程度違いが出てきます。車体が低くタイヤが小さいことから、ちょっとした段差でも越えるのが危ないことがあるのですが、ハードによってはサスペンション的な機能があり、ある程度衝撃を吸収してくれたり、またタイヤの滑りやすさ等が違ってきます。

また、アクセルとブレーキの操作性は各社によりけりです。一通り全てのサービスを使ってみて乗りやすく操作しやすいものを探してみるのがオススメです。私の乗った感覚ですと、Limeは若干他のキックボードより重めで段差を越えた時の衝撃が結構じかにきますが、そのほかの3つはまあ悪くないかなという感じです。強いていうなら、Circなんかはコンパクトな割に安定性があり割と好印象でした。

4. 見た目やデザインの違い

乗り物系はやっぱりデザインも重要ですよね。こちらはそれぞれ好みによるかと思うので、特に何が正解というのはありませんが、私の個人的なお気に入りは「Bird」というLA発のスタートアップのシェア電動キックボードです。ネーミング、ロゴのデザイン及びフォントから色において一貫性があり、キックボード自体も黒を基調にしてなかなかシックだなと思います。また、ハードウェア的に一番コンパクトにも関わらず、段差を越えた際の衝撃が少なかったりブレーキの効きが良かったりと、もはやアップル製品を彷彿とさせる完成度の高さがあります。

Birdは残念ながらベルリンにはまだ進出していませんが、個人的には今後に期待しています! ※2020年1月にベルリン発のCircを吸収合併し、Birdがベルリンに本格的に進出しました。

いっときの流行りかマイクロモビリティの革命児か?

冒頭でも述べましたが、シェア電動キックボードの事業は今スタートアップ界隈ではかなりホットなトピックでかなりのお金が注ぎ込まれており、これからのマイクロモビリティの手段としてかなり有望視されています。ただその反面、その安全性が問題視もされており、シェア電動キックボードのサービスを許可していない自治体や許可を取りやめた自治体も出てきています。例えばシャア電動キックボードのメッカであるサンフランシスコ市はシェア電動キックボードを禁止したのち、市の条件をクリアした2社のみに事業再開許可を出しました。

今回実際にシェア電動キックボードに乗ってみて感じた点は、そもそもそこまでのニーズがあるのかということがまずあります。シェア自転車よりも割高でかつ速度が遅い点を考えると、シェア自転車の利用者層がシェア電動キックボードにそのまま乗り換えることは考えにくいです。むしろその点ではUber発のシェア電動自転車である「Jump」はシェア自転車よりは料金が高いがその分速度が出て楽という点でベルリンではかなり使用者が増えています。

まあ何はともあれ、シェア電動キックボード市場はまだ拡大の一途を辿ってるようですので、今後の動向に注目という感じですかね!

実は日本にももう進出してた!?(追記)

記事公開後に興味を持って読んでくださる方が多いかったので、調べてみると、実は日本でも導入に積極的な市町村があり、また既に試験的に導入が始まっている場所が局地的にあるようです!今年3月にはベルリンに本拠地を置き東京港区に日本法人を持つ「Wind」がさいたま市の浦和美園駅にてサービスを開始しており、千葉市稲毛海浜公園の対象エリアでも今月からシェア電動キックボードが利用開始されているようです。是非お近くにお住いの方、あるいは電動キックボードを試してみてみたい方はサービスが開始されているエリアを訪れてみてください。

長い記事となり恐縮ですが、最後までお読みいただきありがとうございました!