[レポート]「お前はもう知っている… 」eKYCってなに!?とAWS + Go + Vueがもたらした天国と地獄 哀しみを知らぬ男に勝利はない – Developers.IO TOKYO 2019 #cmdevio

オンラインで本人確認を行える顔認証本人確認プラットフォーム「LIQUID eKYC」の裏側とeKYCについてご紹介します。日本最大級の技術フェス「Developers.IO 2019 Tokyo」でLiquid社が担当したセッションのレポートです。

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クラスメソッドが主催する日本最大級の技術フェス「DevelopersIO 2019 TOKYO」のセッションで、銀行や郵便局などの面倒な本人確認を効率化するサービス「LIQUID eKYC」について学んできたのでレポートします。

タイトルからみなぎる開発への熱気

セッションタイトルは「『お前はもう知っている…』eKYCってなに!?とAWS + Go + Vueがもたらした天国と地獄 哀しみを知らぬ男に勝利はない」。

強烈に漂う「北斗の拳」の香りと開発への情熱…!YouはShockな世紀末アニメは未履修(ニワカ)なのでついて行けるか不安でしたが、アツいトークが聞けそうだなと思いながら会場へ。

会場入りすると、司会の方が「タイトルはどんなテンションで読み上げれば良いでしょうか?」とスピーカーであるLiquid社のお二人に確認していて「ですよねー」って思いました。あと、大きめの肩パッドを装備してヒャッハー!!とか叫ぶ荒くれ者が居なくて安心しました(偏見)。

eKYCで本人確認を効率化!

セッションの最初にエンジニアマネージャーの清水亮介氏からリアルタイムにオンラインで本人確認を完結できるeKYCの特長について紹介があり、いきなり引き込まれます。この短い説明だけでも、eKYCを推せるのでは?

銀行や市役所などで本人確認の書類を忘れた時の「ガチで本人なのにな…」という虚無感や、郵送でのやりとりに時間をとられるもどかしさは、多くの方が経験をお持ちだと思います。あと「平日9〜17時に窓口へ来て下さい…って仕事だし!」とかもよくある。そういった問題を解決してくれるeKYCという技術について、もっと知りたくなりました。

スマホで免許証と本人の顔を撮るだけ

しかし、具体的にどうやってリアルタイムにオンラインで本人確認ができるのでしょうか?その疑問に答えるためなのか、清水氏はもう一人のスピーカーであるエンジニアの野々山崚(ののたん)氏と協力して、本物の運転免許証とスマホを使ったLIQUID eKYCのデモを行いました。

デモは大きく分けると2つの工程に分かれていました。まずスマホで個人情報を入力し、個人情報に関する規約を確認。その後、スマホで本人確認書類(運転免許証)と本人の顔を撮影します。
たったこれだけで、本人確認が完了するのです。あら簡単!とLIQUID eKYCのUXを体感したところで、清水氏は野々山氏にマイクを渡しました。

開発中に出現した3つの地獄を巡るランデブー開始!

セッションの前半で清水氏は、タイトルにある「天国と地獄」のうちeKYCがもたらす福音=天国について語りました。つまり後半を担当する野々山氏は、開発中に味わった苦しみを伝える地獄の案内人ということになります。

野々山氏は2チームで構成される開発スタイルやシステムのアーキテクチャを紹介したあと、本日のメインディッシュである苦労話を披露しました。

カメラ制御のための検証地獄

最初の地獄はカメラ撮影のコントロールでした。最終的にはスマホ国内シェアの8割以上を実機検証のうえで動作保証したものの、そこに至るまでに考慮すべき要素は多くありました。

例えばOSやブラウザによる挙動の違い、メインカメラとインカメラの違いなどに対応するため、各環境でテストと改善を繰り返さなければなりません。野々山氏の開発チームはテスト用に、60以上の端末を購入したそうです。

リアルタイムなCSVファイルの生成&返却による高コスト地獄

LIQUID eKYCには、法人顧客が申請用のデータを出力するためのCSVダウンロード機能があります。開発チームではリアルタイムにファイルを生成し、返却するAPIを設計しました。

しかし、処理コストが高くつく地獄に足を踏み入れてしまい、最終的にはSQSを利用した非同期処理のシステムを完成させます。

SPAビルド&デプロイ地獄

さらに本人確認の業務を行う担当者用の管理画面をSPAで作成しましたが、各顧客のSPAビルドもデプロイも個別に手作業で行っていては、非効率地獄に堕ちてしまいます。そこでCodePipelineを用いることで、並列実行できるCI/CD環境の整備に成功しました。

最後は例の決め台詞で〆

こうして地獄のアテンドを終えた野々山氏は「お約束ですが」と前置きしつつ、セッションの最後にこちらのスライドを見せてくれました。

LIQUID eKYCをリリースできたのは、まさに「哀しみを知らぬ男に勝利はない」というセッションタイトルどおりに数々の苦境を乗り越えてきたから。'80年代の作品である北斗の拳を詳しく知らない、ゆとり世代の私でも、そのフレーズの意味は十分に理解できた気がしています。

我がセッション参加に一片の悔いなし!

清水氏が担当された前半では、eKYCが非対面での本人確認を実現する興味深い技術であり、また「LIQUID eKYC」が簡単なスマホ操作によるeKYCを実現しているサービスであることなどが分かりました。また、後半では野々山氏が笑顔で開発中のさまざまな逆境を乗り越えたお話をされていて、Liquid社の技術に対する熱量を感じました。