[アップデート] Amazon Redshift Serverless の 3 年 Serverless Reservations に All Upfront が追加され、最大 50% のコスト削減が可能になりました

[アップデート] Amazon Redshift Serverless の 3 年 Serverless Reservations に All Upfront が追加され、最大 50% のコスト削減が可能になりました

Amazon Redshift Serverless の 3 年 Serverless Reservations に全額前払い(All Upfront)オプションが追加され、最大 50% のコスト削減が可能になりました。本番運用が安定している環境ほど効果的なこのアップデートについて、支払いオプションの比較と選択のポイントを紹介します。
2026.08.01

クラウド事業統括本部の石川です。Amazon Redshift Serverless の 3 年 Serverless Reservations に、全額前払い(All Upfront)の支払いオプションが追加されました。オンデマンド料金と比較して最大 50% のコスト削減が可能です。

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2026/07/redshift-serverless-three-year-auri/

2026 年 2 月に 3 年の Serverless Reservations(最大 45% 削減)が導入されてから約 5 か月、今回のアップデートで「前払いによる上乗せ割引」が 3 年契約にも用意されたことになります。本番運用が安定している環境ほど効果の大きいアップデートです。

Serverless Reservations とは

Serverless Reservations は、Amazon Redshift Serverless のコンピューティング容量(RPU: Redshift Processing Unit)を一定期間コミットすることで、オンデマンド料金より安い単価が適用される割引価格オプションです。予約は AWS のペイヤーアカウント単位で管理され、同一ペイヤーアカウント配下の複数の AWS アカウント・複数のワークグループで共有できます。

機能そのものの概要や初期の設定手順については、過去の記事で解説していますのであわせてご覧ください。

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-redshift-serverless-serverless-reservations/

https://dev.classmethod.jp/articles/20260224-redshift-serverless-3year-reservations/

アップデート内容

今回のアップデートで、3 年契約に All Upfront(全額前払い)の支払いオプションが追加されました。契約期間分の料金を購入時に一括で支払うことで、Serverless Reservations で最も高い割引率が適用されます。

支払いオプションの一覧

これにより、期間と支払い方法の組み合わせは以下の 4 種類になりました。

契約期間 支払いオプション オンデマンド比の最大割引率
1 年 No Upfront 最大 20%
1 年 All Upfront 最大 24%
3 年 No Upfront 最大 45%
3 年 All Upfront 最大 50%(今回追加)

Amazon Redshift のプロビジョンドクラスターでは、2026 年 6 月に RG インスタンスの予約へ All Upfront / Partial Upfront が追加されています。サーバーレス側にも同じ「前払いで割引を上乗せする」という考え方が揃った形です。

https://dev.classmethod.jp/articles/20260626-amazon-redshift-ri-upfront-pricing-rg-instances/

対応リージョン

Amazon Redshift Serverless が利用可能なすべての AWS 商用リージョンおよび AWS GovCloud (US) リージョンで利用できます。

料金への影響

既存の予約や課金体系に変更はありません。今回追加されたのは新しい購入オプションであり、これまでどおり予約分は 24 時間 365 日課金され、予約した RPU レベルを超えた使用分はオンデマンド料金で課金されます。

3 年 All Upfront をどう評価するか

「最大 50% 削減」という数字だけで判断すると見誤りやすいポイントがあります。ここでは 3 つの観点で整理します。

なお、以降の金額は 東京リージョンで 32 RPU を予約した場合の試算値 です。オンデマンドの年額 $138,478 は前回の記事で用いた試算値($0.494/RPU-hour × 32 RPU × 8,760 時間)を基準にしています。3 年 All Upfront の金額は公表されている「最大 50%」から単純計算した参考値であり、実際の価格は AWS の料金ページおよび後述の list-reservation-offerings の応答をご確認ください。

選択肢 3 年間の支払総額 支払い方法 オンデマンド比
オンデマンド(常時稼働) $415,434 従量
1 年 All Upfront を 3 回更新 $315,730 毎年前払い 約 −24%
3 年 No Upfront $228,489 月額 約 $6,347 約 −45%
3 年 All Upfront $207,717 購入時に一括 約 −50%

観点 1: 損益分岐となる稼働率は 50%

Serverless Reservations は予約した RPU 分が 24 時間 365 日課金されます。一方オンデマンドは使った分だけの課金です。そのため損益分岐となる稼働率は、そのまま割引率と一致します。

  • 3 年 No Upfront(45% 割引): 稼働率 約 55% が損益分岐
  • 3 年 All Upfront(50% 割引): 稼働率 約 50% が損益分岐

つまり、予約した RPU レベルに対して年間の平均稼働率が 50% を下回るワークロードでは、3 年 All Upfront を購入してもオンデマンドより高くつきます。予約するのは「ピーク時の RPU」ではなく「安定して使い続けている下限の RPU」である点が重要です。

観点 2: 前払いの回収には約 33 か月かかる

3 年 No Upfront と 3 年 All Upfront の差は割引率にして 5 ポイント、金額にして 3 年間で約 $20,772(年あたり約 $6,924)です。一方で All Upfront は購入時に $207,717 を支払います。

累積の支払額で比較すると、No Upfront の月額 約 $6,347 が All Upfront の前払い額に追いつくのは 約 33 か月目(約 2 年 9 か月)です。契約期間 36 か月のうち、前払いのメリットが金額として現れるのは最後の 3 か月ほどということになります。

1 年契約の RG インスタンス予約では前払いの回収期間が約 11.3 か月(12 か月中)でしたが、3 年 All Upfront はさらに回収が遅い構造です。3 年間フルに使い切ることが前提の選択肢だと捉えてください。

観点 3: 1 年 All Upfront の更新より 3 年契約が圧倒的に有利

3 年間 Amazon Redshift Serverless を使い続ける前提であれば、1 年 All Upfront を 3 回更新するより 3 年 All Upfront のほうが約 $108,013 安くなります。「毎年見直したい」という運用上の理由がない限り、長期利用が確実なワークロードでは 3 年契約を軸に検討する価値があります。

購入方法

Amazon Redshift コンソールの左メニューから ServerlessServerless reservations を開き、Purchase serverless reservations を選択します。予約する RPU レベルと支払いタイプを指定して確定すると、予約は即時に有効化されます。

20260724-redshift-serverless-three-year-auri

購入する RPU レベルの判断材料としては、Redshift Serverless ダッシュボードで直近 7 日間の RPU 使用量を確認する方法と、AWS Cost Explorer で粒度を「時間別」、グループ化を「使用タイプ」、フィルターを Redshift:ServerlessUsage にして長期の傾向を確認する方法があります。

利用上の注意

  • 購入後の変更・削除はできません。 不足した場合は追加の予約を購入して積み増す形になります(100 RPU の予約を 2 つ購入すれば合計 200 RPU が割引対象になります)
  • 予約分は 24 時間 365 日課金されます。 稼働していない時間帯があっても予約分の請求は発生します
  • Amazon Redshift Serverless の無料クレジットは Serverless Reservations には適用されず、オンデマンド課金分にのみ適用されます
  • 予約 RPU を超えた分のオンデマンド課金を抑えたい場合は、ワークグループの Limits タブから Manage usage limits で最大 RPU を設定できます
  • 予約はリージョン単位で適用され、リージョンをまたいだ共有はできません

どの支払いオプションを選ぶべきか

判断の流れは以下のように整理できます。

3 年 All Upfront が向いているのは、本番のデータ基盤としてワークロードが安定しており、実績から安定稼働している RPU レベルを説明でき、かつ 3 年分の前払いが財務的に許容できるケースです。逆に、ワークロードの増減が読みにくい、アーキテクチャ変更の可能性がある、部門への月次配賦を重視するといった場合は、3 年 No Upfront や 1 年契約から始めるほうが安全です。

実運用では、安定して使い続けている下限の RPU だけを 3 年予約でカバーし、成長分やピーク分はオンデマンドで吸収する組み合わせが、リスクとコストのバランスを取りやすい構成になります。

最後に

今回のアップデートで、Amazon Redshift Serverless の Serverless Reservations は 1 年 / 3 年 × No Upfront / All Upfront の 4 択になり、最大割引率が 45% から 50% に引き上げられました。

ポイントは、3 年 No Upfront との差は割引率にして 5 ポイントである一方、前払いの回収には約 33 か月かかるという点です。3 年間使い切る確度が高いワークロードでこそ意味のある選択肢といえます。

まずは Redshift Serverless ダッシュボードや AWS Cost Explorer で自社の RPU 使用量の下限を把握し、損益分岐となる稼働率 50% を上回っているかを確認したうえで、キャッシュフローと割引率のバランスから最適な支払いオプションを検討してみてはいかがでしょうか。


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