AWS Interconnect - multicloud と Google Cloud Partner Cross-Cloud Interconnect for AWS の料金を考える

AWS Interconnect - multicloud と Google Cloud Partner Cross-Cloud Interconnect for AWS の料金を考える

AWS Interconnect - multicloud の料金試算を行ってみました。
2026.04.17

ウィスキー、シガー、パイプをこよなく愛する大栗です。

2026 年 4 月 14 日に AWS Interconnect - multicloud が GA し、Google Cloud を最初のパートナーとして AWS と Google Cloud をコロケーションや VPN なしで直結できるようになりました。サービスの概要や実機検証は過去のエントリにまとめていますので、本エントリでは 料金 に絞って、従来の構成と比較しながらどのパターンを選択すべきかを考えてみます。AWS Interconnect - multicloud のメリットはパフォーマンスの安定とマルチクラウドのネットワーク直結が簡単にできることなので料金のみでの判断はしないよう気をつけてください。

前提

料金の議論を始める前に、本エントリでの前提を揃えておきます。

  • リージョン: AWS us-west-2 (オレゴン) と Google Cloud us-west1 (オレゴン) の間で通信する(現時点では日本は未対応)
    • このリージョンペアは AWS Interconnect - multicloud の Tier 1 (最も安いティア)に該当します
  • 月額は 730 時間 換算で算出する
  • 帯域は 1 Gbps と 10 Gbps の 2 種類
  • 継続的にデータを流し続けた場合の月間シナリオ
    • 1 Gbps 接続前提: 100 Mbps 流し続ける / 500 Mbps 流し続ける
    • 10 Gbps 接続前提: 1 Gbps 流し続ける / 5 Gbps 流し続ける
  • バルク転送シナリオとして、Amazon S3 から Google Cloud Storage へ 10 / 20 / 50 TB、Google Cloud Storage から Amazon S3 へ 10 / 20 / 50 TiB を一度に転送する場合も比較対象に加える

なお、AWS の料金表は 10 進ギガバイト(GB、1 GB = 10^9 bytes)、Google Cloud の料金表は 2 進ギビバイト(GiB、1 GiB = 2^30 bytes)を基準にしているため、本エントリでも AWS 側は GB / TB、Google Cloud 側は GiB / TiB で計算します。

比較のために、AWS Direct Connect と Google Cloud の通常の Cross-Cloud Interconnect の接続パターンを出しています。このパターンは BGP 設定などの含み自前で冗長化を行う必要のある複雑な手順が必要な構成です。

料金体系の整理

それぞれのサービスの料金を整理します。

AWS 側の料金

項目 時間単価 月額(730h) 備考
AWS Interconnect - multicloud (Tier 1, 1 Gbps) $1.37 $1,000.10 per-GB のデータ転送料金なし
AWS Interconnect - multicloud (Tier 1, 10 Gbps) $12.33 $9,000.90 per-GB のデータ転送料金なし
AWS Direct Connect Dedicated (1 Gbps) $0.30 $219.00 別途 DTO $0.02/GB
AWS Direct Connect Dedicated (10 Gbps) $2.25 $1,642.50 別途 DTO $0.02/GB

S3 からインターネット経由でデータを転送する場合は以下のティアが適用されます(オレゴン発、最初の 100 GB は無料)。

月間転送量 単価
〜10 TB $0.09/GB
10 TB 〜 50 TB $0.085/GB
50 TB 〜 150 TB $0.07/GB
150 TB 超 $0.05/GB

Google Cloud 側の料金

項目 時間単価 月額(730h) 備考
Partner Cross-Cloud Interconnect for AWS (1 Gbps, 北米) $3.50 $2,555.00 データ転送料金なし、VLAN attachment 不要、冗長性が組み込み
Partner Cross-Cloud Interconnect for AWS (10 Gbps, 北米) $19.00 $13,870.00 データ転送料金なし、VLAN attachment 不要、冗長性が組み込み
Cross-Cloud Interconnect (10 Gbps, 北米) $5.60 $4,088.00 1 Gbps プランなし、別途 VLAN attachment / egress
VLAN attachment (1 Gbps 〜 10 Gbps) $0.10 $73.00 Cross-Cloud Interconnect で必要(Partner CCI では不要)

Partner Cross-Cloud Interconnect は公式ドキュメントで明記されており、transport リソースに対する時間課金のみで、送受信のデータ転送料金が一切かかりません。

一方で、通常の Cross-Cloud Interconnect と GCS からのインターネット向け Egress にはデータ転送料金が発生します。

経路 単価
VPC から Cross-Cloud Interconnect 経由の egress $0.02/GiB
GCS からインターネット Egress Premium Tier(〜1 TiB) $0.12/GiB
GCS からインターネット Egress Premium Tier(1 TiB 〜 10 TiB) $0.11/GiB
GCS からインターネット Egress Premium Tier(10 TiB 超) $0.08/GiB

料金構造のポイント

ここで押さえておきたいポイントは、AWS Interconnect - multicloud と Partner Cross-Cloud Interconnect for AWS はどちらも GB あたりのデータ転送料金を取らない ということです。

経路 料金
AWS → Google Cloud(multicloud 経由) 無料(帯域固定の時間課金に含まれる)
AWS → Google Cloud(Direct Connect 経由) $0.02/GB
Google Cloud → AWS(Partner CCI 経由) 無料(帯域固定の時間課金に含まれる)
Google Cloud → AWS(Cross-Cloud Interconnect 経由) $0.02/GiB + VLAN attachment

つまり multicloud + Partner CCI の組み合わせでは、双方向とも GB あたりの課金がゼロで、月額が帯域だけで決まります。この特性が後の料金比較で大きく効いてきます。

月間通信量の換算

730 時間 × 3,600 秒 = 2,628,000 秒 で換算した月間通信量は以下の通りです。

継続帯域 月間転送量(AWS 側、GB) 月間転送量(Google Cloud 側、GiB)
50 Mbps 16,425 15,297
100 Mbps 32,850 30,594
250 Mbps 82,125 76,484
500 Mbps 164,250 152,970
1 Gbps 328,500 305,939
2.5 Gbps 821,250 764,843
5 Gbps 1,642,500 1,529,697

パターン 1: AWS Interconnect - multicloud + Partner CCI for AWS

GA で新しく登場した構成です。AWS 側は帯域固定の時間課金のみで per-GB のデータ転送料金が発生せず、Google Cloud 側の Partner Cross-Cloud Interconnect for AWS も同様にデータ転送料金が発生しません(4重冗長性も組み込み済み)。

固定料金(これだけです)

帯域 AWS 側 Google Cloud 側 月額合計
1 Gbps $1,000.10 $2,555.00 $3,555.10/月
10 Gbps $9,000.90 $13,870.00 $22,870.90/月

双方向いずれの方向でも GB あたりの課金がないため、月間通信量がどれだけ増えても料金はこの固定額のみです。つまり 帯域の上限まで使い切るほどお得 になります。

帯域 シナリオ 月額
1 Gbps 接続 100 Mbps 継続 $3,555.10
1 Gbps 接続 500 Mbps 継続 $3,555.10
10 Gbps 接続 1 Gbps 継続 $22,870.90
10 Gbps 接続 5 Gbps 継続 $22,870.90

パターン 2: AWS Direct Connect + Google Cloud Cross-Cloud Interconnect(非冗長)

従来からある構成です。ここで注意したいのは、Google Cloud の Cross-Cloud Interconnect は 10 Gbps または 100 Gbps の 2 種類しかない という点です。1 Gbps 単独の直結をやりたい場合、この構成では組めません。1 Gbps が必要な場合は必然的にパターン 1 (Partner CCI)に寄せることになります。

そのため本パターンは 10 Gbps での試算となります。なお非冗長であるため SLA で定められた月間稼働率は AWS Direct Connect が 95%、Google Cloud Cross-Cloud Interconnect は対象外となります。

固定料金

項目 月額
AWS Direct Connect Dedicated (10 Gbps) $1,642.50
Cross-Cloud Interconnect (10 Gbps, 北米) $4,088.00
VLAN attachment (10 Gbps) $73.00
接続料合計 $5,803.50/月

双方向合計として計算した場合

AWS 側は $0.02/GB、Google Cloud 側は $0.02/GiB がそれぞれ発生するため、どちらの方向にも課金されます。

双方向合計シナリオ AWS→GCP 分 GCP→AWS 分 転送料小計 接続料 総合計
合計 100 Mbps $328.50
(50 Mbps)
$305.94
(50 Mbps)
$634.44 $5,803.50 $6,437.94/月
合計 500 Mbps $1,642.50
(250 Mbps)
$1,529.70
(250 Mbps)
$3,172.20 $5,803.50 $8,975.70/月
合計 1 Gbps $3,285.00
(0.5 Gbps)
$3,059.40
(0.5 Gbps)
$6,344.40 $5,803.50 $12,147.90/月
合計 5 Gbps $16,425.00
(2.5 Gbps)
$15,296.96
(2.5 Gbps)
$31,721.96 $5,803.50 $37,525.46/月

パターン 3: AWS Direct Connect + Cross-Cloud Interconnect の 4 重化(10 Gbps × 4)

可用性を最優先する場合の構成です。AWS の Direct Connect と Google Cloud の Cross-Cloud Interconnect をそれぞれ 4 本用意し、物理拠点・ルータ・経路すべてを多重化します。帯域の合算は 40 Gbps になりますが、本エントリでは継続帯域ベースで比較するため通信量の前提は変えません。なお複数拠点での 4 重化を前提として SLA で定められた月間稼働率は AWS Direct Connect が 99.99%、Google Cloud Cross-Cloud Interconnect が 99.99% です。

固定料金

項目 単価(月額) 4 重化合計
AWS Direct Connect Dedicated (10 Gbps) × 4 $1,642.50 $6,570.00
Cross-Cloud Interconnect (10 Gbps) × 4 $4,088.00 $16,352.00
VLAN attachment (10 Gbps) × 4 $73.00 $292.00
接続料合計 $23,214.00/月

双方向合計として計算した場合

AWS 側は $0.02/GB、Google Cloud 側は $0.02/GiB がそれぞれ発生するため、どちらの方向にも課金されます。

双方向合計シナリオ AWS→GCP 分 GCP→AWS 分 転送料小計 接続料 総合計
合計 100 Mbps $328.50
(50 Mbps)
$305.94
(50 Mbps)
$634.44 $23,214.00 $23,848.44/月
合計 500 Mbps $1,642.50
(250 Mbps)
$1,529.70
(250 Mbps)
$3,172.20 $23,214.00 $26,386.20/月
合計 1 Gbps $3,285.00
(0.5 Gbps)
$3,059.40
(0.5 Gbps)
$6,344.40 $23,214.00 $29,558.40/月
合計 5 Gbps $16,425.00
(2.5 Gbps)
$15,296.96
(2.5 Gbps)
$31,721.96 $23,214.00 $54,935.96/月

4 重化のサービス組み込み

Partner Cross-Cloud Interconnect for AWS は 4 重の冗長化がサービス内に組み込まれている ため、冗長性を得るために 4 本契約する必要がありません。 10 Gbps Partner CCI の $13,870.00/月に対し、4 重化した Cross-Cloud Interconnect は $16,352.00/月です。AWS 側も 10 Gbps multicloud が $9,000.90/月なのに対し、4 重化 Direct Connect は $6,570.00/月で、こちらは DX のほうが安くなります。接続料合計でみると、パターン 1($22,870.90)とパターン 3($23,214.00)はほぼ横並びで、さらにパターン 1 はデータ転送料金がゼロなので、流量が増えれば増えるほどパターン 1 の優位性が広がります。Partner CCI に内包されている冗長性とデータ転送無料の組み合わせは、かなりコスト効率の良いパッケージになっていると言えます。

パターン 4: Amazon S3 から Google Cloud へインターネット経由で送る

バルク転送のシナリオです。継続的な接続は想定せず、オレゴンの S3 バケットから Google Cloud にインターネット経由で転送する場合の料金を試算します。最初の 100 GB は無料枠として扱います。

転送量 計算内訳 合計
10 TB 100 GB 無料 + 9,900 GB × $0.09 $891.00
20 TB 上記 + 10,000 GB × $0.085 $1,741.00
50 TB 上記 + 40,000 GB × $0.085 $4,291.00

パターン 5: Google Cloud Storage から AWS へインターネット経由で送る

逆方向のバルク転送です。Google Cloud Storage の Internet Egress は Premium Tier 前提の階層制で、料金表は GiB 基準です。本エントリでは Google Cloud 側の単位に合わせて転送量を 10 / 20 / 50 TiB として扱います。

転送量 計算内訳 合計
10 TiB 1,024 GiB × $0.12 + 9,216 GiB × $0.11 $1,136.64
20 TiB 上記 + 10,240 GiB × $0.08 $1,955.84
50 TiB 上記 + 40,960 GiB × $0.08 $4,413.44

比較軸 1: 継続接続パターン同士の比較(パターン 1 / 2 / 3)

パターン 1 〜 3 を同じシナリオ(双方向合計)で並べると以下のようになります。

パターン 100 Mbps 継続 500 Mbps 継続 1 Gbps 継続 5 Gbps 継続
パターン 1: multicloud + Partner CCI $3,555.10
(1 Gbps 接続)
$3,555.10
(1 Gbps 接続)
$22,870.90
(10 Gbps 接続)
$22,870.90
(10 Gbps 接続)
パターン 2: DX + CCI 非冗長 $6,437.94
(10 Gbps 接続)
$8,975.70
(10 Gbps 接続)
$12,147.90
(10 Gbps 接続)
$37,525.46
(10 Gbps 接続)
パターン 3: DX + CCI 4 重化 $23,848.44
(10 Gbps 接続)
$26,386.20
(10 Gbps 接続)
$29,558.40
(10 Gbps 接続)
$54,935.96
(10 Gbps 接続)

必要な帯域が 1 Gbps 以下であれば 1 Gbps の回線が引けるパターン 1 が安くなります。1 Gbpa より太い帯域が必要な場合でパターン 1 は流量に関わらず固定 $22,870.90 なのがポイントです。低流量ではパターン 2 が圧倒的に有利ですが、流量が増えるとパターン 2 / 3 のデータ転送料金が膨らみ、パターン 1 の優位性が拡大します。

損益分岐点(パターン 1 vs パターン 2, 10 Gbps 接続)

パターン 2 の接続料 $5,803.50 にデータ転送料金を足してパターン 1 の $22,870.90 と等しくなる点を求めます。

必要な転送料小計 = $22,870.90 - $5,803.50 = $17,067.40
双方向合計の転送量 = $17,067.40 ÷ $0.02/GB ≒ 853,370 GB ≒ 853 TB/月
継続帯域換算 = 853 TB × 8 bit ÷ (730h × 3,600s) ≒ 2.6 Gbps(双方向合計)

つまり 双方向合計で約 2.6 Gbps の継続通信 がある時点でパターン 1 とパターン 2 の料金がクロスします。これを超えるとパターン 1 が最も安くなります。

比較軸 2: 継続接続 vs バルク転送の比較(パターン 1 / 4 / 5)

月額固定のパターン 1 と、転送量課金のパターン 4 / 5 を月間転送量の切り口で比較します。継続接続は「月中ずっと直結を張りっぱなしにする」前提、バルク転送は「月に X TB 転送した量分だけ課金」の前提です。

パターン 1(1 Gbps 接続、$3,555.10/月)との比較

月間転送量 パターン 1 (1 Gbps) パターン 4 (S3→GCS) パターン 5 (GCS→S3)
10 TB / 10 TiB $3,555.10 $891.00 $1,136.64
20 TB / 20 TiB $3,555.10 $1,741.00 $1,955.84
50 TB / 50 TiB $3,555.10 $4,291.00 $4,413.44

損益分岐点

  • vs パターン 4: 10 TB 超の料金帯 ($0.085/GB) で $3,555.10 に達する量を逆算
    • ($3,555.10 - $891.00) ÷ $0.085/GB + 10,000 GB ≒ 41,342 GB ≒ 41 TB/月
    • 継続帯域換算で 約 125 Mbps
  • vs パターン 5: 10 TiB 超の料金帯 ($0.08/GiB) で $3,555.10 に達する量を逆算
    • ($3,555.10 - $1,136.64) ÷ $0.08/GiB + 10,240 GiB ≒ 40,470 GiB ≒ 40 TiB/月
    • 継続帯域換算で 約 132 Mbps

月間 40 TB 前後を恒常的に流すなら 1 Gbps の multicloud 直結を張りっぱなしにしたほうが安くなる計算です。

パターン 1(10 Gbps 接続、$22,870.90/月)との比較

月間転送量 パターン 1 (10 Gbps) パターン 4 (S3→GCS) パターン 5 (GCS→S3)
50 TB / 50 TiB $22,870.90 $4,291.00 $4,413.44
150 TB / 150 TiB $22,870.90 $11,291.00 $12,605.44
300 TB / 300 TiB $22,870.90 $18,791.00 $24,893.44

損益分岐点

  • vs パターン 4: 150 TB 超の料金帯 ($0.05/GB) で $22,870.90 に達する量を逆算
    • ($22,870.90 - $11,291.00) ÷ $0.05/GB + 150,000 GB ≒ 381,598 GB ≒ 382 TB/月
    • 継続帯域換算で 約 1.16 Gbps
  • vs パターン 5: 10 TiB 超の料金帯 ($0.08/GiB) で $22,870.90 に達する量を逆算
    • ($22,870.90 - $1,136.64) ÷ $0.08/GiB + 10,240 GiB ≒ 281,915 GiB ≒ 275 TiB/月
    • 継続帯域換算で 約 0.92 Gbps

10 Gbps の multicloud 直結は月 300 TB 前後の転送から徐々に優位になり、400 TB 近辺でインターネット経由と完全に逆転します。

損益分岐点まとめ

ここまでの計算を 1 つの表にまとめます。

比較対象 損益分岐点(月間転送量) 継続帯域換算
パターン 1 (10 Gbps) vs パターン 2 双方向合計 約 853 TB/月 2.6 Gbps(双方向合計)
パターン 1 (1 Gbps) vs パターン 4 (S3→GCS) 約 41 TB/月 125 Mbps
パターン 1 (1 Gbps) vs パターン 5 (GCS→S3) 約 40 TiB/月 132 Mbps
パターン 1 (10 Gbps) vs パターン 4 (S3→GCS) 約 382 TB/月 1.16 Gbps
パターン 1 (10 Gbps) vs パターン 5 (GCS→S3) 約 275 TiB/月 0.92 Gbps

小規模な継続通信なら 1 Gbps の multicloud 直結で 100 Mbps 強、10 Gbps なら 1 Gbps 弱を恒常的に流すあたりから、インターネット経由より直結が安くなります。

どのパターンを選ぶべきか

ワークロードの性質によって推奨パターンは変わります。

AWS と Google Cloud の間で大量に通信する

S3 や RDS のデータを BigQuery に定常的に流す、AI / ML の推論と結果書き戻し、双方向のデータレプリケーションなど、通信量が多いワークロード全般パターン 1(multicloud + Partner CCI) が有利になります。パターン 1 は双方向とも GB あたりの課金がないため月額が固定され、流量が増えるほどパターン 2 / 3 との差が開きます。

低流量で済む、かつ冗長性も不要

逆に通信量が少ない場合は パターン 2 が最も安くなります。1 Gbps 相当の双方向合計流量であれば、パターン 2 の $12,147.90/月に対してパターン 1 は $22,870.90/月で、接続料の差を GB あたりの課金ゼロで吸収しきれません。損益分岐は双方向合計で 2.6 Gbps 前後なので、月間平均がこれを超えるならパターン 1、下回るならパターン 2 という切り分けが目安になります。

高可用性が最優先

可用性を最優先する場合は パターン 1 またはパターン 3 が候補です。Partner CCI はクアッド冗長がサービスに組み込まれているため、追加の本数契約なしで要件を満たせます。Direct Connect のロケーションやルータを自分で物理分離したいという強い要件がある場合はパターン 3 を選びます。料金面ではパターン 1 のほうがわずかに安く、4 本分の物理ポート・VLAN attachment の管理が不要な分だけ運用の手間も少ないため、多くのケースではパターン 1 が落としどころになるはずです。

インターネット経由で問題ないデータ移行

月間 50 TB 以下の移行であれば パターン 4 / パターン 5(インターネット経由) が素直です。接続の月額維持費がかかりません。

一方で、50 TB を超える移行や何回かに分けて流す移行であれば、10 Gbps の multicloud + Partner CCI を時間按分で短期利用 する手も考えられます。例えば 50 TB を 5 Gbps で流すと、片方向で約 22 時間で終わります。AWS 側 multicloud は $12.33 × 22h ≒ $271、Google Cloud 側 Partner CCI は $19.00 × 22h ≒ $418 で、どちらもデータ転送料金がかからないため合計およそ $689 で済みます。S3 → GCS でも GCS → S3 でもこの金額は変わりません。インターネット経由で 50 TB を送ると $4,291 〜 $4,413 かかるため、約 6 分の 1 に抑えられる計算です。

さいごに

AWS Interconnect - multicloud の GA と Partner Cross-Cloud Interconnect for AWS の組み合わせによって、AWS と Google Cloud の直結は 「双方向ともデータ転送料金ゼロ」 という従来の常識とはまったく違う料金特性を持つようになりました。接続料は決して安くないものの、流せば流すほど 1 GB あたりの単価が下がる 構造は、大量にデータをやり取りするワークロードにとって極めて魅力的です。月間で双方向合計 2.6 Gbps 相当を超える通信があるなら、パターン 1 への乗り換えは十分に検討する価値があります。

本エントリの試算は公開情報と筆者が取得した前提料金に基づく理論値です。ご利用の際は AWS のドキュメントやアカウント担当者に最新の料金を確認してください。また、Tier 2 以降のリージョンペアや 20 Gbps 以上の帯域についても別途確認が必要になります。

それと、日本のリージョン対応をお願いします!

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