
Claude Team、ChatGPT Business、Gemini Enterprise Standardを導入してみたので統制の観点で設定を見てみた
こんにちは、ガジェットや自宅サーバーが大好きなまるとです。
気づいたら8月ももうすぐ折り返し地点で、時の流れがものすごく速いです。
以下、前置きです。
この記事はクラスメソッド有志で執筆している『夏休みの自由研究リレー』第15回のエントリです。
本ブログリレー企画では、やってみたの幅や普段の専門分野を超えて、作ってみた・調査/研究してみたなど新たな知見やアイデア、コミュニティの発展に寄与できればと思います。
今回は色々な方が気になっている(と思う)複数の生成AIサービスを導入してみたのでレポートです。
はじめに
生成AIサービスというと、ChatGPTやClaude、Gemini、Copilot、Kiro、Grok、DevRev...など挙げようと思えば、いくらでも挙げられるのではないでしょうか。
その中でも今回は、最初期に登場したChatGPT、普段の検索エンジンでも使われるGemini、ニュースでもよく出てくるClaudeについて取り上げたいと思います。
契約したものと気になること
個人での利用だけであれば個人向け有償プランでも良いかな、と思ったのですが、せっかくの機会なので家族にも展開したいな、と思い組織向けプランを契約しました。
(本当は興味本位で最上位プランを契約したかったのですが、個人で契約・維持できる金額ではないので、小~中規模組織向けプランにしました。)
導入したもの
個人で利用する場合はどのモデルが賢い、用途に合っている、機能が充実しているかだけを見れば良いのですが、会社(組織)として導入する場合、以下のようなものを考える必要があります。
- どこまで機能を解放するのか
- 外部SaaSと接続ができる場合、どこまでアクセスや操作を許可させるか
- 入力したデータがモデルの学習に使われないか
- エージェント型ツールを利用する場合、処理に制限をかけられるか
特に導入判断をするにあたり、気になる点として組織としてAIサービスをどこまで統制できるのか、というのが大きいと思います。
先ほど挙げた3サービスについては組織向けのプランのため、ユーザ管理や外部サービスとの連携など共通してある程度の機能が揃っています。
そこだけ見てもあまり差が出てこないと思うので、今回は管理者側から設定できる統制の観点で紹介していきます。
実際に設定画面を見てみた
AIに対するシステムプロンプトの設定
一つ目のテーマとして、AIに対する組織のルールの設定可否を見ていきます。
例えば、社内の用語集や禁止ワード、特定の話題に対しては注意を促すなど、セキュリティポリシーやガイドラインに沿って簡易的にルールを適用したいとします。
特に組織で展開する場合は、利用者毎に設定してもらうのではなく、管理者側から設定することでAIの振る舞いを揃えやすくなることが重要となります。
Claude Teamの場合
Claude Teamでは、組織設定に「組織の指示」という形でシステムプロンプトが設定できるようになっていました。

特に、すべてのユーザ・セッションに対して適用できるため、社内の文章ルールやコンプライアンス上の注意事項などをClaudeに渡しておくことができます。
また、ユーザ側でも個別の指示を設定できますが、組織の指示と競合する場合は組織側が優先されるため、会社としてClaudeに守ってほしいルールをシンプルに設定できるのが特徴的です。
ユーザ側の設定画面

ChatGPT Businessの場合
一方、ChatGPT Businessでは、今回確認した範囲ではClaude Teamの組織の指示に相当する、通常のChatGPTの全会話に対して管理者から共通の指示を与える機能は確認できませんでした。

※一例として一般ページを載せていますが、他のページを確認しても一律でシステムプロンプトを設定するような項目はありませんでした。
ワークスペース単位で利用可能な機能やアプリなどは管理できますが、AIの回答そのものに組織共通のルールを与えるという点ではClaude Teamとは考え方が異なります。
ただし、エージェントや後述するCodexでは手順(指示)を設定できるため、特定用途のエージェントを組織で用意し、そのエージェントを利用してもらうことで一定のルールを持たせることはできます。

ChatGPT Businessの場合、共有のシステムプロンプトはエージェントをベースとしているとも読み取れました。
Gemini Enterprise Standardの場合
Gemini Enterprise Standardも今回確認した範囲では、ChatGPT Businessと同様に、管理者から通常のチャットに対して組織共通の指示を強制的に設定する仕組みは確認できませんでした。
近いものとしてプロンプト チップがあり、管理者側であらかじめ用途に応じたプロンプトを用意し、ユーザに選択して利用してもらうことができます。ただし、これはユーザが利用するプロンプトを支援するものであり、すべての会話に共通の指示を適用するものではありません。

一方、AIへの指示とは少し異なりますが、Gemini Enterprise StandardではModel Armorによる入出力の保護が用意されています。Model Armorを利用すると、プロンプトインジェクションやジェイルブレイク、ヘイトスピーチなどの有害なコンテンツ、機密情報を含むやり取りを検出し、問題のあるプロンプトやレスポンスをブロックできます。

そのため、AIに組織共通の指示を与えるというよりも、このようなやり取りは許可しないという安全性の観点から統制する仕組みが用意されています。
なお、Gemini EnterpriseでもChatGPTと同じくエージェントの仕組みがあるため、そちらを使って指示を入れることは可能です。

外部サービスとの接続制限
続いて、利用者がAIから利用できる外部サービスとの接続をどこまで管理できるのかを確認します。
最近の生成AIサービスは、単純なチャットだけでなくGoogle DriveやSlack、GitHubなどの外部サービスと接続(Claudeで言うコネクタなど)して情報を取得したり、メールの送信やチケットの作成といった操作まで行えるものも増えています。
個人利用であれば利用者自身の判断で接続してもよいですが、組織で展開する場合は、そもそもどのサービスとの接続を許可するのか、接続したサービスに対してどのような操作を許可するのかを管理したくなります。
Claude Teamの場合
Claude Teamでは、組織設定から、組織内で利用できるコネクタを管理できます。

管理者がコネクタを組織に追加した後、各ユーザが自身のアカウントを認証して利用する形となっています。そのため、ディレクトリ(Claude組織設定内のマーケットプレイスのようなもの)のコネクタについては、利用者が自由に任意のコネクタを追加するのではなく、管理者側で組織として利用を許可するものを選択できます。
また、コネクタによっては利用できる操作について、常に許可する、実行時に確認を求める、ブロックするといった形で制御できます。

ChatGPT Businessの場合
ChatGPT Businessでは「アプリ」という名称で外部接続との設定を行う形となります。

アプリの有効/無効はもちろんですが、Claudeと同様に利用できる操作の制限を細かく制御できるようになっていました。(ここはアプリの実装によるかもです)

Gemini Enterprise Standardの場合
Gemini Enterpriseではデータストアと呼ばれる単位で外部SaaSなどと接続を行います。

また、Gemini自体がGoogleのサービスというのもあり、GoogleやGoogle Cloudのサービスとの連携はかなり細かくデータストアが分けられていました。

そのため、Google Cloudでシステムを運用している場合、稼働中データなどを元にGeminiに回答させるといった運用システム特化のQ&Aをする時には便利そうです。
3サービスとも外部サービスとの接続を管理できますが、実際に管理画面を見てみると、単純な有効・無効だけでなく、利用可能な操作まで管理できるサービスもありました。
特に生成AIから外部サービスへの書き込みを許可する場合は、接続可否だけでなく、どの操作まで許可するのかも確認しておくと統制の観点で運用がしやすいのではないかと思いました。
コーディングエージェントの動作制御
最後に、Claude CodeやCodexのようなコーディングエージェントを組織で利用する場合、管理者側からどこまで動作を制御できるのか確認します。
コーディングエージェントは、チャットで回答するだけでなく、ローカルのファイルを読み書きしたり、コマンドを実行したり、ネットワークへアクセスしたりすることがあります。
そのため組織で展開する場合は、単に利用できるかだけでなく、どのファイルやディレクトリ、コマンドの実行を許可、拒否するかといった部分も統制したくなります。
Claude Teamの場合
ClaudeにはClaude Codeと呼ばれるサービスがあります。
組織向けプラン(Claude Team/Enterprise)では管理者側から配布できる管理設定があり、JSONで記載・組織設定もしくはMDM等でファイルを配布することで制御ができる形となっていました。

設定は結構細かく行うことができ、特定のコマンドやパスにおける実行の拒否などかなり柔軟に行えます。
設定例
{
"forceLoginMethod": "claudeai",
"permissions": {
"deny": [
"Read(./.env)",
"Read(./.env.*)",
"Read(./secrets/**)",
"Bash(curl *)"
],
"disableBypassPermissionsMode": "disable"
},
"allowManagedPermissionRulesOnly": true,
"allowManagedMcpServersOnly": true,
"strictKnownMarketplaces": [],
"allowManagedHooksOnly": true,
"sandbox": {
"enabled": true,
"failIfUnavailable": true,
"allowUnsandboxedCommands": false
},
"disableAutoMode": "disable",
"disableRemoteControl": true
}
わかりやすいところだと
- ログイン方法やログインを許可する組織の制限(Claude組織設定から配布もできますが、MDMで事前にファイル配布を推奨します)
- 特定のコマンドやパスでの実行を制御
- 許可/拒否するMCPサーバーの設定
- 自動承認モードの拒否
- 特定フックの強制
- OpenTelemetryによるログの送信を強制
などが行えます。
細かな制御だと上位プランでしかできない、というSaaSも少なくないのですが、小〜中規模向けプランのClaude Teamでもここまで設定できるのは非常に便利です。
その他、JSON以外でも組織設定の画面を確認すると機能に対するオン/オフなど一番設定が充実しているように見受けられました。

ChatGPT Businessの場合
ChatGPTではCodexと呼ばれるサービスがコーディングエージェントサービスに当たります。
ChatGPT BusinessにおけるCodexの組織設定はClaudeと比較し、かなりシンプルかつ最小限となっています。

管理者側で設定できることとしては、主に以下となります。
- システムプロンプトの設定
- 差分表示のスタイル
- Codexで利用するGitのブランチ形式
- クラウド環境上でCodexを利用する際のコンテナの設定、GitHubリポジトリへのアクセス権
- コネクター(GitHub、Slack、Linear)の設定
Claude Codeの管理設定に該当するポリシーも機能自体は存在しますが、Enterpriseでないとそもそも関連設定の有効化ができないため、実質Enterprise専用機能という状態でした。


そのため、ChatGPT BusinessではCodex自体の挙動を制御する、というよりは機能や外部接続の設定をする、という印象でした。(Enterpriseでポリシーの設定ができるので、ChatGPT Enterpriseも触ってみたいですね。)
Gemini Enterprise Standardの場合
Geminiの場合、AntigravityがClaude CodeやCodexに似たものとなりますが、少し扱いが特殊となります。
Gemini Enterprise Standardに含まれるAntigravityを利用する場合、請求書発行アカウントが必要になります。クレジットカード等を使って直契約できるセルフサービス(オンライン)アカウントでは、Gemini Enterprise Standardに含まれるAntigravityへのアクセスはできないため注意が必要です。
Your project must have Cloud Billing enabled and use an invoiced account. For more information, see Cloud Billing account types.
Before you begin - Invoiced billing accountより(2026/8/12 23:20確認)
Gemini Enterprise Standardに含まれるAntigravityは、コマンド実行時の承認有無やサンドボックスでの実行、外部サイトへのアクセス制御、ログ記録の強制などが行えます。

もし、セルフサービス(オンライン)アカウントを利用している場合は、完全な代替案までとは行かないですが、JSONで設定ファイルを特定のディレクトリ(~/.gemini/antigravity-cli/settings.json)に配置することで、エージェントの動作を制御できます。
ただし、Antigravity起動時に特定のオプションを渡すことで設定を上書きできるため、特定のポリシーを強制することはできない点に注意が必要です。
どれが優れているか、というよりもClaudeはコーディングエージェント自体の動作を管理者側から細かく制御する、ChatGPT BusinessはCodexで利用する機能や接続先を管理する、Gemini Enterprise Standardは利用する環境や外部アクセス、ログなどを管理する、といった統制方法の違いがあるように感じました。
特にClaude Teamでは、小〜中規模組織向けのプランでもClaude CodeのManaged settingsを利用して、コマンドやファイルアクセス、MCPサーバー、Hooksなどを管理者側から強制できる点が特徴的です。一方、ChatGPTではより細かなポリシー制御はEnterprise向けとなっており、BusinessではCodexで利用できる機能や外部サービスの設定が中心となります。
Gemini Enterprise Standardについては、Antigravityを利用できる契約形態に制約があるため単純な比較は難しいものの、外部アクセスや利用モデル、ログなどを組織側から管理する仕組みが用意されています。
同じコーディングエージェントでも、組織向けプランでどこまで管理者が動作を制御できるかにはそもそもの設計思想含め、違いがありました。特に開発者へ広く展開することを考えている場合は、モデル性能やコーディング能力だけでなく、管理者から設定を強制できる範囲についても確認しておくとよさそうです。
何を選ぶ?どうやって選択する?
ここまで3つのサービスについて、AIへの指示、外部サービスとの接続、コーディングエージェントという観点から管理設定を確認してきました。
実際に触ってみると、どのサービスにも組織向けの統制機能は用意されていますが、管理者がどこまで、どのような単位で制御できるかには違いがありました。そのため、どのサービスが一番優れているかというよりも、組織として何を管理したいのかを先に整理したうえで選択するのがよさそうです。
通常のチャットを含めてAIに組織共通のルールを適用したい場合や、コーディングエージェントに対してコマンド、ファイルアクセス、MCPサーバーなどを細かく制御したい場合は、Claude Teamの管理方法が分かりやすいと感じました。
特に小〜中規模向けのTeamプランでも、AIやコーディングエージェントの振る舞いに対して管理者側から設定を強制できる点は特徴的かつ魅力的だと感じました。
ChatGPT Businessは、Claude Teamと比較するとCodexに対する細かな強制ポリシーは少ないものの、ChatGPTを中心としてアプリやエージェント、Codexなど幅広い機能をワークスペース単位で管理できます。また、すぐに利用できるアプリの数もChatGPTが圧倒的に多い印象でした。(SaaSだけでないものも含みますが、2,000個以上はありました)
設定できる内容はかなりシンプルであるため、まずは外部接続をベースに利用可否を設定して広く使うのであれば良い選択肢だと思われます。より細かな統制が必要になった場合は、ChatGPT Enterpriseも含めて検討する形になります。
Gemini Enterprise Standardは、GoogleやGoogle Cloudのサービスとの接続が細かく用意されている点が特徴的でした。既にGoogle Cloud上でシステムを運用していたり、Googleのサービスに蓄積されたデータを生成AIから活用したい場合は相性が良さそうです。また、契約条件を満たせばAntigravityについても外部アクセスやコマンド実行、ログなどを組織側から管理できるため、Google Cloudを中心としたAI利用環境をまとめて管理したい場合には選択肢になりそうです。
なお、実際の導入ではモデルの性能も重要ではありつつ、料金、SSOやユーザ管理、ログの保存、データの取り扱い、既存の社内システムとの親和性なども考慮する必要があります。
色々と触ってみましたが、統制に焦点に当てると、どのような利用を許可したいのか、逆に何を防ぎたいのかをあらかじめ整理しておくと、最適な選択ができるのではないかと思います。
終わりに
大手3サービスを実際に契約し、組織で利用する場合の統制という観点から設定を確認してみました。
個人の観点だとモデルの性能や新しいサービス・機能に注目することが多いですが、組織で利用するとなると管理者がどこまで制御できるかという観点も重要になります。
また、同じような機能であっても、それぞれ管理方法や統制する対象には違いがありました。
特にコーディングエージェントのように、AIがファイル操作やコマンド実行まで行うようになると、利用可否だけでなく、その動作をどこまで組織として制御できるのかも確認する必要がありそうです。
個人契約というのもあり、小〜中規模組織向けのプランを中心に確認しましたが、上位プランになると利用できる統制機能も増えてきます。今回触れられなかった機能も含め、機会があればEnterpriseプランについても比較してみたいところです。
個人的には、実際に3つとも契約して管理画面を見比べてみることで、普段ユーザとして使っているだけでは気づきにくい各サービスの考え方の違いを見ることができて面白かったです。
他にも生成AIサービスが多数あったり、色々と機能があるのでまたどこかで触れてブログにできればと思います。
以上、『夏休みの自由研究リレー』の第15回のエントリ『Claude Team、ChatGPT Business、Gemini Enterprise Standardを導入してみたので統制の観点で設定を見てみた』でした!
次回はかわいさんにバトンを渡し、「今さらながら WebRTC SFU が面白そうだったので、ボイスチャットつき4人対戦リバーシを作ってみた」というテーマでお送りする予定です!お楽しみに!










