Ingress×ローソン 情報疲労時代の体験型マーケティング勉強会に参加してきました

Ingress×ローソン 情報疲労時代の体験型マーケティング勉強会に参加してきました

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

どうも。大村です。
ここのブログの趣旨というか、若干毛色が違ってくるのかもしれませんが、情報よりのマーケティングについての勉強会に参加してきましたので、ブログにてレポートしたいと思います。
この記事を呼んでいる皆さんはIngressをご存知でしょうか。Googleの社内スタートアップ「ナイアンティックラボ」(Niantic Labs)が開発・運営する、スマートフォン向けの拡張現実技術を利用したオンラインゲーム・位置情報ゲームのことで、スマホ片手に街中のポータルと呼ばれる地点をGPSにて確認しながらポイントを稼ぐみたいな、そんなゲームです。
この街中を使うゲームが、昨年よりコンビニエンスストアのLawsonとコラボを行っています。
ポータルをLawson全店舗(一部病院内を除く)に設置し、IngressのユーザーをLawsonへと足を運ばせるという仕組みで、一定以上のプロモーション効果が出たと言われています。
今回は、このLawson x Ingressブームの仕掛け人である佐藤数馬氏の公演、及び対談となります。

情報疲労時代の「体験」の価値について

Peatix 藤田祐司氏

藤田氏による時代によるマーケティングの変貌についての説明を要点のみピックアップしてみました。

現代は7割の人が情報が多すぎて困るというデータが出ている(NRI調べ)。
1980年代はマス広告・リアル店舗の時代、1990年から2000年代はIT化時代、そして2010年代は情報疲労時代へと突入している。

情報疲労時代にどのようなコミュニケーションを取ればいいか。
いまは「体験」にお金を出す時代。
・街コン
・リアル脱出ゲーム
などなど、体験型のコンテンツが出始めてきた。
「つながり」のニーズに応える「体験イベント」が必要なのではないか。

利用者をいかに「参加者」にさせるか。
参加者を場に招いてもてなすホスト役を担うことが、今後マーケティングに重要になってくる。
そして「フィジカルの逆襲」で鈴木謙介氏が述べてるように、成長してるのは体を使ったコンテンツである。
ポストソーシャルを考える上でとても重要なのは、体を使って人と何かをすることである。

そこで、今回のIngressへと繋がる。
Ingressというサービス自体はバーチャルなものであるが、ローソンという現実にあるものと結びつけることで、化学反応が起きる。

情報疲労時代の体験型マーケティング

株式会社ローソン 営業戦略本部デジタルコミュニケーションプロジェクトマネジャー 佐藤数馬氏

株式会社ローソンの中で、今回のIngressとのコラボプロモーションの仕掛け人である佐藤氏が、どのようなマーケティングを考えて戦略を打ったのかを説明していただきました。
こちらも簡単にまとめます。

現在ローソンには1460万人のLINEフォロワーがいます。Pontaに至っては6800万人ほどが利用して頂いている。こちらは三菱商事系列の会社ではあるが、ローソンとしても情報を発信している。
ただ、これらが客の購買につながっているかと言われれば、そうとも言い切れない。
無料クーポンを発行すれば、一時的な顧客は手に入れられるが、継続しない。
マーケティングにコストが増していってはいるが、どうしたら良いかという戦略を練らなければならなくなってきた。

コンテンツを使ったキャンペーンを打つことは多い。リラックマとかドラゴンボールZの映画タイアップとか。
エンタメとの企画もある。艦隊これくしょんとか。
値引きのセール等色々なことをやるけど、費用対効果といったところで、(リラックマなどの)ポイントコレクトは効果が高い。
ただ、コミュニティには結びついていないのが課題である。

Lawsonは企業理念を「マチのほっとステーション」としていたが、近年(筆者注:2013年10月から)は「マチの健康ステーション」へと変更した。
健康で長寿な暮らしをサポートしたいというスローガンに軌道修正した時期があった。
食に関しては色々と取り組んでいたが、運動に関して悩んでいた。
そんな時、「人を家から外に出して活動させたい」というジョンハンケ氏(ナイアンティックラボ創業者)からのメッセージを受け取った。
ローソンは日本の47都道府県すべてに店舗が存在したことが強かった。
2014年11月に店舗をポータル化、2015年3月に公式ミッション(ローソンを巡るとメダルを付与される)を始めた。

当初想定した効果より3〜5倍の効果はあったが、この想定が少なかったのかどうかも初めての取り組みだったので分からない。
今は、Googleと組んで、実際の効果はどうだったのかを測定している段階である。
ポータル化した当初はYahoo!ニュースをはじめ、色々なところで取り上げられた(広告効果は一定数あった)。
Twitterの分析結果では、関東からの反響が大きいのがこの手では普通であるが、北海道や九州といった地方まんべんなく反響があった。
地方にはまだまだローソンしかポータルになっていない地域が存在するから、ポータル化した効果はあったのではないかと。

今までローソン自体は色々な位置情報ゲームとコラボレーションをしてきた(筆者注:コロプラとタイアップしてゲーム内アイテムを配布したり、しろつくとタイアップして限定アイテム配布したり、位置情報アプリfoursquareで位置情報を利用したり、HackerLawson2013を開催したり)が、ゲーム内の行動が来店動機になること、ゲーム内にポータルが登場することで店舗の存在に気がつくきっかけ、毎日続くという行動はこれまでになかった。
仮想空間と現実の連動、毎日継続するための仕掛け(毎日連続でポータルに行くことで得られるメダルが存在する)がうまく回っている。
情報を出しても出しても見てくれない事が多いのに、毎日能動的にでも見てくれる、それだけでも効果になる。
ただあまりに推しつけるのではなく、あくまでIngressという世界観を壊さないようにどうやってこれから連携するかを検討している。

とりあえず2015年7月7日から、PASSCODE付きのMACHI Cafe DRING CARDを数量限定で発売する。
Tシャツ以外のグッズ販売なども企画検討している。

対談:株式会社ローソン 佐藤数馬氏 × Peatix 藤田祐司氏

対談として、藤田氏からの質問に佐藤氏が答えるという形で行われました。
主にQ&A方式になっていましたので、対談前の質疑応答を含めてまとめてみます。

Q.マーケティング的な立ち位置で効果はあったのか
A.今の段階は先行投資的なところがある。これからは見極めていかないといけない。
ここを気にしているのはローソンというよりどちらかと言うとナイアンティックラボ側である。
とりあえず7月に発売するMACHIcafeのカードを出して反応を見たい。

Q.立地によって効果は変わったりしたか
A.反響的なところは(先ほどのスライドでも出したが)見て入るけれど、実際にお見せに来たかどうかという効果、本当にお店に入ったかどうかという検証を、今Googleさんと行っている所。

Q.社内で企画を通すときに障害はあったか
A.Ingressはわかる人はわかるけれど、わからない人にはさっぱりわからないゲーム、ただし一定裁量枠で社内では動ける。
費用対効果を意識する組織だとこの手の企画は難しいかもしれないけれど、ローソンは割とチャレンジさせてくれる土壌があったから、正直社内で苦労した意識はない。

Q.Ingressの企画を始めて変わったところはあるか、佐藤氏自身はA15(Lvl.15)だがどうやったらそのレベルまで行ったか
A.エージェント(Ingressのプレイヤーの総称)としての変化はあった。通勤経路は変わったし、最短距離を歩かなくなった。
最近はグリフハック(ポータルでアクセスする際に簡単なミニゲームを行うことでアイテムが余剰に貰える)でポイントを稼げるようになった。
休日朝3時間夜2時間ぐらいプレイしている。朝5時に家を出るぐらい(笑
(筆者注:こういった行動が健康を生むという意味で提携する意義につながると言いたいと判断

Q.コラボするときに気をつけた点とかあったか
A.エンタメ系のコラボをした時に、好きな人が一人いるかどうかでぜんぜん違う。社内に一人や二人はいる。
今回はそれが自分であり、その社内で好きな人を外さないコラボをすることで失敗が少ない。
本格的にコラボする前に海外でジュースのロゴのポータルを見た。世界感としてどうかと思うところはあった。
ローソンのロゴでポータルを作った時、写真を投稿してくれた人が本当に多かった。
そこは現実のほうがいいんだ、って思いました(笑

Q.いままでのキャンペーンと比べるとどうか
A.ぜんぜん違うものだと捉えている。現実のお店の場所をお客(エージェント)に伝えることができる。
普通の販売促進キャンペーンを打っても、お店がどこにあるかを伝えられない。それを伝えられるのはものすごく大きい。
それこそハックするたびにクーポンが飛び出してきたらどうなのかとか、気にはしている。
(イングレスが朝ごはんを出してくる感じ)

Q.Ingressで来店したかそうじゃなくて来店したかはわかりづらいけど、お店から何か反応はあったか
A.Ingressのキャンペーンはお店には一切伝えていない。コンビニエンスストアは色々な業態のいいとこ取りで営業しているので、お店が意識しないで来店動機につながる位置づけでIngressコラボをしている。
スキャナを見せたら何円引きみたいな沖縄で実際にやっているキャンペーンもやろうと思ったらできるが、それの教育コストが大きいため、お店の負担にならないようにしている。

Q.このキャンペーンに食いついてくるユーザーはまだ少ないのではないか、ファンの熱量は強いが質と量のばらんす、どう拡大していこうとかってジレンマはあるか
A.マスで言うと、来週からおにぎりの100円セールを実際に始めるが、そういったありきたりのわかりやすいキャンペーンもやってるし、ほかのエンタメ系、他のアニメとのコラボもそうだけど、深く狭いところに入って行くこともしている。
お店の客層や頻度を見て、どちらの傾きを重視するかは見極めながら行っていく。
今はプレイ人口1億人分の100万人、狭いかもしれないけど、その人達に刺さるキャンペーンが行えればいいと思っている。

Q.グッズ展開について、Ingressの飴を売った時コミュニケーションツールとして買う人が多く50万円ほど売れたが、そういった展開はあるか
A.Ingressnoグッズは知ってる人は知ってると思うが少ない。ただ、エンタテインメント系のグッズは当たり外れが大きい。
アフターパーティー(3月末に京都で行われた世界大会の後の交流会のこと)で販売した公式Tシャツ、お店で売るかって言われると多分売れない。
今は、まずはMACHIcafeのプリペイドカードを売って様子を見たい。

Q.Ingressはそろそろ本章が終わると言われている。次章も付き合うか、ナイアンティックラボが展開するエンドゲームも付き合うか
A.Googleさんと話をしなきゃいけないと思っているが、具体的には何も考えていない。
Ingressのエンドがいつかも聞いてないし、エンドゲームがどう始まるかとかも聞いてない。それを聞いてからでも遅くないと思う。

Q.どうやってIngressのエージェントを測ればいいか
A.MACHI cafeのカードの初速の違いや、クーポンの回収率の違いとかで、Ingressの効果を測っていきたい。

Q.ローソンのIngressでの野望はあるか
A.自分がガチでやってるか、自分がIngressで頑張りたいのかわからなくなっている。
ただ、ローソンが目立てば目立つほどゲームにプラスにならないことは多いと思うからバランスは保ちたい。
Ingressがすごくメジャーかというとそうではないから、Ingressの知名度を上げていきながら、そのなかでローソンの価値観を高めていければいいなとは思うけれど、今現在特にIngressの中でどうこうしたいというものはない。

おわりに

体験型のマーケティングを仕掛けるにあたり、広く薄くで体験してもらうことはほぼ不可能に等しい。
狭いターゲットにどれだけ刺さるか、そのターゲットがどれだけアトリビューション(間接効果)があるのかが気になる所です。
こういった異業種のコラボは、お互いの利害がどの程度一致するかが重要であり、移動して行うIngressと、移動してきて欲しいローソンの利害が一致した良いマーケティングだと思います。
ユーザーに体験させるというコンテンツはこれからも伸びる要素はあり、なにかしらアプリケーション生み出せると面白そうです。
ウェアラブルデバイス等との連携でまだまだ余地はあるはずなので、そこを狙いたいですね。
A14のEnlightenedエージェントとして、楽しくマーケティングについてとコラボレーションについて聴くことが出来ました。